ロッタ誘拐事件の後、マスター・ヨーダに呼び出された。
なんだかんだ言って、未だに軍を率いてない。戦場に行かなくて済むのはいいけど、今度はフォースの意志に歴史から遠ざけられてる気がする。小細工したせいかな。
あ、あの後お叱りを受けましたよ。何にって、また独断で行動したことを、だ。
出頭すると、新しい任務を出された。
任務内容は、要人の護衛。護衛する対象は、ダンタム・ルード議員。ルード議員の星とコルサントの往復の護衛だった。任務期間が長くなりそう。
「アリス、この任務には気を付けよ。」
「何がですか?」
「………」
特に危ないこともなさそうなのに。
「何かあるんですか?」
「何もない。わしの思い過ごしじゃろう。」
「?」
指令書を受け取り、聖堂を出てオフィス・ビルへ向かう。
エレベーターに乗って、ルード議員のオフィスに着き、ノックする。
「入ってくれ。」
「失礼します。」
オフィスに入ると、もう出発の準備ができていた。
「今回護衛に付く、アリス・レインです。」
「私はダンタム・ルード。お会いできて光栄だ、レイン将軍。」
将軍って、普通に呼ばれると違和感しかないな。
オフィスの中を見回すが、他には誰もいない。席を外している様子もない。荷物も、ルード議員のものだけ。
旅にしては、荷物が少なくないか?
「他の使用人はどうされたんですか?」
「そのことだが、今回の護衛は君一人だ。」
「え?冗談ですか?」
「冗談ではない。今回は、お忍びで帰郷するんだ。帰郷先では、友人と会食もある。」
へぇ、友人と食事する為ねぇ?
それだけの為に、お忍びで帰郷するのか。相手が誰であれ、議員自ら馳せ参じる程とは、友人の正体が気になる。マスター・ヨーダが訝しむわけだ。
「では会食中、私は別室で待機します。」
「ああ。頼む。」
ルード議員に伴い、オフィスを後にする。
ごく一般的なシャトルを使い、私と議員の二人で乗り込んだ。
今回はドロイドもなし、私以外のお供もなし、他の護衛もなしだ。本当に2人きり。今になって不安になってきた。
「レイン将軍、私でも操縦はできる。」
一人で静かにしていたかったのに、議員がコックピットへ入ってくる。
ルード議員は、違うことなき要人だよ?
「議員、貴方は操縦しなくていいんですよ。」
「私がここにいたいんだ。気にしないでくれ。」
エンジンを立ち上げて、私は舵を握る。
横から視線がウザいんだけど、一体何なんだ。特殊な操作もしてない。何を見てるのか、全然分からない。
「何ですか?」
「いや、ジェダイは何でもできて、素晴らしいと思ってな。」
「ジェダイはフォース感応力に加えて、できることが多いだけです。特別なことはありません。」
エンジンを蒸して軌道へと出てから、議員の惑星に座標を設定する。計算が終わり、ハイパースペースに入った後、操縦席から離れる。インナー・リムの惑星まで、少しだけ時間がある。
「将軍、どこへ行く?」
「どこにも行きませんよ。瞑想するだけです。」
「少し話をしないか?」
おかしいな、話が噛み合わない。
喋りたくないから、瞑想しようと思ったのに!
「話すことなんてあります?」
「ジェダイのことを知りたいんだ。ジェダイは節制が多いと聞くが、本当なのか?」
「まぁ、そうですね。多いです。」
「何を節制する?」
「欲と執着です。それらは暗黒面に繋がるので、禁止されているんです。」
案外知られていないらしい。
ジェダイはフォースを使い、ライトセーバーを振り回すだけだと思われがちだけど、それだけがジェダイじゃない。平和の為にフォースの声を聴くのも、ジェダイの役目だ。さらに言えば、平和を維持するのがジェダイの使命。
他人事のように言ってるけど、私も一応守っている。
反していることと言えば、ジェダイとしての自覚を持たないことだ。
ジェダイには責任を求められる。大抵のジェダイは責任感を自覚して、銀河の為に動く。でも私は、責任感など欠片もなく、銀河のことはほとんど考慮していない。
これが、ジェダイ評議会が私を憂う理由だ。
「欲は人間の基本だと思うが、何がいけない?」
「欲は執着、執着は欲です。我欲が強くなれば、他者を虐げることになります。執着は、失うことで悲しみ、奪われることで憎しみを抱きます。それらの負の感情は、暗黒面に繋がるんです。」
「では、愛情はどうなる?」
愛情、それこそ危険な感情だ。
愛情は麻薬だ。薬になれば、毒にもなる。悪いものではないけど、執着の元になるんだ。だから、掟で禁じられている。
「愛情も、掟で禁じられています。」
「ジェダイというのは、冷たいものだな。」
「ジェダイは銀河の為に存在する。そういう概念です。誰かが欲を出せば、バランスが崩れてしまいます。」
それがこの世界の摂理で、原理。実際、シスが現れて銀河に混乱を招いた。ジェダイは対処できず、クローン戦争が始まってしまった。
「そろそろ着きます。」
「そのようだ。」
アラートが鳴って、シャトルはハイパースペースを出る。
宙域を出たシャトルは軌道へ入り、着陸態勢に入った。議員に座席へ座ってもらい、シャトルを惑星のドッキング・ベイに着陸させる。
「行きましょう。」
「少し待ってくれ。」
「はい?」
ハッチを開けようとする私を、議員が呼び止める。
「友人は、護衛がいるとは知らないんだ。着替えて同席してもらえないか?」
「着替え?何にです?」
ルード議員の言葉の意味が分からず、首を傾げる。
「ドレスに着替えてくれ。」
「ドレスにですか………はぁっ!?」
また素が出てしまった!!!
ドレスってあのドレスだよね?スカートがヒラヒラするあれ!股がスースーするあれ!
あれ、女の子が着るものだよ!私女の子じゃないし!四捨五入したアラサーって女の子じゃないから!大事なことだからもう一度!女の子じゃないです!
「いや、あの、これこそ冗談ですよね?」
「本気だ。ライトセーバーは隠し持っていていい。頼む。」
断り続けたけど、結局私が折れてドレスを着ることになった。
化粧?んなもんしない!ヘアメイク?そんなもの知らない!ドレスを着るだけだ!!
ヒールで戦う人達を、改めてすごいと思った。不安定じゃん、ヒールの靴って。危なくない?
私には無理!!!