ルード議員の一件から半年が経ち、私はようやく戦場へ駆り出された。ジェダイ・クルーザーで指揮して、独立星系連合と戦った。
ただ、1つだけ問題がある。
フォースに見せられているのか、未来を予期しているのか、何度も悪夢を見る。私がアナキンに殺される夢だ。ライトセーバーで、身体を貫かれて死ぬ夢だった。
この夢はまず前世の記憶から始まり、階段から落ちて、気が付けばアナキンにライトセーバーで刺されている。ムスタファーのマグマに落ちるところで、いつも目が覚める。
事態は悪い方向に行っているということだろうか?
「将軍、大丈夫ですか?」
「隈がひどいですよ。」
トルーパーに心配され、私は問題ないと言い張る。でも悪夢を見る頻度が上がってきて、睡眠時間を削っている。誰が見たくてあんな夢を見るんだ。
「レイン将軍、ハイパースペースを出るまで、まだ時間があります。少しお休みください。」
「ありがとう、提督。」
倒れる前に、睡眠を取ることにした。提督にまで言われるなら、相当酷い顔をしているんだろう。これから任務なのに。
向かう先は、マスター・ウィンドゥとアナキンがいるヴェネター級スター・デストロイヤー、エンデュアランス。惑星カミーノからクルーザーで、クローンの訓練生を運んできている。もしもの為の同伴だ。
「お休み中に失礼します、将軍。」
数時間後、私が寝ている個室に、教官がノックする。
「どうしたの?」
「訓練生が、クルーザーの中を歩き回っています。」
今回の護送、実を言うと、訓練生にジェダイがいると知らされていない。マスター・シャク・ティの懸念で、極秘に同伴している。
訓練生は、後のクローン・トルーパーだ。襲われでもしてやられたら、共和国の戦力減少に繋がる。私は来ないと分かっているけど、念には念だ。
「分かった。鉢合わせたら、適当に誤魔化すよ。」
「ありがとうございます、将軍。」
教官曰く、今回の訓練生は勝手な行動が多いらしい。好奇心旺盛で良いことだが、危険には飛び込まないでほしい。そう思っている側から、何か起きるんだけどね。
「あ、待って。」
「はい?」
「頼みがあるの。」
こっそり医療ドロイドを寄越すように頼む。訓練生の護送だけだ。暇なドロイドがいるはずだ。
睡眠不足を何とかしなければ。
教官が手配した医療ドロイドは、間もなく部屋へと来る。
「お待たせしました、レイン将軍。」
「ドロイド、脳波を診て。」
「了解しました。」
TVシリーズで見た、マスター・ヨーダの脳波を見るシーンを思い出して、まずそこから始めさせた。
私の頭をスキャンした後、ドロイドは診察結果を告げる。
「特に異常はありません。」
「本当に?」
「何か不安でも?」
「夢見が悪いの。脳波が乱れてると思ったんだけど、違うってことだよね。」
私の言葉に、ドロイドは手の平を出すように言う。一瞬針を刺され、採血される。毒や薬かと思って聞いたけど、どうやら違うらしい。
「何をやってるの?」
「ミディ=クロリアン値を計測しています。私の推測が正しければ………これが、結果です。」
あのね!測定器を見せられても、昔計測したミディ=クロリアン値なんて憶えてないから!
「説明して。さっぱり分からない。」
「データによれば、現在のミディ=クロリアン値は、20年前に計測した時に比べて大幅に増えています。ミディ=クロリアンは成長と共に増えるのですが、貴女の場合は他のジェダイと違います。」
「つまり?」
「貴女のフォースが強くなったということです。夢見が悪いのは、その影響でしょう。」
フォースが強くなって、見えるものが広がったんだろう。
だとしても、あの夢は本当に謎だ。アナキンに殺されるなんて、私は何をやらかすのかな。アナキンに殺されるって、大層なことだぞ。
「ドロイド、今の診察結果のデータ消して。」
「なぜです?」
「他の者に知られたくない。」
「なるほど。了解しました。………データ消去、完了。」
ドロイドは命令に従い、素直にデータを消す。
特に、ジェダイ評議会には知られたくない。ジェダイ評議会が知れば、議長にも伝わる。これ以上、パルパティーンに関心を寄せてほしくない。
「レイン将軍、何用でしょうか?」
「解決した。大丈夫。」
ドロイドを帰し個室を出ると、噂の訓練生と鉢合わせた。
「あぁ、君が訓練生?」
「あんた誰だ?」
「誰でもないよ。」
「ジェダイだろ。」
飽きるほど見たクローンと同じ顔の訓練生は、私を睨み付ける。
「私に構う前に、兄弟のところに戻りなよ。」
背を向けて、私はブリッジへ行こうとする。
だが、背後の訓練生は兄弟という表現を否定した。
「兄弟じゃない。」
彼の言葉に、目の前にいる訓練生が誰か分かってしまった。
「ラッキーだっけ?」
「そうだ。」
「考えていることは知ってる。関係ない者を巻き込む前にやめなよ。」
「お前が何を知ってるっていうんだ?」
「教えられない。」
また後でね、と言い逃げした。
ラッキーという偽名に、クローンと同じ顔。違う点は、遺伝子に手が加えられていないということ。ここまで分かれば、ラッキーの正体はすぐ分かる。
遠い未来、銀河一の賞金稼ぎになるボバ・フェットだ。
父親のジャンゴも、名高い賞金稼ぎだ。
「本当に似てるなぁ。」
同じ遺伝子だから、当たり前だけどね。
マスター・ウィンドゥを、死ぬほど恨んでるのは分かった。今は誰の言葉も聞かないだろう。失敗して関係ない者を巻き込んでも、ボバは気にしないだろう。
私もどこかで恨まれてそう、こわ。
「レイン将軍、間もなくハイパースペースを出ます。」
「ハイパースペースを出た後、エンデュアランスとドッキングを。」
「了解しました。」
程なくして、クルーザーはハイパースペースを抜けた。
ドッキングは無事に終わり、任務は終わった。訓練生は、これから本物の戦場の艦船で訓練だ。私は任務が終わったら、すぐまた戦場にUターン。
あの悪夢は忘れたい。