【完結】ジェダイ(仮)になりました。   作:夭嘉

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29年前

幻影を使った後、私とレイアは同時に倒れる。

 

レイアはともかく、私は2人分のエネルギーを使った。疲労が大きかった。だけど、休んではいられない。

 

 

「アリス、行こう。」

「うん。」

 

 

ダンタムに支えられて、私は小さなシャトルへ向かう。私達の後ろには、R7-D4が付き従う。最後の任務だと言って、相棒に助けを求めた。

 

私の…私達の最後にR7は、必要不可欠だ。

 

私とダンタムの始まりを見届けたように。

 

 

「ちょいと待ちな、レディー。」

 

 

懐かしい声に、私達は振り返る。

 

 

「カルリジアン将軍!」

「カルリジアン、遅かったね。」

「あんたは相変わらずだ。」

「あんたもね。私はもうレディーじゃない。でも、最後に会えて良かったよ。」

 

 

最後という言葉に、カルリジアンは寂しげな表情をする。

 

彼も、共に反乱軍として戦った仲間だ。カルリジアンが寂しいように、私も少し寂しく思ってしまう。彼は、良き友だった。

 

いや、今も友人だ。

 

 

「レイアを頼んだよ。」

「任せな。」

「ありがとう。」

「………武運を祈る。」

 

 

カルリジアンに頷き、続いてマズ・カナタを見る。

 

レイアを介抱するマズに声をかけ、感謝の言葉を伝えた。

 

 

「感謝される覚えはないよ。」

「いいえ、ある。友人になってくれた。貴女は偉大な海賊です。」

「あんたも偉大なジェダイだろう。」

「ありがとう、マズ。」

 

 

ダンタムに連れられて、私達はシャトルに乗り込む。

 

エンジンを立ち上げた時、ファルコンがエイジャン・クロスに戻ってくる。だけど、ここで降りるつもりはない。ファルコンのハッチが下りたと同時に、ダンタムがシャトルを発進させる。

 

焦って駆け寄るポーを尻目に、シャトルは空へ向かっていく。

 

そして、シャトルは軌道へ出た。

 

 

「心の準備はできているか?」

「一応。でも、これで貴方の隣にいられる。」

「正直、不安だ。」

「うん、私もだよ。」

 

 

ランプの一つが点滅し、接近する機体があることを教えてくれる。私の見た限りでは、敵ではない。恐らく、あの男だ。

 

 

「ついに、か。」

 

 

接近してきたシャトルは、荷物を落としてすぐにハイパースペースへと入っていく。私達はその荷を回収して、貨物室へと降りる。操縦をR7に任せて、私はその荷を開ける。

 

中には、小さな箱が入っているだけだった。

 

ダンタムと2人で、顔を見合わせる。

 

 

「箱の中に箱……?」

「マトリョシカみたい。」

「なんだそれは?」

「前の世界の人形。木彫りの人形の中に、一回り小さい同じような人形が入ってるの。」

「何が面白いんだ……」

「さぁ?」

 

 

前世のことはさて置き、私はその小さな箱を開ける。中に入っていたものに、ダンタムはギョッとする。私は想定したけど、彼には刺激が強かったみたいだ。

 

手に取って、その小瓶を傾ける。

 

 

「血か……?」

「うん、そうだね。」

「何に使うんだ?」

「秘儀に使う。」

 

 

秘儀と言えば、ダンタムは察しがついたようだった。

 

 

「ついに……」

『シディアス卿との戦いを終わらせる時が来たんだ。』

 

 

忘れることのない親友の声に、私は笑みを見せる。

 

アナキンが姿を現して、私達の前に立つ。

 

 

「スカイウォーカー将軍」

『ルード議員、アリスを救っていただき感謝します。』

「私は当然のことをしただけだ。」

「アナキン、私も貴方のように役割を果たすよ。」

『もう果たしている。やることは分かっているんだろ?』

「もちろん。」

 

 

そう言って、私は29年前を思い出す。

 

準備は、その日から始まった。

 

────────

 

遡ること29年前、ナブーの片田舎にいた私の下へ、ある男性が訪ねてきた。

 

面識はないが、私がよく知る男だった。

 

