協力者である男は、子供達に微笑む。
彼の正体を真っ先に気付いたのは、レイだった。
「貴方は………私の父…?」
レイの声は震えていた。
無理もないだろう。両親は殺されたことになっていたのだから。レイを隠す為に、2人はオーチに殺されたはずだった。
計画は、彼、レイの父親が、ナブーの片田舎にいた私を訪ねてきた時から始まった。
「愛すべき娘よ、すまなかった。」
「どういうことだ……?」
自身のクローンであり、息子でもある彼に、シディアスは戸惑いを見せる。
その戸惑いに、私が丁寧に答えてあげた。
「私が助けたの。」
「何……?」
「レイの母親は救えなかったけど、彼は助けることができた。計画の為に、彼は私を必要として、私も彼を必要とした。」
「アリス、最初から私のことを……」
「知ってたよ。………お母さんを助けられなくてごめんなさい。」
彼はオーチから逃げた後、姿を消した。
その代わり、私達はホロクロンを通してやりとりした。タナヴィーに訪ねてきたのは、暗黒面に呑まれた私を確かめる為で、計画の続行を確認する為でもあった。あの時私が暗黒面から戻れなければ、計画が崩れていた。
自分で立てた計画を、自分で潰そうとしていた。
彼も同じだ。レイの母親が、彼を光明面に引き止めている。彼女が亡くなった今、彼を繋ぎ止めているのは、レイだ。
「だが解せぬ。其方はなぜ術を解けた?解除するには、ジェダイのままでは不可能なはずだ。」
そう、術を解くにはいくつかの条件がある。まず、私がシス、シディアスに忠誠を誓うのが大前提だった。でも私は従わない。
では、どうやって解けばいいのか?
答えは簡単だった。私がシスとしてシスに従う必要はない。それなら、ジェダイとしてジェダイに忠誠を誓えば良い、と。
レイの父親をシスではなくジェダイとして、私は彼に忠誠を誓った。
私が師だけど彼に忠誠を誓うなんて、奇妙な関係だった。
「私と彼とは、利害が一致したの。私は術を解いて、彼は自身と娘の出自から解放される。最も、彼の願いは娘を守ること。私も、彼と同じく息子を守りたい。同じ目的があるから、手を組んだ。」
「しかし、忠誠を誓っただけでは解けません。マスター・レインには、私の血を提供しました。私には、父と同じ血が流れていますから。」
第二の条件が、忠誠を誓う為に主の血を身体に取り込むこと。シディアスの狙いは、私の肉体だった。だから、乗っ取りやすくする為に血を取り込ませる必要があった。
「私はビリーの為に、彼はレイの為に。レイアも、ベンの為に。私達は、あんたが理解できないものを持っている。」
更に、奴の見落としがあった。それが、家族の愛だ。シディアスは愛情を理解できない。
だからこそ、私の計画も魂胆も見通せなかったんだ。
「親子の再会など、馬鹿馬鹿しい!ヴェイダー卿も、息子の前で死に果てた!其方らも我が子の前で果てるのだ!!」
その時、レイは誰かに頷く。相手が誰なのか、すぐに分かった。今こそ、ジェダイの真価を見せる時だ。
あの“スカイウォーカー”が帰ってきた。
レイがビリーに何かを目で訴え、ビリーはヒルトを腰の後ろに持っていく。ウィリアムがその手を掲げた時には、もうヒルトはなかった。
「ウィリアム!!」
「っ!!」
隠し持っていた私のライトセーバーを息子に託し、レイの持つレイアのライトセーバーは、彼女の父親に託された。
今度こそ丸腰だけど、私には必要ない。
「母さん!」
シディアスの周りに控えるガード達が、ブラスターで撃ってくる。丸腰の私を守ろうとする息子をフォースで止め、レーザー弾をツタミニスで偏向させた。方向を変えたレーザー弾は、ビリーの後ろのガードを倒す。
今思えば、マスター・シャンはこの時の為にツタミニスを叩き込んできたのかもしれない。
レイとビリーがライトセーバーを守りに使っているのに対し、レイの父親は守りだけでなく、攻撃にも用いていた。それは彼がジェダイではなく、シスとして戦っていることを示している。彼はシディアスから教えを受け、足りない部分を私が教えたようなものだった。
「おのれ……!アリス!!」
レン騎士団を倒し終えたのか、ベンが玉座の間に駆け込んできて、私達はシディアスに向き合う。
「おかえり、ベン。」
「マスター・レイン、感謝します。」
子供達3人は前に立ち、ライトセーバーを構える。
「余を見縊るでないぞ、アリス!!!」
シディアスは手を子供達に向けて、生気を奪おうとする。このままでは奴が甦ってしまう。それだけは避けなければならない。
私は意識を研ぎ澄ませながら、子供達の前に出る。
「何っ……!?」
隣には、シディアスの息子が立っていた。
「2人揃って逆らうと言うのか!?」
その瞬間、私は彼に投げ飛ばされ、彼は一人でシディアスの力を受け止める。顔を上げると、シディアスは子供達3人の生気よりも強い、彼の生気を奪い取っていた。彼が倒れると、奴の肉体は活気を取り戻す。
その手を天に掲げ、シディアスは全力のライトニングを艦隊に向けて放った。
「シスがジェダイに滅ぼされるなど、あってはならんのだ!!」
「やめ、」
止める間もなく、ライトニングは艦隊の過半数を機能停止にさせる。
「シディアス!!!!!!」
私は怒声と共に、シディアスに向かおうとする。
ところが、それを倒れたはずの男に腕を掴まれ止められた。
「近付いてはいけない。」
「っ……」
その時、宇宙のフォースが目を覚ました。
極限にまで感覚を研ぎ澄ませたレイとビリーが、宇宙のフォースと繋がりかけている。
経験は才に勝る。訓練では難しかったことを、この場でやろうとしている。時間、場所、状況なんて関係ない。
フォースは、すぐ傍にある。
地味に調子良いwww