【完結】ジェダイ(仮)になりました。   作:夭嘉

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エピローグ
全てのものに終わりは来る


半年後……

 

ウィリアム・ルードは、未だに両親を見つけられなかった。

 

ウィリアムは心当たりのある星を巡り続けた。しかし、両親はどこにもいない。噂の一つもなく、見当も付かなかった。

 

レイの父親に言われ、フォースの声にも耳を傾けたが、2人は行方知れずだった。

 

進展があったのは、惑星ロザルに訪れた時だった。

 

 

「老夫婦?」

「はい。何か知りませんか?」

 

 

小さな村にある屋台の店主が、R7-D4の映すホログラムを見つめる。ホログラムに映っていたのは、ウィリアムの母、アリスだった。その姿は呪いを解く前のアリスで、捜索を難航化させていた。

 

ところが店主、中年の女性は何かを思い出したように声をあげる。

 

 

「そういえば、この人に似たご年配の女性なら来たよ。」

「本当ですか!?」

「間違いないよ。旦那さんと一緒にいたね。ただ、奥さんの方は少し……」

「何ですか?」

「顔色が悪いというか、弱々しかったんだよ。」

 

 

ウィリアムは、すぐにアリスだと気付いた。

 

だが、弱々しかったというのが気になっていた。エクセゴルの瓦礫を受け、重傷だったのではないかと、ウィリアムは心配する。

 

 

「あの、お二人は今……」

「最後に見たのは、1週間前だったかなぁ……隣の親父がウエスタン・ゾーンで見たと言っていたよ。あの通信タワーが見えるだろう?あれを越えたところさ。」

「ウエスタン・ゾーン………ありがとうございます!!」

 

 

R7-D4を連れて、ウィリアムはスピーダー・バイクに跨る。

 

ウィリアムはコザルを離れ、青々とした草原の中を進む。スピーダーの隣をロズ=ウルフが走り、彼はウルフ達に微笑む。ロズ=ウルフはひと吠えすると、ウィリアムの進行方向から逸れ、どこかへと消えていった。

 

R7はそんなウルフ達に、アームを使って手を振る。

 

 

「R7、最短コースを探してくれ。……は?なんでだよ?……分かった!分かったから背中を叩くな!」

 

 

R7が言ったのは、ウィリアムが最速ルートを探せということだった。ドロイドの最短ルートよりも、ウィリアムのフォースで最速ルートを探った方がいい、と。否定すれば、ドロイドは元の持ち主と同じようにアームで叩いた。

 

やがて、スピーダーはウエスタン・ゾーンに入り、景色が変わる。

 

通信タワーを越え、ウィリアムは小さな家を捉えた。

 

 

「あれは……」

 

 

その家に着き、ウィリアムはスピーダーを降りる。R7-D4もスピーダーを降りて、ウィリアムはドアをノックする。

 

 

「………」

 

 

しかし、応答はなかった。

 

そこへR7がウィリアムの手を引き、家の裏へ回る。

 

 

「っ!!」

 

 

ウィリアムは、その光景に言葉を失った。

 

彼の視線の先には、アリスが長椅子に座ってロザルの夕焼けを眺めていた。その隣には、夫であるダンタムを伴っている。

 

アリスはR7のバイナリーに気付き、ドロイドの頭を撫でる。

 

そしてウィリアムに振り向き、優しく微笑んだ。

 

 

「ビリー………」

 

 

その一言に込められた想いに、ウィリアムは全てを悟る。

 

 

「母さん……」

 

 

なぜ姿を消したのか気付き、ウィリアムは涙が止まらなかった。

 

 

「泣かないで、ウィリアム。私が自分で選んだことだから。」

「なんでっ……」

「ビリー、“私達”の選択だ。許してくれ。」

 

 

アリスの目は、金色のままだった。それはシスであることを示していて、暗黒面に身を置いているという証だった。ダンタムは妻の意志を受け入れ、隣にいることを選択したのだった。

 

だが、一つ違う点があった。

 

アリスは光明面のフォースとも繋がっている。

 

則ち、バランスを保っていた。

 

 

「2つの系譜を断ち切るのが、私の役目。望んだことは、自分で叶える。後をあんた達に託してね。」

 

 

アリスはシスでありながら、ジェダイの道も捨てなかった。2つの思想を受け入れて、今のアリス・レインがそこにいる。もう一人の選ばれし者として、彼女は終わりを迎えようとしていた。

 

 

「私はもう長くはない。」

 

 

アリスが言った報いとは、シディアスから受けた秘術による代償のことだった。不老の術は暗黒面の力によるもので、アリスの肉体を蝕んでいたも同然だった。解いた瞬間、一気に老化したのはその為でもあった。その術は解除したが、衰えた肉体は元には戻らない。

 

蝕まれた肉体は、老化で更に衰えていく。

 

術の解除で死に近付くことは、アリスも承知の上だった。

 

夫のダンタムも、彼女の覚悟を受け入れている。

 

 

「私の居場所を誰にも教えないで。ダンタムと2人で終わりたいの。」

「けど………」

「ビリー、頼む。」

「俺が残るのはダメなのか?」

「お願い、ビリー。」

 

 

2人の決意に、ウィリアムは頷くしかなかった。彼にできるのは、黙って去ることだけ。だがビリーは一人のジェダイとして、新しい道を探した。

 

 

「母さんと父さんが選んだ道だ。もう何も言わない。」

「ありがとう。」

「その代わり、レイとベンには教える。2人にも知る権利があるだろ。俺達3人は、母さんの弟子だ。黙って消えないでくれ。」

 

 

ウィリアムの言葉に、アリスは笑顔で頷く。

 

彼は背を向けて、R7-D4を連れスピーダーに跨る。振り返らず、来た道を戻っていく。視界が滲んできても、止まることはなかった。

 

ふらふらな走行にR7が警告するが、ウィリアムは怒鳴り返していた。

 

 

「っ……うるせぇ!」

 

 

シャトルに着いた頃には、涙が頬に零れていた。

 

嗚咽を漏らしながら、ウィリアムはR7-D4を抱き締める。

 

 

『大丈夫だ、君は乗り越えられる。』

 

 

ウィリアムが顔を上げると、R7-D4の向こう側に霊体のアナキン・スカイウォーカーが立っていた。

 

 

「貴方は……」

『君は母の愛情を受けている。迷うことはない。胸を張るんだ。』

「だが、」

『アリスは自分の意志を貫いた。息子の君は迷うのか?』

 

 

アナキンの言葉に、ウィリアムは拳を握り締める。

 

迷ってはいられない。母が選択肢を増やしてくれた。ウィリアムはそう気付き、立ち上がる。

 

コックピットに走る親友の息子を、アナキンは静かに見送った。

 

そして、アナキンは親友がいる方角を見つめる。

 

少女と少年の物語は、まだ終わらない。

 

 




次がラストになります。
もしかしたら、後日談でプラス1話書くかもw
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