ダンタムにブラスターが突き付けられ、ウィリアム達は身動きができなかった。
アリスの夫、ダンタムとて抵抗しなかったわけではない。いくら体術師範といえど、約90年生きている老齢の彼では、多勢に無勢だった。そして彼は、呆気なく捕らわれてしまった。
そんなダンタムはグレンを睨み上げ、グレン当人は意にも介さなかった。
「この老いぼれを殺されたくなければ、レインを呼び出せ。」
「あんたは勘違いをしているわ!先人ジェダイへの呼びかけは調和なのよ!」
「お前に不可能はないはずだ、レイ・パルパティーン。」
「不可能だわ!それに、私はレイ・スカイウォーカーよ!!」
レイの怒声に、ウィリアムは前に出る。
「ユース・グレン、父を離せ。父さんにも母さんを呼び出せない。いい加減諦めろ。」
「では諦める代わりに、お前が忠誠を誓うか?」
「は?」
「仲間は見逃され、父親を救えて、俺もお前も得しかないだろ、ウィリアム・ルード。」
ここでも、ウィリアムは母を思い浮かべた。母なら、どう行動するか。しかし、ウィリアムは大きな間違いを犯そうとしていた。
そこで、ダンタムが口を開く。
「ビリー、馬鹿な真似はするな。」
「……」
「母さんがなぜ後を託したか、考えたことはあるか?」
ダンタムの言葉に、グレンは嘲笑する。
グレンにとって、意志というものは無意味なものだった。マレイディアンにいた頃も、信念はなかった。彼が求めていたのは優越感と、誰もが従う強い力。
ファースト・オーダーの最高指導者では満足せず、更なる力を求めた。
そんなグレンにとって、意志は何の価値もないものだった。
「受け継がれる意志など、何の役にも立たねぇ。ジェダイが滅びたのが、いい証拠だ。お前達は、力を拒んだせいで死ぬんだ。」
「肉体は滅んでも、意志は滅ぼせない。俺達にはフォースが共にある。フォース感応者のくせに、そんなことも分からないのか?」
ベンが馬鹿にしたように言うと、グレンは表情を引き攣らせる。
「俺達はジェダイでもシスでもない。」
「私達は、アリスの意志を継いでいる。」
「だが母さんはジェダイであり、シスでもある。ジェダイもシスも滅んだが、母さんの意志は生きている。」
ウィリアム達はライトセーバーを起動し、それぞれ構える。
彼らの態度を見て、グレンは激昂した。
「もういい!そんなに死にたいなら殺してやる!まずはこの老いぼれからだ!」
グレンはアリスのライトセーバーを起動し、振り上げる。ダンタムは目を閉じて、その痛みを待った。ライトセーバーが振り下ろされ、ウィリアムは父を呼びながら走り出す。
間に合わない。誰もがそう思った。
ところが、ダンタムに振り下ろされたライトセーバーはギリギリのところで静止する。
「………え?」
「ビリー」
「俺じゃない。」
「この……!」
戸惑うのは、ウィリアム達だけではなかった。グレンも困惑している。殺される寸前だったダンタムも戸惑っていた。
「う、動け、な、ぐっ……!」
その瞬間、グレンは吹っ飛ばされ、玉座の下へ転がり落ちる。
ただ、アリスのライトセーバーは手放さず、グレンはヒルトを抱えたまま床に踞った。
『人のライトセーバーを処刑道具にしないでくれる?』
声が響いた後、フォースの霊体であるアリスが姿を現す。
グレンの動きを止めたのは、アリスだった。
アリスは若い頃の姿で、ジェダイ・ローブと、ローブの上にジェダイ・マントを着ていた。ダンタムはその姿に、懐かしさを感じる。見惚れた頃の妻に、彼はアリスに会えたのだと実感した。
アリスはダンタムの手錠をフォースで外し、グレンを見下ろす。その表情は怒り一色だった。彼女は息子やレイ達には目もくれず、グレンを冷めた目で見据える。
立ち上がったグレンは、アリスの登場に狂喜した。
「待ち侘びたぞ……ついに………!」
『ユース・グレン、あんたの企みは分かってる。』
