【完結】ジェダイ(仮)になりました。   作:夭嘉

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母の選択

ウィリアムがまず疑ったのは、シスの信奉者達の実態だった。フォース・センシティブではない者達が、ファースト・オーダーを操れるはずがない。そう疑い、ウィリアムとレイはシスのカルト集団を調べた。

 

調べた結果、出てきたのはある暗殺者集団の名前だった。その名は“マレイディアン”、ジェダイの騎士も殺せると言われた暗殺者のカルト集団だ。マレイディアンは旧共和国の時代、シディアスに依頼されプレイガスの殺害を謀っている。失敗はしているが、プレイガスを追い詰めたカルト集団だ。

 

しかし、マレイディアンは関与していなかった。

 

強いて言えば、首謀者がマレイディアンの元一員だった。

 

 

「マレイディアンは直接関与していない。ファースト・オーダーの現最高指導者が、暗殺者だったんだ。」

 

 

ウィリアムはカンティーナの酒場の隅の席で、レイにはっきり告げる。

 

 

「よく彼らを見つけたわね。」

「………マズが教えてくれた。」

 

 

マレイディアンを探すのは、簡単ではない。マズでさえ、小さな噂でやっと見つける程だった。マズとウィリアムの2人でようやくマレイディアンの1人を見つけ、真相を知ることになった。

 

 

「現最高指導者、ユース・グレンがファースト・オーダーを操っている。奴はシスを崇拝して、帝国を再建しようとしている。母さんを呼び寄せようとしているのは、シスの秘術が狙いだ。」

「でも、なぜアリスはシスの秘術を?」

「母さんは不老の術を解く為に、シスの秘術を調べていた。恐らくその過程で知ったんだ。」

 

 

アリスは皇帝が死んだ後も、不老の術を解く方法を探した。その最中、シスの秘術に触れることも少なくなかった。そうした過程で、アリスはあらゆる秘術を知ったのだ。

 

グレンはそれをどこかで知り、アリスの知識を利用しようとしている。

 

現存するシスの知識は、レイが父から受け取ったシス・ホロクロンと、アリスの記憶のみだった。ホロクロンの存在を知らないグレンは、アリスを利用するしかない。

 

ただの人間にシスの秘術は使えないが、今回は状況が悪かった。

 

 

「グレンはフォース感応者だ。間違いない。」

「まさか…」

「マレイディアンの頭領が言っていた。グレンは勘が鋭い、と。ジェダイやシスの訓練はしていないが、相当の手練れだ。」

「厄介ね……」

 

 

レイは、戦いを懸念する。

 

レイとウィリアムはアリスから訓練を受け、グレンも暗殺者の技を持つ。戦いは避けられない。それは、ウィリアムも懸念していた。

 

 

「ここでグダグダしていても仕方ないわ。すぐ行動に移しましょう。」

「ああ。」

 

 

クレジットをカウンターに置き、2人は酒場を出る。

 

酒場を出ると、店の前でベンが仁王立ちしていた。驚く2人を他所に、ベンは無言でランド・スピーダーを指差す。レイとウィリアムは大人しく乗り込み、ベンがスピーダーを運転する。

 

 

「母から話には聞いていたが、無計画すぎる。特にお前だ、ビリー。」

「仰る通りです……」

「そこはマスター・レインとそっくりだな。」

「やべぇ否定できねぇ…」

 

 

レイを巻き込んだことに、ウィリアムは空笑いする。

 

 

「ベン、艦隊は大丈夫か?」

「反乱軍の英雄が2人もいるんだ。心配するな。次はどうする?」

「次は……ファースト・オーダーの艦船に乗り込む。」

「どう乗り込む気だ?」

「それは………」

「考えてないのか。ビリー、最近母親に似てきたな。」

 

 

ベンの言葉に、ウィリアムはまたしても否定できなかった。それはウィリアム自身も自覚していた。きっかけは、彼の考え方の変化だった。

 

母ならどんな選択をするか?

 

その問いが、今のウィリアムを左右していた。

 

 

「貴方は貴方よ、ビリー。」

「ああ、分かってる。」

「乗り込むなら、手順を踏め。まずは……」

 

 

ベンの口角が上がる。

 

3人は、カンティーナの外れで待機するストーム・トルーパーを殴り倒し、路地裏に引き摺っていく。それから彼らのアーマーを剥がし、自分達が着込む。ところが、ベンはウィリアムのみ擬装をやめさせる。

 

 

「なんでだよ!」

「トルーパーは基本2人1組で行動する。お前は捕虜役だ。」

「なんで俺なんだよ!お前の方がぴったりだろ!」

「いや、お前の方が適任だ。マスター・レインの息子だからな。」

「最悪だ……」

「大丈夫よ。処刑されることはないと思うわ………たぶん。」

「たぶん!?」

 

 

ウィリアムはスタン・カフをかけられ、2人に連れられていく。2人は捕虜役のウィリアムを引き摺って、何事もなかったかのようにシャトルに搭乗する。他のトルーパーは何も気付かず、そのまま発進した。

 

シャトルは軌道で待機するスターデストロイヤーに着艦して、2人はウィリアムを連行する。

 

 

「トルーパー!」

 

 

レイとベンは士官の男に声をかけられ、敬礼する。

 

士官は、捕まったウィリアムを見て驚く。

 

 

「まさか、ウィリアム・ルードか!?」

「はい。自分から投降してきました。最高指導者に会わせろと。」

「なるほど。すぐに報告してこよう。捕虜を監房へ。」

「了解しました。」

 

 

全てベンが受け答えをして、滞りなく突破した。

 

3人は武器庫へ入り、ベンとレイはヘルメットを外す。

 

 

「ここまで上手くいくとはな。」

「さすがベンね。」

 

 

だが、ベンの表情は暗かった。

 

 

「どうしたの?」

「いや、何でもない。」

「この後はどうするんだ?」

「警報を発令する。フェニックス艦隊に合図を送ってある。アラートが鳴れば、艦内のトルーパーは確実に減るだろう。」

 

 

ベンが言ってすぐにアラートが鳴り響き、戦闘配置に就くようにアナウンスが入った。

 

レイとベンはアーマーを脱ぎ、ウィリアムはベンからライトセーバーを受け取る。3人はライトセーバーを起動して、目で頷き合う。そして、武器庫を飛び出した。

 

3人は通路を走り、レーザー弾を弾きながらトルーパーを薙ぎ倒していく。

 

ウィリアム達の、最初で最後の戦いが始まった。

 

 

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