【完結】ジェダイ(仮)になりました。   作:夭嘉

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舞台の準備を始めましょう

数時間後、私はエクセゴルに辿り着いた。

 

ウェイファインダーはないが、どこを通れば着けるか自然と分かった。アナキンの声を頼りに、私は舵を操り、未知領域の星雲を抜けた。生身の肉体でエクセゴルの地へと踏み出し、一人で先を進む。

 

幻影の時と同じようにフードを深く被り、暗黒面が濃く渦巻く神殿の前で止まる。

 

 

「お待ちしておりました、マスター・レイン。」

 

 

シスの信者であるシス・エターナルの何人かが私を囲う。

 

逃げないということを言って、私は丸腰だと説明した。

 

 

「ここへ来るのに丸腰だなんて……《あり得ない。》」

 

 

最後の一言を、古代シス語で呟かれる。

 

 

「では、お連れしましょう。シディアス卿の下へ。」

 

 

目の前の男以外の信者は、静かに下がる。

 

私はその信者に付いていき、シディアスのいる玉座の間に踏み込む。

 

30年越しで直に感じたシディアスは、酷く不気味だった。クローンの肉体とはいえ、奴の暗黒面の力は健在だ。そう、禍々しい程に強い。

 

そして、私はシディアスに向けて声をかける。

 

 

「シディアス……」

 

 

私の顔を見たシディアスは、目を見開く。

 

 

「アリス…!其方はっ……」

「一つ目のサプライズ、喜んでくれた?」

「何がサプライズだ!!」

 

 

シディアスの怒号に、私のフードが取れる。

 

晒された私の顔は皺が刻まれ、髪は白髪が混じり、頬が少し痩けている。誰が見ても、シディアスの目の前にいるのは老婆だ。まるで、奪われた数十年を取り戻したかのような姿だった。

 

年季が掛かったその姿に、奴はショックを受けていた。

 

 

「なぜ術が解けた!?其方一人では解けぬはず!答えよ、アリス!!」

 

 

シディアスの叫びの通り、私は術を解いている。

 

遅いくらいだけど、奴の野望を防ぐ為なら、遅くても解かなければならなかった。

 

 

「ここで問題です。私はいつ解いたでしょう?」

「何だと……!?」

 

 

術を解いたのは、数分前なんかじゃない。

 

最初の賭けだった。シディアスに術を解いたことがバレたかどうか、奴の力量を試そうと思った。その結果、私の予期通りになった。

 

奴は自分の術を、完全に掌握していない。

 

 

「1つ目の勝負は私の勝ちだね。じゃあ、第2問。」

「余を愚弄するのも大概にせよ!其方が術を解いたところで、何も変わらんのだ!」

「私の協力者は誰でしょう?」

 

 

シディアスの言葉を無視して、次の問いを投げかける。

 

奴は協力者という言葉に、冷静さを取り戻す。プレイガスではないのなら、一体誰が私に手を貸したというのか。シディアスの疑問はそれだけだろう。

 

目を閉じて、私は協力者の気配を探る。

 

 

「もうすぐ来るよ、彼。」

「其奴は何者だ?」

「あんたが希望を持ち、切り捨てた者。彼は……皇帝に応えようとした。でもあんたは己の野望の為に、彼に失敗作の烙印を押した。」

「………」

「ここまで言って分からないんじゃ、あんたは何も理解できないよ。」

 

 

近付いてくる子供達の気配を感じて、私は振り返る。

 

どうやら、アナキンが手を貸したらしい。ウェイファインダーが一つしかないのに、ビリーはここまで来られたんだ。アナキンが手を貸したとしか思えない。

 

玉座の間に踏み込んできた2人は、その重く苦しい暗黒面のフォースに立ち止まる。

 

ビリーは私の姿を見て、唖然としていた。

 

 

「母さん……?」

「術を……」

「解いたよ。」

 

 

レイの呟きに、そう返す。

 

ビリーは少し安心しているようだった。ウィリアムは、私が術で苦しんだことを知っている。苦しみを知っているから、術を解除できたことに安堵している。

 

そこで、シディアスは声を張り上げた。

 

 

「良い!良いぞ!我が孫娘とアリスの息子がおれば、シスが復活する!」

「違う。俺達はお前を倒す為に来たんだ。」

「もう終わりよ、パルパティーン皇帝。」

「ジェダイの意志を継ぐつもりか。」

 

 

2人は私を見て、口を開く。

 

 

「いいえ、私達はアリスの意志を継ぐ。」

「母さんが望んだことを叶える。その為に、お前を倒す。」

 

 

子供達は、はっきりと宣言した。

 

レイとビリーは、ライトセーバーを構える。

 

そんな2人に対して、シディアスは怖れることなく笑った。

 

奴にとって、ジェダイは目障りそのものだ。2人はジェダイの訓練を受けたけど、教えたのは私だ。私の望みに、ジェダイに必要なもの、不要なものを教えてきた。過去の教えと違うのは、掟を不要としたこと。愛情は暗黒面へ通じる落とし穴として、旧ジェダイ・オーダーは禁じてきた。だけど、大事なのは避けることではなくて、どう受け入れるかだ。それが、私の教えだ。

 

愛情は、怖れるものじゃない。

 

シディアスは、その教えが気に入らないんだ。

 

結局、私の根本はジェダイなのだから。

 

 

「させるものか!ジェダイはここで滅び去るのだ!!」

 

 

ライトニングが、子供達に放たれる。

 

私は到着した協力者の気配に気付き、手を出さなかった。

 

そして、玉座の間に飛び出してきた彼がライトニングを受け止める。

 

 

「お前は……!」

「お久しぶりです、“陛下”。」

 

 

協力者はライトニングを防いだ後、シディアスに恭しく礼をする。

 

協力者である彼も、私の弟子だ。直接教えてはいないけど、ホロクロンを通じて必要なことを教えた。ツタミニスも、私が彼に教えたものだ。

 

ようやく、終わりを迎えることができる。

 

私が望んだ形で、終わることができるんだ。

 

 






お待たせしました!
こんなに遅くなるとは思わなかった……orz
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