冷たい風が、背中を吹き抜ける。
エクセゴルから2パーセク離れた場所から、再びフォースの幻影を飛ばした。マントを着て、私はフードを深く被る。暗黒面の寒気を堪えるように、マントの中に素肌を隠した。
怖れを掻き消してまで、幻影を飛ばした目的は一つ。
シディアスと話す為だ。
「戻ったか、我が小鳥よ。」
今度こそ、シスとの戦いを終わらせる。
「シディアス、その内生身の身体で来る。子供達を利用なんかしたら、あんたの野望は叶わないと思って。」
「ほぅ……?」
「あえて言うけど、肉体は渡すつもりはない。」
「では、なぜ来る?」
ジャクーの戦いが終わってから、ずっと考えていた。
ジェダイとシス、光と闇、光明面と暗黒面………バランスとは何か?
アナキンは選ばれし者で、シスを倒すことでフォースにバランスをもたらしたはずだった。だけど、シディアスは生きている。シスは滅びていなかった。
それなら、私の選ばれし者としての役目は何なのだろう、と。
考えた結果が、今回の計画だった。
「それを直接会って話そうと思ってね。他の誰でもない、私だけの計画がある。」
「今更無駄なことだ。」
「無駄かどうか決めるのはあんたじゃない。決めるのは、フォースの意志。」
「先の見えぬ賭けをするつもりか?」
「それがジェダイの専売特許だよ、ダース・シディアス。」
希望ある未来を予期するのが、ジェダイだ。そして、私もジェダイである。私は今と未来、両方を見据えている。
一度暗黒面に堕ちたことで、絶望だけではないと気付いた。
「戯れ言を……賭けに負ければ、其方は身を滅ぼすぞ。」
「構わない。フォースの意志が許さないなら、私は大人しく罰を受ける。あ、それともう一つ。」
私は楽しそうな表情をしていたのか、シディアスはつまらなさそうに見てくる。
「サプライズがあるから。」
「………余が見通せぬとは…」
「分からないだろうね。“彼”は、この時をずっと待っていた。そう、遅すぎるくらいに。」
「彼……?」
「あんたが嫌という程知っている人だよ。」
シディアスにしては、珍しく考え込む。
今なら奴の心が見える。シディアスはプレイガスを想像したけど、違う。誰もが、死んだと思っている人だ。
「プレイガスじゃないからね。」
「アリス……!」
「答えは直接会ってから教えてあげる。サプライズを楽しみにしてて。また会おう、シディアス卿。」
そう言って、エクセゴルから意識を切り離す。
準備は整った。
私はこれから、最後の仕上げにかかる。フォース感応者全ての運命が変わるだろう。例外はなく、私やビリー、レイの運命も変わる。
宿命の意味が消え、フォース感応者は道を選べるようになる。
それが、自他共に願ったことだった。
────────
オク=トーにいるレイと俺は、ルークが住んでいた家でヴィジョンを見た。
母さんが何を望んで、何を計画したのか。
皇帝との戦いの前に、それが知りたかった。レイに連れられて入ったルークの家で、俺はその理由を探した。この家に、ヒントがある気がした。
そして俺とレイは、ヴィジョンで母さんの願いを知った。
その理由を知ったレイは、訓練を付けた母さんを信じられず、外へ出てライトセーバーを海に投げようとする。何より、レイは自身の出自を知ったばかりだ。疑うのも肯ける。母さんはレイの出自を知っていたからだ。
俺も母さんの行動を信じられず、レイを止めなかった。
「アリスは、全て知った上で……!」
レイはついに腕を振り、ライトセーバーは海に落ちていく。
だが、そのライトセーバーをとある人が受け止めた。
『ジェダイの武器には敬意を払うべきだ。アリスはそう教えなかったのか?』
「「マスター・スカイウォーカー!?」」
マスター・スカイウォーカーは、ライトセーバーを掲げて笑みを見せる。
『お前達、ヴィジョンを見たのだろう?』
彼の言葉に、俺達は頷く。
俺達が見たヴィジョンは、俺が産まれる前の頃の母さんと父さん、マスター・スカイウォーカーとオーガナ将軍の密会だった。
4人は、俺達の知らない計画を立てていた。
その計画は、今後現れるであろうフォース感応者の為の計画だった。その為に俺とレイを鍛え、尚且つ俺達2人の為の計画でもあった。来たるべき未来の為に、母さん達は壮大な計画を立てた。
『アリスの計画の基盤は、お前達がジェダイになることから始まるんだ。なぜ彼女を信じられない?』
「マスターは……アリスは、私達すら変えようとしています。」
『その通りだ。きっかけはお前だ、ビリー。』
「俺……?」
『そうだ。アリスは、我が子がジェダイになることを良しとしなかった。お前がジェダイになれば、シスとの戦いは避けられない。お前を授かり、アリスは計画を変えたんだ。』
母さんは俺を妊娠して、計画を変えたと言う。
だが、最後には俺にジェダイの訓練を付けた。計画の為に。レイと俺、2人の為にも。
「どうして……?」
『バランスだよ。アリスは私の父と同じ選ばれし者だ。フォースにバランスをもたらそうとしている。お前達の為にな。さぁ、お前達には何ができる?』
「………」
「俺は……」
答えは出ていた。
母さんはシスを倒そうとしている。弟子である俺達が、黙って見ていることはできない。俺達も、ジェダイだ。
「ビリー、行きましょう。」
「ああ。」
俺とレイは、レンのTIEに乗り込もうとするが、思わず足を止めてしまう。
そのTIEの前に、初めて見るジェダイが霊体で立っていた。
『紹介しよう、選ばれし者のアナキン・スカイウォーカーだ。』
「「ええ!?」」
『親友を手伝ってほしいから、姿を見せたんだ。そら、Xウィングを持ち上げるぞ。』
彼がそう言うと、Xウィングが陸に引き上げられる。
「これを、どうしろと……?ウェイファインダーは一つしかないんですよ!」
「それに、一人しか行けません!」
『心配するな。僕が手を貸す。レイ、お前はXウィングに乗れ。ウィリアム、お前はそのTIEでレイの後を追うんだ。大丈夫だ、僕が手を貸せば迷わない。』
アナキン・スカイウォーカーの笑顔に、俺達は唖然となる。
そうか、このウェイファインダーは元々ムスタファーにあったものだ。持ち主は、ダース・ヴェイダーである、アナキン・スカイウォーカーだ。つまり、彼の記憶の中に星図があるということだ。
母さんやレジスタンスの為に、できることをやろう。それが未来に繋がるなら、シスと戦う。大昔のジェダイのように。
目を見開き、俺はTIEの舵を握る。
母さん譲りの、荒操縦を発揮する時だ。
日付変わる前に間に合わなかった……
すみません泣
直してたらとんでもない時間にorz