今思えば、私はジェダイで良かったと思う。
ジェダイ聖堂に連れてこられなければ、ジェダイにもならなかったし、ジェダイでなければダンタムにも出会えなかった。フォース感応力がなかったら、私は捻くれたままでずっと独りだったかもしれない。生きている意味さえ、見つけられなかっただろう。
好きにはなれないけど、それだけはジェダイ・オーダーに感謝している。
術を強引に解いた反動で、私の命はもう長くない。
残された時間は、ダンタムと2人で過ごしたい。
私の全てを受け入れてくれた、彼と2人で……
「ダンタム」
「どうした?」
「ありがとう。」
隣に座るダンタムに、感謝の言葉を伝える。
私が暗黒面から戻れたのも、ダンタムがいてくれたからだ。一人なら、戻れなかった。彼は、闇の中の光なんだ。
「急にどうしたんだ?」
「伝えたかっただけ。」
「アリス……」
「ビリーにも、感謝しなきゃ。」
訪ねてきたビリーは私達のお願いを聞いて、静かに去ってくれた。
ここに来るまで、どれだけ苦しい思いをしてきたのか分かる。だけど、乗り越えてもらわなければならない。これからはレイやビリー達が、新しい世代を担っていくのだから。
「一つだけ、心残りがあるんだ。」
「君が?」
「うん。私が先に逝くなんて思わなかったこと。貴方を置いていってしまう…」
「私は大丈夫だ。ビリーもいる。」
ダンタムに身を預けて、肩に頭を乗せる。彼は私を抱き締め、髪を撫でてくれた。それが心地良くて、思わず笑みを浮かべる。
私達は夕日を眺め、完全に沈むまで言葉を交わすことはなかった。
陽が沈んだ瞬間、懐かしい気配を感じて、視線をその気配へと向ける。
『アリス、悔いるな。お前の伴侶は、お前を救う程強い。よく分かっておるじゃろう。』
「はい、マスター・ヨーダ。」
マスターが姿を現し、私は宇宙のフォースに呼びかける。
それから、マスターに続いてアナキンも姿を現した。
『ルード議員、親友を支えていただき感謝します。』
「アリスの為だ。私こそ、貴方達に感謝したい。」
次いで、アナキンは私に声をかける。
『永遠などない。ジェダイにも、シスにも。そして、君にも。』
「アナキン、違うよ。」
『何が違う?』
「誓いだけは、永遠に続く。健やかなる時も、病める時も。私は彼の隣にいる。」
『そうだったな。君はそういう人だ。また会おう、友よ。』
『フォースと共にあらんことを、アリス・レイン。』
2人はそう言って、姿を消した。
残された私とダンタムは、変わらず寄り添っている。
「っ!」
レイとベンの視線を感じた。
恐らく、ビリーが連絡したんだろう。今までは隠れる為に拒んできたけど、今回は2人と向き合った。意識を繋げて、私は“スカイウォーカー”に笑顔を向ける。
「フォースは共にある。」
「アリス……?」
「フォースが貴方を守ってくれる。忘れないで、ダンタム。」
「ああ…!」
彼の声は震えていた。でも、お互い未練はない。いつ如何なる時も、私達は信じ合っていた。
とても長い人生だった。
心から幸せを噛み締め、私は目を閉じた。
────────
朝日が昇り、アリスの肉体はフォースと一体化する。
彼女の師や弟子、友と同じように。
ショールだけが残り、ダンタムは空になった肩に手を添える。残っていた温もりもすぐに消え、彼は一人涙を流す。その涙を受け止めるはずの、最愛の彼女はもういない。
「アリス……」
返ってこないと分かっていても、彼は妻の名を呟く。
その時、彼の耳が何かを捉える。
ダンタムは振り向くが、そこには誰もいなかった。
「………?」
彼は長椅子から立ち上がり、静かに家の中へ入っていく。
その一方で、フォースの霊体となったアリスが丘の上から見つめていた。彼女は若い頃の姿で、左の二の腕には、ダンタムが贈ったアームカフがあった。
