ビリーが待機する部屋へ向かい、息子の部屋をノックする。
扉が開くと、ビリーは私とダンタムが来たことに驚いていた。
「え?どうしたんだ?」
「そろそろあんたの訓練を付けるよ。」
ビリーの表情が輝く。
ウィリアムにとって、念願の訓練だ。息子の期待に応えられるように、私は全てを教えるつもりでいる。良いことも、悪いことも。
「まず、ジェダイの客観的な印象だけど………ダンタム。」
「ああ。ジェダイは、希望の象徴だ。」
フォース感応者ではないダンタムに、ジェダイの印象を話してもらう。
ジェダイである私の認識と、普通の人間であるダンタムの認識は違う。私がジェダイの何たるかを話せば、ただのエゴになってしまう。ジェダイは人々によって、初めて存在が成り立つのだから。
「弱き者の為、人々を守る為に存在する。ジェダイは平和の守護者なんだ。」
「平和の……」
ウィリアムは、ダンタムの話に聞き入っていた。
「そうだ。ルーク・スカイウォーカーとアリスも、銀河の為に戦った。人々の為にライトセーバーを握り、反乱軍の希望になったんだ。」
ジェダイである私とルークは、シスである皇帝と、帝国と戦った。
あの時のことは、今でも憶えている。
「その真っ直ぐな姿勢に、人々は惹かれて、」
「ストップ。それ父さんから見た母さんだろ?」
「本当にね。ダンタム、雰囲気ぶち壊し。」
「事実だ。私も君に惹かれ、」
「やめろよ2人共。俺が恥ずかしい。」
印象はまぁ伝わったし、もう良いだろう。
訓練に入る前に、準備が必要だ。
物心がつく前からジェダイとして生きた私とは違い、ビリーはこれからジェダイとしての心得を学ぶ。何が良くて、何が悪いのか。それを学ばなければならない。
「それで、何からやればいい?」
「最初の課題は、怒らないこと。」
「は?」
意味が分からないのはダンタムも同じらしく、息子に続いて疑問符を浮かべて私を見る。
だけど、ちゃんと意味はある。
「相手に憎まず、許す。意味が分かれば、次のステージに進む。」
「なっ……他は!?」
「ない。」
「冗談だろ……何か助言はないのかよ!?」
「さっきのが助言だよ。今のあんたに言えるのは、それしかない。」
相手を憎むな、許せ。
昔の私が守れなかったことだ。ビリーには、理解して変わってほしい。私と同じ轍を、息子に踏ませたくない。
「アリス、それは……」
「ダンタム、必要ならビリーに教えてもいい。」
「悔いているのか?」
「………少しだけ。」
その時、艦内にアラートが響く。
「レイン将軍、ファースト・オーダーです!」
フィンが走ってきて、敵襲だと知らせる。ハイパースペースを抜けたばかりなのに、ファースト・オーダーが現れた。すぐに戦いが始まる。
ビリーに声をかけ、私は出撃するように言う。
「行って。ただし、さっきの助言を忘れないで。」
「分かった。………行ってくる。」
ビリーがハンガーへ向かい、ダンタムは息子を見送る私の肩を抱く。
計画は、思うように進んでいない。対策してまでファースト・オーダーを撒いたのに、追い付いてきた。何かがおかしい。
不安そうな表情をする私に、彼は大丈夫だと言う。
「良い方へ転じると信じよう。」
「そうだね……」
そこへ、コニックス中尉が私達を呼びに来た。
彼女に続いて、私とダンタムはブリッジに走る。
「状況は最悪です。」
「一体何が、」
次の瞬間、悲鳴が聴こえた後に、艦船が大きく揺れた。
コニックス中尉と私、ダンタムは壁に掴まり、衝撃に耐える。私は制御パネルを開き、被害状況を確認する。損傷エリアを見て、血の気が引いた。
私は再びブリッジへ走る。
「アリス!!」
「ダンタムはハンガーに!ビリーが…!」
爆撃したのはブリッジだけじゃなかった。ハンガーもやられて、閉鎖されていた。ハンガーには、ビリーがいる。
ビリーは感じられるけど、レイアの方は弱々しかった。
「レイア!!」
ブリッジは宇宙空間に曝け出され、崩壊していた。アクバー元帥や、他リーダー陣は投げ出され、救う術はなかった。レイアも、遙か遠くに投げ出されてしまっている。
「レイア!お願い!私とルークが教えたでしょう!」
レイアは、ジェダイの訓練を途中でやめている。その理由を知っているけど、今は自分を優先してほしい。レイアは、強い人だ。
コニックス中尉が何かに気付いて声を上げ、私は視線を上げる。
外を見ると、レイアがフォースを使い、自身をクルーザーに引き寄せていた。
「中尉!担架を!」
レイアがブリッジのドアに辿り着き、私は扉をライトセーバーで抉じ開ける。扉が開き、レイアが倒れて彼女を抱える。担架が来て、すぐに医務室へと運ばれていく。
ビリーの無事もフィンに教えられて、思わず胸を撫で下ろす。
「レイン将軍、ダメロン中佐です。」
「大尉に降格したって聞いたけど。」
「どっちだっていい。“俺達”は、ビリーに助けられた。あいつがいなきゃ、もっと犠牲者が出ていた。」
「本当です。ハンガーにいたパイロットの大半が、ビリーに助けられたんです。」
フィンの言葉に、ビリーが何をしたのか分かった。ビリーもフォースを使い、ハンガーの人達を助けたんだ。息子の成長スピードも早い。
そのまま行けば、ウィリアムもジェダイになる。
「フィン、大尉、ビリーを助けてあげてね。」
「助ける?」
「いつか分かるよ。」
今後のことを話し合う為、私はホルド提督とダーシー中佐を呼び止めた。
この後は、レイア抜きで計画を進めなければならない。私とダンタム、ビリー、ルークで。
ただ、ルークは心を閉ざしている。戻ってくるか分からない。レイアが起きるまでにルークが戻らなければ、レジスタンスに未来はない。
時間は、刻一刻と減っていく。