フィン達に同行したR2-D2から、すぐにスパイの情報が抽出された。暗号を解読して、ポーが情報を一つずつレジスタンスに話していく。私はレイアの隣で、それを静かに聞いた。
「間違いない。皇帝パルパティーンは生きている。」
ポーの言葉に、レイアを含めたレジスタンスの面々が私を見る。
これで、不老の術が解けなかった理由が分かった。肉体は滅んでも、シディアスの意識は生きている。奴が死んでないなら、術は解けるはずもない。
あの時、ファルコンで感じたシディアスの意識は本物だったんだ。
その事実を認めざるを得ない。
「アリス……」
「続けて。」
「だが、有り得ない!皇帝は第二デス・スターで死んだ!」
アクバー提督の息子が否定する。
確かに、シディアスは死んだ。アナキンが皇帝を落として、バランスが戻ったはずだった。アナキンが、選ばれし者としての役目を全うした。
「闇の技術……クローンだ。シスだけが知る秘儀。」
「そんなこと……」
「ある。」
ビリーの戸惑いに、私は断言する。
何度も見てきた。この目にも焼き付いている。私のクローンを作ったこともある。禍々しい、吐き気がするような秘儀だ。
「シスの秘術は、通常では為し得ないことを可能にする。あいつが生き長らえていても、おかしくはない。この私を不老の身体にしたくらいだから。」
そう言って、吐き捨てる。
レイとビリーはその輪から離れていき、私は近くの箱に座って頭を抱える。隣にダンタムが座って、背中を摩ってくれる。堪え切れない吐き気に、顔を上げることができなかった。
「皇帝の目的は復讐だ。何十年もかけて、準備してきたんだ。今から16時間後、自由世界への攻撃が始まる。」
レジスタンスの騒めきが聴こえる。その遠い騒めきの中に、シディアスの笑い声が混じっている。聴こえるのは私だけで、それが更に気分を悪くさせた。
「潜伏場所は未知領域の惑星、エクセゴル。」
聞き覚えのある名前だった。
何十年も前、計画を立てながらシスについても調べてきた。自力で解除するつもりで、シスの秘術を調べ続けた。だけど、何も見つからなかった。
その最中に知ったのが、エクセゴル。コリバンと同じように、ただのシスの聖地だと思っていた。暗黒面のフォースが満ちる、危険な星。ただそう思っていた。
もっと調べるべきだった。
「皇帝は“ファイナル・オーダー”と呼んでいる。」
私の計画が、半分以上も崩された。ファースト・オーダーが本当の敵じゃない。真の敵は、シディアスだ。
スノークの後ろにいたのは、奴だったのか。
「アリス、少し眠った方がいい。」
ダンタムにそう言われて、私はタナヴィーへ乗り込む。
寝台に横になっても、吐き気は治らなかった。奴への嫌悪感は消えない。シディアスと対面したら、私は何を仕出かすか分からない。
目を閉じてしばらくすると、真っ暗な空間にいた。
その闇は暗黒面のフォースに満たされていて、酷く寒気がした。
『これが本当の最後だ。』
低い声に、私は闇の中で目を開く。
『ダース・プレイガス』
『我がアプレンティスにようやく気付いたか。どうやら期待外れだったらしい。気付くのが遅すぎたのだ。』
『冷やかしなら消えて。』
『見て見ぬふりをした。信じたくないが故に、お前は時を無駄にしたのだ。戦いは避けられぬ。』
『っ……うるさい!!』
怒声と共に、プレイガスを拒絶する。
戦いなら受けて立つ。私はどうなろうと構わない。一度はシディアスを打ち負かした身だ。怖れることはない。また打ち勝てる。
今度こそ全てを懸けて、奴を葬る。
『シディアスは必ず倒す。あんたに指図されなくてもね。』
『はて、どうなるやら。』
そう言って、プレイガスは闇に消える。
言われなくても、私はシディアスと戦う。奴の本当の目的を知る為にも、戦わなくてはならない。それが、破滅に繋がるとしても。
やはり、私は闇にいるべき存在なのかもしれない。
「アリス!」
ハッとして目を覚ますと、レイが心配そうに見ていた。
もしかしなくても、レイが呼び戻してくれたんだ。私の額には汗が流れ、鼓動が速くなっている。レイの心配そうな顔で、私が魘されていたと分かった。
「起こしてくれてありがとう。どうしたの?」
「ルークが残した文献に、エクセゴルのことが書いてあったの。あと一歩だったけど、行き詰まってしまったみたいで……私は、これからパサーナに行こうと思ってる。」
レイが見せてくれた文献は、確かにルークの字だった。弟子は、私以上に調べていたようだ。ルークはパサーナで止まり、それから先は分からないようだ。
更に、レイは別の文献を私に手渡す。
「開いて。」
「……」
言われた通りに開くと、中はあることについて書かれていた。
その文章を読んで、涙が流れる。私がシディアスに執着される理由が、そこに書いてあった。ルークは、その答えを見つけていたんだ。
これで、全てが繋がった。
「アリス、大丈夫?」
「これ、レイアやビリーは知ってる?」
「いいえ、私だけ。」
「それなら、他の人に見せないで。」
「どうして?レイアなら、」
「お願い。」
その文献を閉じて、他のものと一緒にレイへ返す。
執着される理由が知りたかったけど、今は見るんじゃなかったと後悔している。知らないままの方が良かった。シディアスは、どこまでも欲深い奴だ。
「ごめん、レイ。私は一緒に行けない。」
「え?どうして?」
「足手纏いになる。」
「足手纏いなんて……」
「いつか分かる。それに、やるべきことができた。あんた達だけで行って。」
「………分かった。」
「気を付けて。」
レイは頷き、タナヴィーを降りていく。
私も腹を括る時だ。
今のままでは、私の方が足手纏いになる。全てを解き明かさなければ、私はシディアスの先を行けない。疑問を解くことが、第一の目標だ。
疑問を解けば解く程、迷宮に囚われていくみたいだ。