彼女の隣には、アナキンが立っている。
アリスは最愛の夫を、目に焼き付けていた。
『会いに行かなくて良いのか?』
『会いに行ったら、私の方が寂しくなる。』
『いつでも会えるだろう。その為に、フォースの女官に師事したんじゃないのか?』
『そうだね……』
アリスは夫を見つめながら、アナキンに頷く。
彼女は親友に手を引かれ、姿を消した。
こうして、ジェダイとシスの系譜は断ち切られたのだった。
少女の長い物語は、静かに終止符が打たれた。
ロザルより遥か遠い地、エイジャン・クロスでは、レイとベンがアリスの死を感じ取っていた。戻ってきたウィリアムの顔は寂しげで、目は赤く腫れていた。後ろに付き従うR7-D4も、悲しげなバイナリーを発する。
レイアも、レイ達と同じようにアリスの死を感じ取っていた。
子供達を見守る彼女の隣にアリスが現れ、レイアの肩を優しく叩く。
『レイア』
レイアは、彼女の名を呼ぶ。
「ありがとう、アリス。」
レイアの言葉に、アリスは少し驚いた表情をする。しかしその表情はすぐに消え、彼女は笑顔を見せる。心から伝えた感謝に、アリスは安心したような顔をした。
『レイア、フォースと共にあらんことを。』
姿を消したと同時に、アリスはレイアに告げる。
その光景を見たレイは、唖然としていた。
「彼女は、多くのものをくれたわ。」
「ええ、そうですね。」
「レイ、お父さんを大事にね。」
「はい、マスター・レイア。」
レイが振り返った視線の先には、彼女の父親がいた。
彼は娘を抱き締め、2人はようやく親子に戻った。
それは、アリスからの贈り物だった。親を知らないアリスは、レイに両親の愛情を与えた。ベンを残し、レイアを救い、自らは歴史を歪めた報復を受けたのだった。
更に、彼女はもう一つ贈り物を残した。
「レイ、マスター・レインからだ。」
レイが父から渡されたのは、シス・ホロクロンだった。
そのホロクロンは元々、レイの祖父であるシーヴ・パルパティーンのもので、アリスが皇帝に与した時に彼女が受け取るはずのものだった。ホロクロンの中は、シスが受け継ぐ知識や力が入っている。アリスはジェダイ・ホロクロンを通じて、レイの父親に預けていた。
そのシス・ホロクロンが今、レイの手にある。
「どう使うかはお前次第だ。暗黒面も刃と同じく、使う者によって良し悪しが決まる。心して受け取れ。」
レイは頷き、シス・ホロクロンを受け取る。
彼女の目には、決意の意志が込められていた。
そして、レイの瞳にベンの姿が映る。2人は手を取り合い、新たな未来へ進んでいく。かつてのアナキンとアリスのように。
2人のスカイウォーカーを見守るのは一人の青年、ウィリアム・ルード。
彼らはマスターの意志を、確かに受け継いでいる。
彼らの師の名は、アリス・レイン。
ジェダイであり、名もなきシス卿である。
fin.
【あとがき】
皆さん、こんにちは。
夭嘉です。
長々と書いてきましたが、ついに終わりです。
終わりを迎えました。
皆様、お付き合いありがとうございますm(_ _)m
最初はこれでもネタ案件だったんですけど、段々とシリアスに………
そして、シディアス卿がストーカー爺と言われ………
作品自体が最早ネタと化していますが、調子に乗ったのも私です、ご容赦くださいww
執筆の裏話はたくさんありますが、ほぼ私事なので割愛します。
感想を書いてくださった方々、本当にありがとうございました。
毎度執筆の活力となっていました。
尚、本編が終わった後、いくつか小話を追加する予定です。
次回作が決まるまで、リクエストがあれば可能な範囲で受け付けます!
本当に次考えてない………orz
考えてないこともないですが、厳選中ですw
では皆様、お世話になりました←
フォースと共にあらんことを。