レイとビリーが宇宙のフォースに呼びかけ、アナキンが姿を現す。
アナキンが姿を現したと同時に、私とレイ、ビリーにはマスター達の声が聴こえていた。
『レイ』
『ウィリアム』
『手を貸そう。』
ベンにも聴こえたようで、信じられないという表情で私を見る。
『ジェダイの全てが、お前達に受け継がれている。』
『ウィリアム、フォースの声を聞け。』
『レイ、光を探して。』
懐かしい。
マスター・クワイ=ガンにマスター・ウィンドゥ、マスター・ガリアの声も聴こえる。その後ろには、ケイナンやルークの声も捉えた。遠く離れた星にいるであろう、アソーカやエズラの声も聴こえる。
彼らの声に、思わず笑みが零れる。
私の笑みに、マスター・ヨーダがベンに声をかけた。
『スカイウォーカーの末裔よ、己が使命を果たすのじゃ。』
アナキンがベンに歩み寄り、その名を呼ぶ。
『ベン』
カイロ・レンは、ダース・ヴェイダーに憧れを抱いていた。だけど、ベンはアナキンの光に導かれている。シディアスの思い違いも甚だしい。
ベンは、本来なら光の存在なのだから。
『アリス、今こそ手を取り合おう。』
「アナキン………フォースは我らと共にある。」
アナキンと2人で、シディアスの前に立つ。
奴は、私とアナキンの絆を怖れている。だからこそ、シディアスはレイとビリー、ベンを怖れている。私達のように手を取り合うことを、奴は怖れた。
「アナキン・スカイウォーカー!!」
『“マスター”、もう終わりです。』
「終わってなるものか!!」
シディアスのライトニングが激しさを増し、応援に来た船まで落ちていく。奴のライトニングを止めなければ、艦隊は全滅だ。ここで諦めたら、希望は消え失せる。
シス艦隊は、エクセゴルから出してはならない。
「何っ!?」
宇宙のフォースを通じて、私はマスター達の助けを得る。
その強いフォースで、艦隊を狙うライトニングを逸らし続けた。今ならエクセゴル全てを見渡せる。レジスタンス艦隊、シス艦隊、そして私を待つ夫。
ダンタムが、私の帰りを待っている。
「余の力を跳ね除けただと!?」
「私には乗り移れない。シディアス、あんたは私のことを何も分かってない。家族が待っているから、私は何度でも立ち直れる。」
「この……!」
今度は私へ直接ライトニングを放とうとする。
「っ!母さん!!」
ウィリアムの手にあるライトセーバーを引き寄せ、奴のライトニングを防ぎ、シディアスの左手首を切り落とす。
奴は悲鳴を上げ、膝をつく。
「っ……アリス、さぁ殺せ!余を殺すのだ!!」
「私は殺さない。あんたを滅ぼすのは、私じゃない。」
私の隣にいたアナキンが、シディアスの前に歩み寄る。
「何をする気だ!?」
「殺さないとは言ったけど、許すとは言ってない。」
「な、何だと……!?」
『貴方はシスも裏切っている。アリスと同じように。』
「私も罰を受ける。シスを裏切った罰をね。」
私の覚悟に、息子のビリーが走ってこようとする。それをレイの父親がフォースで止めて、ベンとレイは私のフォースに気圧されて下がった。
「母さん……!」
再び暗黒面のフォースと繋がり、私は名もなきシス卿としてシディアスの前に立つ。瞳は金色に染まり、酷い寒気が私を襲った。そして、レイの父親に“プレイガス”が乗り移る。
私がシス卿になることで、私のシス・マスターであるプレイガスが存在できる。
プレイガスは、まだシディアスを許していない。
「《情けない、我がアプレンティスよ。》」
「マスター・プレイガス……!?」
目には目を、歯には歯を。
シディアスを、シスを滅ぼすのに、ジェダイとシス、両方の力が必要だ。ジェダイになった皇帝の息子と、シス卿の私。プレイガスがジェダイに乗り移ったことで、更に意味を為す。
「《新たな弟子、レインよりも劣る。お前はここで滅びるのだ。》」
「やめろおおおおおっ!!」
「サヨナラ、シーヴ・パルパティーン。」
シディアスは、プレイガスに掌で触れられる。皮膚から崩壊していき、徐々に風化していく。最後に残ったのは、落ちた頭部だけだった。だが、その頭も少しずつ風化していく。
風化しながらも、シディアスは声を張り上げる。
「アリス!其方は報いを受けるぞ!ジェダイとシスの在り方を変えようなど、幻想に過ぎんのだ!」
「………」
何千年も続いた、ジェダイとシスの系譜を変えるのは簡単じゃない。
それは一つの流れで、歴史だ。未来があるから、現在は歴史の一部なんだ。歴史を変えるのは難しい。
でも、望んだ形に変えることはできた。
レイの父親は死の運命から避け、レイアも息子に会える。
「ハッピーエンドが迎えられるなら、私は報いを受ける。」
「全てまやかしぞ!やはり其方は甘い!シスは何度でも甦る!其方が死んだ後も、な!!!」
その声と同時に、シディアスは口から渾身のライトニングを放つ。それは私を殺す為の一撃だった。ツタミニスで受け止めるも次第に押され始め、限界が近付いていた。
『ベン!!』
スカイウォーカーの血を継ぐベンが、アナキンの指示で私の隣に立ち、一緒にライトニングを受け止める。
だけど、ここでスカイウォーカーを途絶えさせるわけにはいかない。
ベンを拒み、一人でライトニングを受け止める。
「アリス!!」
「ダメだ!母さん!」
弟子2人の声を背に、感覚が鋭くなっていく。
ライトニングは辺りを破壊し、壁や天井が崩壊してくる。シスの信者達は吹き飛ばされ、シディアスも完全に風化する。瓦礫から子供達を守るように、3人をフォースでエクセゴルの外に押し出し、私は勢い余ったライトニングを身体に受ける。
痛みに耐えながら、プレイガスが憑依する男も外に押し出す。
「何をしているのアリス!?」
「レイ、選ぶ権利はあんたにある。」
「え……?」
瓦礫がラボを塞ぎ、私は一人になる。
艦隊の戦いは、シス艦隊の旗艦が墜ちたことで終わりを迎えていた。多くの艦船がエクセゴルへ落ちてきて、その振動が私の立つラボにまで伝わってくる。手からヒルトが転がって、呆然と立ち尽くす。
戦いは終わった。
子供達は大丈夫。レイアも生きている。これだけ願いが叶ったなら、後悔はない。
『アリス』
隣にいるアナキンに、小さく微笑む。
私も、終わりを迎える。
ジェダイもシスも関係のない時代が来る。そこに、ジェダイの私は必要ない。新しい世代を導くのはレイ達と、フォースの意志だ。
ようやく、静かに休むことができる。
あぁ、ダンタムに会いたい。
あと2、3話で終わります。
あぁ…終わっちゃう………