「分かっていたなら、なぜ現れた?」
『最初から全部見てた。でも私は死んだ身、生きている人達に干渉しないと決めていたの。ここに来たのは、彼を救う為。』
そう言ってアリスが見たのは、ダンタムだった。
『馬鹿息子が私の真似事ばかりするから、仕方なく出てきただけ。』
「ああ、お前の息子は子供だな。」
『まだ、ね。息子はその内変わる。でも今の問題は、あんただよ。』
「何が言いたい?」
『シスの秘術で何がしたいの?』
アリスはグレンの目的を知っていたが、あえて尋ねた。
グレンも、それを踏まえて答えを告げることにした。
「俺に忠実な軍を作る。」
『何の為に?』
「孤独から解放される為だ。」
グレンは生まれてから今まで、ずっと孤独感を抱えていた。
マレイディアンではフォース感応力があった為、彼は浮いた存在だった。暗殺者集団の中で、力のある者は距離を置かれ、疎まれ、信じられる者がいない。そうした環境の中、彼は孤独のまま生き続けた。
その結果、グレンは道を間違えた。
『シスの秘術で軍隊を集めても、孤独は消えない。このまま進めば、あんたは誰も信じられなくなる。本当に独りになったら、助けてくれる人もいない。』
「だったらどうしろって言うんだ!?俺の味方は誰もいねぇんだよ!強引に従わせるしかないだろ!!」
『グレン、私がジェダイ・マスターだから、ビリーやレイが従ったと思っているの?』
「その通りだろ!」
『いいえ、違う。』
アリスはグレンに背を向け、ウィリアムやベンの前に歩み寄る。
その所作は堂々としていて、グレンは思わず唇を噛んでいた。
『じゃあ、ベン。私がジェダイ・マスターだから、あんたは考えを変えたの?』
「違う、俺の運命を変えたからだ。」
「運命だと……?」
ベンは、エクセゴルの戦いで自らの死を予期していた。しかし、アリスがシディアスの呪いを解き、ジェダイとシスの系譜を断ったことで、彼の運命が変わった。
「今なら分かる。俺はダース・シディアスに殺される運命だった。それをマスター・レインが身を以て変えた。」
『レイ、あんたは?』
「私を守る為に、手を尽くしてくれたわ。血縁に縛られた私を、貴女が解放してくれた。アリスがジェダイ・マスターじゃなくても、貴女の意志を継ぐわ。」
『分かった?私に力があるから、“子供達”が従ったわけじゃない。私達にはそれ以上のものがあるの。』
ここで、グレンはようやく負けを悟った。何より、自分がシスの秘術を得られないことに、彼はより後悔を募らせた。アリスに現状を諭され、グレンは為す術もなく膝をつく。
アリスのライトセーバーが落ちて、持ち主に帰るようにダンタムの足元に転がっていく。
「おい、軍を撤退させろ。レジスタンスに対する攻撃をやめさせるんだ。」
「撤退……?」
「お前に戦う理由はないはずだ。」
「俺はどうすれば………」
虚になるグレンに、突然パンチが飛んだ。
「勝手に絶望すんな!お前がやったんだ!お前が責任を取るんだよ!」
「俺…が……?」
ウィリアムに胸倉を掴まれ、グレンはか細い声を出す。
「やっちまったことはどうしようもないんだよ!だから、お前はお前にできることをやるんだ!それが償いなんだよ!!」
「償い………」
「ビリー、もう良い。グレンは反省している。」
ダンタムがウィリアムを止め、ベンがグレンの代わりにファースト・オーダー軍を撤退させた。
レジスタンスの被害は最小限に収まり、ファースト・オーダーは未知領域で軍事解体された。グレンは手錠をされ、大人しく連行されるのを待つ。
だが、アリスがそれを止める。
アリスの、最後の務めが残っていた。
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何が起きたのか私もよく分かってない…です……
誰か説明してください_:(´ཀ`」 ∠):