トランスポートはレジスタンス基地に戻り、俺は将軍に続いて司令部へ入る。
チューバッカは父さんに連れられて医療エリアに向かい、俺は改めてソロに自己紹介した。
「ビリーは愛称なんだ。フルネームは、ウィリアム・ルード。母は、アリス・レインだ。」
「ちょっと待て。その様子だと、レイアは知ってたのか?」
「ええ。アリスに頼まれて、出産に立ち会ったのよ。」
俺が産まれた時、オーガナ将軍と、当時の議長であるモン・モスマが立ち会ったらしい。2人が付き添って密かに出産したのは、俺の誕生を隠す為だったという。母さんがジェダイだから、俺もファースト・オーダーに狙われるというのが理由だ。レジスタンスから遠ざけたのも、そのせいだ。
訓練を付けてくれないのは、フォースのゆらめきをスノークに気付かれないようにする為だ。
息子の俺だって戦うってのに。
「俺に黙ってたのか!?」
「未来を変えるには、それだけ危険が伴うのよ。だから貴方にも言えなかった。ごめんなさい。」
「ビリー、最初から知ってたな?」
「知ってた。けど、あんただって逃げようとしただろ?」
「お前なぁ……」
BB-8を、マズに送らせようとした。オーガナ将軍に会うのが辛くて、逃げようとしたんだ。幸い2人は再会できたが、逃げようとした事実は変わらない。
「レイア、アリス達が共和国領から出ていたのは、どういうことだ?」
「戦いに備えていたのよ。アリスはファースト・オーダーの台頭を予期していたけど、共和国の官僚の一人が彼女の居処を漏らしてしまったの。」
「え……」
言葉を失った。
つまり、母さんが捕まったのは共和国の不手際だったんだ。
「その官僚はスノークに操られていたのよ。共和国領では、居場所が筒抜けになる。だから、共和国領ではない星にいたの。それが……」
「なぜか知られていた。」
「ええ。」
あの日、俺達のいた村が襲われた。
共和国は知らないはずだった。それなのにどこから知られたのか、ハックス将軍は迷うことなく母さんを見つけに来た。
俺は母さんから指示を受け、一人で村を脱出した。
ハックスはまず老齢の父さんを捕らえ、人質にした。母さんはそこで父さんを解放したが、何かがあって母さんは取り残されてしまった。
ジェダイは、自らの予期を全ては語らない。
母さんが何を見て、何を知ったのか、母さんにしか分からない。
「アリスはルークを連れ戻して、ファースト・オーダーと戦うつもりだったわ。未来を変える為に、アリスとルーク、2人が必要なの。」
「将軍、母さんはいつから……?」
「20年前よ。」
「っ!!」
「レイア、さすがにそれは……」
「ハン、アリスは産まれる前から私達のことを知っているのよ。私がレジスタンスを立ち上げることも、知っていたはず。ルークが姿を消すこともね。あのレイという子のことも、アリスは知ってたはずよ。」
オーガナ将軍は、宙を見つめる。
ルーク・スカイウォーカーは姿を消して、母さんもどこかで捕われている。希望である2人がいない今、頼れるのはBB-8が持つ地図だけ。
だが、俺は母さんを見つけた。
「将軍、母さんを助けてください。」
「助けたくても、居場所が分からないのよ?ビリー、残念だけど………」
「いや、分かる。タコダナでファースト・オーダーと戦った時、影が見えた。母さんは、スターキラー基地にいる。」
本当に偶然だった。
レンの心が読めて、母さんの姿を見た気がした。
母さんは、スターキラー基地で幽閉されている。
「分かったわ。計画を立てましょう。」
そこへダメロン中佐とフィンが来て、話は終わった。
俺は入れ違いに司令部を出て行き、父さんの下へ行く。
父さんはチューバッカと話していた。声をかけ、俺は母さんを見つけたと言う。その言葉に、父さんは目を臥せる。
