計画始動
レジスタンスは、ディカー基地の撤退作業に入っていた。
スターキラー基地が破壊されたが、ファースト・オーダーが倒れたわけじゃない。かつて反乱軍がヤヴィン4を去ったように、レジスタンスもディカーを去る時だ。ファースト・オーダーは、帝国軍とは違って綻びはない。スターキラー基地を潰しても、追手は来る。
艦内にアナウンスが響き、そのアナウンスだけが外の状況を知ることができる唯一の情報源だった。
最後の輸送船に人員が乗り込んだと聞いて、私は安堵する。
私は、ラダスの隣に浮かぶコルベットに乗っていた。レイアから命令を受けて、私はラダスには乗り込めない。ファースト・オーダーが来ても、“オーガナ将軍”から怪我人認定された私は戦闘配置に就けない。
隣にいるダンタムが外を見ないように言うけど、見ずにはいられなかった。
そして案の定、医務室の中からディカーを見下ろしていると、マンデイターIV級のスタードレッドノートがハイパースペースを抜けてきた。
ドレッドノートに対抗する為に、爆撃中隊が出動する。
外を覗く私の肩を、ダンタムは優しく叩く。
「アリス………」
「嫌な予感がする。」
この戦いのことも、予期している。対策だって、しっかり立てている。それなのに、胸騒ぎがする。
計画通りにいけばいいけど、不安要素が多過ぎる。
「レイン将軍」
声をかけられ振り返ると、紫色の髪の女性がいた。私は、この女性とは面識があった。レイアの友人で、ニンカの提督、アミリン・ホルドだ。私のいる船が、そのニンカだ。
つまり、私はレイアの友人の、ホルド提督の監視下に置かれている。
まだ本調子じゃないから、というのが理由だ。
「何度も言うけど、私将軍じゃないから。」
「ええ、存じ上げています。ですが、貴女はジェダイ・マスターなのです。誰もが将軍だと認めています。」
「やめてって。退役にしてもらったのに……」
それから、ホルド提督は本題に入る。
「貴女の計画はレイアから聞いています。」
「どこまで聞いてるの?場合によっては、危険を伴う。知らないふりをしてもいいんだよ?」
「承知の上です。アリス、私にも手伝わせてください。」
ホルド提督、アミリンは、友人として名乗り出ていると言ってきた。確かに友人だけど、彼女を巻き込みたくない。私の計画には、シスも関わっているのだから。
「ありがとう、アミリン。」
直接対決になれば、私の周りの人間は潰されることになる。スノークはシディアスと同じように私を欲しがり、敵は虫けら同然に扱われる。
「気持ちだけ受け取るよ。」
「アリス、どうか希望を持って。私達が貴女を希望だと思うように、貴女もレジスタンスを信じてください。」
「もちろん信じてる。」
その時、外で爆発が起きて、ドレッドノートが撃墜された。敵艦は墜ちたけど、同時に悲鳴が頭に響いた。最後の爆撃機は爆発に巻き込まれていき、ドレッドノートに乗るオペレーター達の悲鳴も聴こえる。
痛み分けと言うには生温い。
レジスタンス艦隊は、ハイパースペースへ突入する。
「“提督”、ブリッジへ。」
「決して戦おうとは思わないように。」
ホルド提督の言葉に、ダンタムを見る。
「大丈夫。」
一言、それだけ答えた。
提督は医務室を出て行き、またダンタムと2人きりになる。
「ダンタム、」
「君のことだ。ラダスに行きたいんだろう?」
「うん。私も動かなきゃ。」
医務室を出て接続部へ行き、私とダンタムはラダスへと移る。
そこへ、ビリーが私達の下へ駆けてきた。
息子はダメロン中佐率いる中隊に加わり、Xウィングに乗り込んでいた。ビリーをサポートするのは、私の相棒であるR7-D4。私以上にR7との連携が良くて、少し嫉妬しそうな程だ。
無事に戻ったことに、私とダンタムは安堵する。
「母さん、ニンカにいるはずじゃ……」
「戦いに来たんじゃないよ。司令部に行くだけ。」
「母さんの計画が…?」
「そう。ビリー、再戦闘に備えて待機してて。」
「分かった。」
私の計画が始まる前に、ファースト・オーダーの追撃の可能性もある。備えておくに越したことはない。
ダンタムと一緒にブリッジへ入ると、レイアは頭を抱えていた。
「アリス……」
レイアの視線の先にある戦況コンピューターを見ると、中隊は半分以下にまで減っていた。
ダメロン中佐が、将軍の撤退命令を無視したらしい。
「姫、今は次のことを考えよう。」
「分かっています。」
「ダメロン中佐は降格か……」
「ええ………でも、ビリーはよく戦ってくれたわ。間違いなく貴方達の子よ。」
そう、ビリーは私とダンタムの息子だ。ジェダイとしての素質を持ち、ダンタムのような大胆な行動力がある。行動力は充分だけど、ジェダイの訓練が足りない。
息子に、ジェダイの訓練を付ける時が来た。
「レイア、ビリーにジェダイの訓練を付ける。」
「そう…ようやく訓練を……」
「ねぇレイア、気を落とさないで。まだ何も終わってない。これから変えていくの。私達レジスタンスは希望でしょう?」
「ええ、そうね。反乱軍と同じように、人々の為に戦うわ。」
「我々は、まだできることがある。」
ダンタムの言葉に、レイアは頷く。
「では、計画を始めましょう。」
3人でやることを確認した後、私とダンタムはブリッジを後にする。
入れ違いでブリッジに来たダメロン中佐は、私の姿を見て立ち止まった。私とダンタムはそれに止まることなく、ブリッジを出て行く。中佐の視線は、背に刺さるようだった。
だけど、私はここで止まれない。
今度こそ、悲しい歴史を変えるんだ。
お待たせしました!
エピソード8編突入です!