【完結】ジェダイ(仮)になりました。   作:夭嘉

139 / 173
見た目は27歳です。

また目を覚ますと、状況がかなり変わっていた。

 

スターキラー基地は破壊され、レジスタンスの勝利となった。その代わり、失ったものも大きい。ハンが、死んでしまった。

 

記憶を早く思い出していれば、もっと変えられたこともあったはずだ。

 

後悔しかない。

 

 

「アリス」

 

 

薬による眠気に逆らって、私はダンタムに手を伸ばす。彼は手を取り、休むように言って頭を撫でてくる。医療カプセルが良いと言ったのは私だけど、薬の副作用が酷い。

 

でも、タンクには入りたくない。

 

もうあの空間に戻ることはないけど、トラウマに近いものを感じている。ビリーと再会して泣いたのが、その証拠だ。本当に大人気ないが、本当に恐怖だった。

 

息子が来てくれなければ、完全に気が狂っていたかもしれない。

 

最悪の場合、暗黒面に堕ちていた。

 

 

「ビリーは?」

「司令部で姫と話している。アリス、ビリーに訓練を付けてやれ。」

「え……」

「ビリーはもう子供じゃない。いつまでも守られるような存在でもない。分かるだろう?」

 

 

分かっている。ウィリアムは、私とダンタムに追い付いている。私達にとってはずっと子供だけど、今は一人の大人だ。

 

 

「分かった。完治したら訓練を付けるよ。」

「ああ。アリス、もう少し休むんだ。」

「眠りたくない……」

 

 

私は充分眠った。あの水牢タンクで。ビリーが来てくれなければ、私は気がどうにかなりそうだった。

 

ダンタムが握る手だって、本当は離したくない。

 

 

「休まないと、治るものも治らないぞ。」

「治らなくていい。」

「それはダメだ。さぁ、休むんだ。君が起きるまで、ここから出ないと約束する。安心してくれ。」

 

 

彼の手を握ったまま、私はゆっくり意識を手放す。

 

 

「ダンタム、愛してる………」

「私も愛している。おやすみ、アリス。」

 

 

完全に意識が落ちて、私は夢も見ずに眠った。

 

ファースト・オーダーが幻影ならと、何度も思うようになった。

 

奴らが、スノークがいなければ、ハッピーエンドだったのに。エピソード8まで観てその存在を知っていても、信じたくなかった。スノークさえいなければ、ハンが死ぬこともなかったんだ。

 

何年も前から準備してきたのに、何も上手くいかない。

 

薬が減り、ようやく目が覚めたのは2日後のことだった。ダンタムは約束通り、起きた時も傍らにいてくれた。彼の隣にはビリーもいて、やっと家族に会えたのだと実感した。

 

眠り続けたお陰で動けるようになったけど、まだ本調子じゃない。

 

だが、ファースト・オーダーは待ってくれない。レジスタンスはディカーの基地から脱出することになった。司令部のレイアの下へ行き、今後の話をする。

 

 

「アリス、時が来ました。」

「分かってる。」

 

 

レイアの言う“時”とは、私が予期したことだ。

 

ルークの居処を示す地図の残りを、R2-D2が持っていた。BB-8の地図と合わせて、ルークがいる場所の星図が完成したという。ルークの下には、レイとチューバッカ、R2-D2が向かったそうだ。

 

実を言えば、私はルークを感知できない。弟子は、フォースから自らを閉ざしている。ベンとのことが原因だけど、乗り越えてもらわなければならない。

 

私の計画には、ルークも必要なのだから。

 

未来を変えるには、まだ遅くない。

 

 

「アリス、ルークを責めないでね。」

「そんなことしないよ。ルークとベンの問題だから。」

「私も残れたら良いのだけれど……」

「いいの、行って。艦隊にはオーガナ将軍が必要だから。アクバー元帥によろしく言っておいて。」

「ええ……フォースと共にあらんことを、アリス。」

「フォースと共に、レイア。」

 

 

私を残し、レイアは艦隊と一足先に軌道へ向かう。艦隊は、輸送船を逃がす為の退路を確保しなければならない。私は将軍の命令で、輸送船に乗るように言われたから、何もできない。

 

私“達”の計画が上手くいくことを祈ろう。

 

 

「アリス」

 

 

夫の声に、私は振り向く。

 

 

「準備は良いか?」

「うん、できてるよ。」

「では、行こう。」

 

 

レジスタンスの輸送船に乗り込み、ビリーとフィンに声をかける。

 

幸いフィンは私よりも先に目を覚まし、怪我もなくレジスタンスの任務をこなしていた。彼にお礼を言われたけど、私はあの後倒れたから言われる立場じゃない。感謝すべきは、レイだ。

 

私も、レイがいなければ危なかった。

 

 

「さて、ウィリアム。」

「俺?」

「うん。訓練を付けるよ。」

 

 

喜ぶビリーとは裏腹に、ダンタムは心配そうに声をかけてくる。

 

 

「アリス、無理はしないでくれ。」

「平気だよ。やる気はビリー以上にあるから。」

「それはそれで困るんだが。」

「何か問題でも?」

「大有りだ……」

 

 

年相応じゃないと、ダンタムに言われた。おかしい。見た目は20歳後半なのに。

 

 

「あんた、本当に80歳か?」

「27歳ダヨ。」

『やめろ。』

 

 

フィンの問いにふざけた私に、ビリー達からブーイングを食らう。

 

こんな会話が幸せに感じてしまう。

 

しかし平穏は長く続かないと、後々知ることになるのだった。

 

 

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。