彼も未来を変える為に、行動することを誓っていた。私に直接コンタクトを取れば、未来は悪い方向へ進んでしまう。だから始めに、夫であるダンタムへ接触してきたのだった。

 

夫を介して会いに来た男は、私に頭を下げる。

 

 

「アリス・レイン、貴女の助けが必要です。」

 

 

その男の姿に、私はダンタムに訝しげな視線を向ける。

 

 

「ダンタム、どういうこと?」

「見ての通りだ。君は彼を知っているだろう?」

「知ってるも何も……」

 

 

できれば会いたくなかった。

 

ファースト・オーダーが台頭することは分かっている。それを、再認識したくなかったのに。彼の来訪のせいで、私の平穏はあっという間に終わった。

 

 

「私の存在が不快なのは分かります。しかし、時は一刻を争うのです。」

「信用できる証拠は?」

「貴女は心が読めるはず。」

「心なんて、いくらでも偽れる。」

 

 

ジェダイやシスに関係なく、気持ちは誤魔化せるものだ。それがどんなに禍々しい感情だろうと隠せる。私が彼の心を読んだところで、分かるものでもない。

 

重要なのは、信じるか信じないか、だ。

 

 

「私が信じられるように、証拠を見せて。」

「見せることはできませんが、貴女に信じてもらうことはできます。」

「ふぅん?」

「貴女がかけられたその秘術、解けた確証はありますか?」

 

 

男の言葉に、ダンタムは私を見る。

 

一番疑っているのは私だ。解けた確証もなければ、確かめる術もない。時間をかけて確認するしかない。

 

男は、それを分かっている。

 

信じることを決めて、私は彼に続きを促す。

 

 

「続けて。」

「私には、解けているかどうか分かります。」

「そりゃそうだろうね。けど、教える気はないんでしょう?」

「はい。今教えれば、未来は変わってしまいます。しかし、保険をかけることはできる。貴女は解き方を知っているはずです。」

 

 

確かに、知っている。

 

解き方を知っているけど、私は初めからその方法を選ぶつもりはない。シディアスが死んだこともあるが、何より代償が大きい。しかもシディアスが死んだ為に、必要なものが手に入らない。

 

彼の言葉を肯定して、私は頷く。

 

 

「保険って、何?」

「手に入るはずがないものを、貴女にお渡しします。」

「今じゃないんだね。」

「その時が来たら、必ず渡します。」

 

 

彼は、誓ってもいいと宣言する。

 

その言葉に、未来を彼に託すことにした。彼が行動すると決めたんだ。私も行動しなければならない。

 

遠い未来に起こり得る、ファースト・オーダーの台頭に備えて。

 

男が去った後、私はダンタムに相談した。

 

未来を変える為に、どうすべきか。

 

 

「ずっと先で、帝国の後継組織が立ち上がる。」

「新共和国は何もしないのか?」

「何もしないわけじゃない。手に負えなくなるの。だけど、帝国の時みたいに人々は希望を信じる。」

 

 

話してしまえば、未来は変わってしまう。

 

遠回しにしか言えないけど、ダンタムは何かを察しているだろう。

 

 

「それなら反乱軍のように、その人々が生き延びるように動こう。」

「どうやって?」

「君の記憶に頼る時だ。」

 

 

私の記憶の中にエピソード7と8があり、この2本は比較的新しい記憶に入る。転生する前、立て続けに公開されたくらいだ。重要なシーンくらいは覚えている。

 

懸念要素があるとすれば、エピソード9くらいだった。

 

 

「反乱組織が大打撃を受けるのは、いつだ?」

「それは──────」

 

 

一つ一つ思い出して、私は壮大な計画を立てた。

 

全てを変える為に。

 

 

「ダンタム……危険な未来だとしても、私を愛してくれる?」

「当然だ。」

 

 

戦いに備えて、私達は静かに準備を始めた。

 

私とダンタム、レイアとルークだけの計画だ。誰にも知られてはいけない。知られれば、未来は闇に染まってしまう。

 

誰も本当の闇に気付かないまま、時は過ぎていった。

 

たった一人を除いて。

 

 






分かる人は分かると思います。
アリスはその男を無意識に嫌悪してますのでw
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