【完結】ジェダイ(仮)になりました。   作:夭嘉

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スカイウォーカーの夜明け(Ⅸ)
霧の中を進め


ファースト・オーダーから隠れ続けて約1年。

 

レジスタンスは、エイジャン・クロスに身を潜めていた。

 

私もレジスタンスと行動を共にしていて、最優先でレイとビリーを鍛えている。2人は競い合うように成長して、今や見違える程だった。あのツタミニスも覚えて、レイに至ってはフォース・ヒーリングも習得した。

 

レイの成長に驚きながらも、私は2人に持てる全てを教えた。

 

そして現在、締めとも言うべき訓練をしている。

 

 

「共にあれ……」

 

 

こちらから宇宙のフォースに呼びかけ、先人ジェダイに通じる技だ。通じれば、彼らとコンタクトが取れる。交信できた暁には、彼らの言葉を聞くことができる。

 

旧ジェダイ・オーダーのマスター達では、為し得なかった技だ。

 

私も、先人ジェダイと交信できるまで何十年も費やした。

 

 

「共にあれ……」

 

 

レイとビリーは背中合わせで浮かび、宇宙のフォースに語りかける。フォースで辺りの石も浮かび上がり、2人は感覚が研ぎ澄まされていく。教え子達のフォースに、私は明後日の方を向く。

 

私には、そこにオビ=ワンの姿を捉えていた。

 

オビ=ワンは頷き、私も目で頷く。

 

そうしている内に、レイとビリーはほぼ同時にギブアップした。

 

 

「共にない。」

「無理だ。」

 

 

そんな2人に、レイアが優しく宥める。

 

 

「2人共、焦ってはダメよ。」

「どう考えても不可能です、将軍。」

「私も……本当にできるとは思えません。」

 

 

オビ=ワンから視線を外し、私は瞑想をやめてレイアと2人に声をかける。

 

 

「フォースに不可能はないよ。」

「母さんだからだ。ジェダイ・マスターの母さんができないはずないだろ。」

「アリスができないことなんてあるの?」

「もちろんあるって。料理できないし。」

「ふふっ、アリスの手料理は本当に残念よね。」

「レイア、変なこと言わないでよ。」

「事実でしょう?」

 

 

30年経った今でも、料理の腕は上達しません。

 

おかしいよね。同じものしか作ってないはずなのに、毎回失敗するんだもの。鍋の買い替え回数は減ったけど、ちゃんとした料理が出来上がったことはない。

 

え?誰が作るって?

 

夫のダンタムです!!

 

 

「いつかはできるようになる。最初からできる人はいないんだから。テレキネシスだって、あんた達はできなかったでしょう?」

「………」

「………」

「アリスの言う通りよ。誰しも、最初から上手くいくわけではないわ。」

『はい。』

 

 

ビリーとレイを訓練コースに行かせて、私とレイアはファルコンを心配する。

 

ミレニアム・ファルコンは敵の情報を得る為に、ファースト・オーダーの目を掻い潜ってスパイに会いに行った。乗組員はポーとフィン、クラウド、チューバッカとR2-D2だ。

 

そのファルコンが、まだ戻っていない。

 

 

「もし罠だったら……」

「罠の心配はないわ。心配なのは、スパイと共に捕まることよ。ファルコンが無事に戻ることを祈りましょう。」

「うん……」

 

 

頷いたものの、やはり心配だった。

 

私の記憶に、クレイトの戦い以降の情報はない。だから、今後は瞑想の中で予知するしかない。未来が分からないことが、とてつもなく不安に感じる。

 

それから、一つ解せないことがあった。

 

1年前から感じるシディアスの意識が、まだ私に向いている。未来の記憶がないのに、なぜ未だに執着されているのか分からない。暗黒面に堕とすなら、レイやビリーが狙われてもおかしくはない。

 

教え子達が許容外なわけではないけど、まだ執着されているなんて理解できなかった。

 

 

「アリス、怖れてはいけないわ。それがシディアス卿の力になるのよ。」

「分かってる。でも、自分の中の闇が怖ろしい。」

 

 

近い未来、暗黒面に踏み込む日が来るんじゃないかと怯えている。長年守ってきたダンタムとの約束を、ある日突然破ってしまいそうだ。手を伸ばしたら、後戻りできなくなるというのに。

 

 

「貴女なら大丈夫。ルード氏がいるのよ。彼と自分を信じて。」

「ありがとう、レイア。」

 

 

そう、大丈夫。私は大丈夫だ。ダンタムさえいれば、私は大丈夫だ。

 

怖れてはいけない。

 

タナヴィーⅣに入り、私はダンタムがいるブリッジへと向かう。

 

彼の視線の先には、付近の星系が戦況パネルに映っていた。いくつかの星は赤くなっていて、ファースト・オーダーの支配下だと示している。

 

ファースト・オーダーは、疫病のようだった。

 

 

「また一つ……星系がファースト・オーダーの手に落ちたぞ。」

「支配域が広がってる。」

「ああ。」

 

 

戦況パネルから目を逸らし、私とダンタムはブリッジを出る。

 

ファルコンが戻っていないことを言うと、彼はあの船なら心配ないと断言する。

 

 

「君がポンコツ船と称するもの程、危機を乗り越える。だから心配ない。」

「それ褒めてる?」

「いや、皮肉だ。だが、ファルコン然り、ゴースト然りだろう?」

「やめて、ヘラに殺される。」

 

 

ゴーストをポンコツ船なんて言ったら、ヘラを怒らせかねない。それに、あの船はとても優秀だ。そんな船をポンコツだなんて言えない。

 

ファルコンだって、優秀な船だ。

 

その時、中隊長の一人がブリッジに駆け込んでくる。

 

 

「御二方!ファルコンが戻りました!!」

 

 

彼はそう言って、またブリッジから走って出て行った。

 

ダンタムを見ると、頷いてくれた。

 

 

「アリス、行こう。」

「うん。」

 

 

2人でタナヴィーを降りて、煙を上げるファルコンへ向かった。

 

彼らが持ち帰った情報に、良い話なんて何一つないだろう。もっと言えば、悪夢のような話しかないかもしれない。

 

噂だけは、銀河のあちこちから聞こえる。

 

良い噂も、悪い噂も。

 

悪い噂は、ファースト・オーダーに関することが多い。その中に、認めたくないものもあった。裏付けがない噂ほど、信じられないものはない。

 

30年前の悪夢が、再び甦る。

 

 






エピソード9編\(^ω^)/
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