「そうか……」
「俺は母さんを助けに行く。」
「アリスは反対しそうだな。」
「父さんも、母さんの計画を知ってたのか?」
「知っていた。だからこそ、アリスは私を突き放したんだ。ウィリアム、母さんを連れ戻してほしい。」
「ああ、もちろんだ。」
短い会話だが、父さんの想いは分かった。
父さんは動けない。だから、俺が母さんを助ける。母を救うのが、俺の役目だ。
俺だけの為じゃない、父さんの為にもだ。
────────
何もない空間に戻った後、私は無気力に横になっていた。
タンクに戻され、私はまたこの空間に閉じ込められた。
未来を変えようなんて、甘かったかもしれない。
何年も前から準備して、ようやく動こうとしたのに、私は捕まって身動きができなくなった。レイアと密かに立ててきた計画が、無駄になってしまった。
ファースト・オーダーに先を越されたんだ。
ビリーの存在は隠せたけど、いつかは知られるだろう。ジャクーの少女レイと、私の息子のビリー、両方を守るには、未来を変えるしかない。だけど、私はダンタムも守りたい。
それなのに、私自身は何もできない。
『最悪……』
仰向けのまま、腕で顔を覆う。
『暗黒面の力が増しておる。』
一番聴きたくない声に、私は起き上がる。
黒いマントに、暗黒面に歪められた醜い顔と黄金の瞳………それらは、私の嫌な記憶を呼び起こす。フォース感応力がないのに、暗黒面の重圧を感じた。
背筋が凍るような恐怖に、私は身を強張らせる。
『ダース・シディアス……』
プレイガスが割り込めるんだ。シディアスが割り込んできても不思議じゃない。ただ、来てほしくなかった。
『この期に及んで、まだ暗黒面を拒むか。』
『消えて。』
『それは無理だ。アリス、余は幻ではない。』
『だったら、尚更消えて。』
精神世界なのにフォース・チョークされて、私は膝をつく。
強い怒りを感じたのか、シディアスはすぐに私を離した。
『っ……』
『この30年、其方は一度も暗黒面に手を伸ばさなかった。なぜだ?』
『あんたに愛情が分かるはずがない。』
『答えになっておらんぞ。愛情が何だと言う?』
『あんたは、ヴェイダーの愛情に気付かなかった。愛を理解できないお前に、勝機はない。』
シディアスは悩んでいる。
理解できない愛情に、悩み続けているようだ。そのまま悩めばいい。シディアスには、どうあっても理解できないのだから。
『私を支えているのは、家族。家族がいる限り、暗黒面に堕ちることはない。私には守るべきものがある。』
『其方は秘密多きジェダイよ。今度は、どんな秘密を守っている?』
そうか、シディアスはそれを知りたくて来たのか。
私の秘密は安くないのに。
『そんなに知りたいなら、不老の呪いが解けない理由を説明して。』
『余の贈り物を呪いと称すか。』
『贈り物?こんなもの、呪いでしかない。あんたのプレゼントなんて踏み潰してやる。』
『アリス……其方は相変わらず甘い。余が死んだところで、術は解けん。何の為の術か理解しておらぬのは、其方も同じぞ。』
怒りに身を任せ、近くの椅子やテーブルをシディアスに投げ付ける。
奴はそれをフォースで簡単に薙ぎ払い、私を笑う。
術の意味なんてどうでもいい。この呪いが解ければ、術の意味は必要ない。ただ、シスの秘術を解きたいだけだ。
『何を焦っておる?其方には時が限りなくあるだろう。』
『うる、さい!!!』
最後に椅子を投げ付け、その場に座り込む。
確かに、私には時間がある。私には、ある。だが、ダンタムと過ごす時間は少ない。
私と違って、ダンタムは私より先に逝ってしまう。
シディアスは、それを分かってて笑っている。
これのどこが、焦らずにいられると言う?
目の前のシディアスが憎い。