【完結】ジェダイ(仮)になりました。   作:夭嘉

29 / 173
課題は早めに終わらせましょう

風の噂というのは、よくある。それが自分の耳に届くということも、よくあることだ。そう、本人に事実確認されるのも、よくあることだと思う。

 

 

「レイン将軍、隠し子がいるって本当ですか?」

 

 

めっちゃあり得ない噂が流れているのも、よくあることだよね、うん。

 

エンデュアランスから惑星コルサントへのハイパースペースの中、クルーザーのブリッジでのことだ。報告に来たトルーパーから話を振られた。

 

 

「誰に聞いたの?」

「いえ、誰にというか、噂なので……」

 

 

トルーパーに笑顔で問うと、引き攣った表情で後退られた。まぁ、本人が知らないし聞き返されたら怖いよね。

 

 

「私ジェダイだよ?結婚はもちろん、子作りなんてできるわけないじゃん。」

 

 

子供は可愛いし、好きだけど。掟に背くことになる。ジェダイじゃなかったら婚活してました、はい。

 

 

「レイン将軍、ジェダイ評議会からの通信です。」

 

 

噂は評議会にまで届いたらしい。

 

溜め息を吐き、提督とプロジェクターの前に立つ。ホログラムが映し出され、マスター・ヨーダが現れた。

 

何回も言うが、私は何もしてない、潔白だ。

 

 

『アリス、お前の噂が流れているのは知っているじゃろう。』

「ええ。念の為言っておきますが、ルード議員とは何もありませんよ。」

 

 

ルード議員の件は、オビ=ワンが評議会に報告している。ルード議員自身も、元老院に説明をした。その問題は終わったんだ。

 

 

『分かっておる。お前に偽りはない。しかし、不確かな噂が流れているのも事実。自分で確かめてみるか?』

「どういうことでしょう?」

『外縁部の惑星タコーボに、お前の息子がいるそうじゃ。』

「いやいや、まさか……」

『あり得んじゃろう。間違いを正せ、アリス。』

 

 

マスター・ヨーダは、そう言って通信を切る。

 

残された私と提督は、顔を見合わせる。提督はこちらに目を向けてきて、私は無言で首を横に振った。提督、絶対疑ってるだろ。

 

 

「その……将軍、タコーボに向かいますか?」

「聞かなくても分かるよね?」

「はい、承知しております。」

 

 

提督はクルーザーを、惑星タコーボに向けさせた。

 

ブリッジから出ていき、個室で正座をして目を閉じる。瞑想に入る為に、心を無にする。

 

………瞑想したいんだけど、邪念が消えませんでした。

 

 

「将軍、問題が………レイン将軍!?」

 

 

個室に来たトルーパーの声が、壁越しにいるように聴こえていた。

 

立ち上がった瞬間、自分の意思と関係なく倒れていく。倒れると同時に、次第に意識も遠退く。床に倒れた時、私の意識は完全に肉体から切り離された。

 

意識が沈み、私はジオノーシスのアリーナに立っていた。

 

多くのジェダイが、バトル・ドロイドへと向かっていく。レーザー弾とライトセーバーが交わり、アリーナは混沌と化す。確かなことは、ジェダイの方が減りが早いこと。一人、また一人と倒れる。

 

これは、いつもの夢だ。

 

 

『ジェダイの歴史に名を留める、見事な戦いだ。だが、もう終わりだ。降伏しろ。命だけは助けてやる。』

 

 

ドゥークー伯爵の姿が霞となり、次は燃え盛るジェダイ聖堂に立っていた。

 

辺りにはジェダイ・ナイトだけでなく、イニシエイトも倒れている。遺体には、ライトセーバーの刃傷がある。見ているだけで、心が苦しくなる。

 

 

『これは夢ではない、アリス。』

 

 

どこからか聴こえた声に振り向くと、次に立っていたのは、ガンレイ達が倒れているムスタファーだった。外では、オビ=ワンがアナキンと戦っている。

 

何が起きているのか、未だに理解できていない。

 

 

『アリス』

 

 

今度こそはっきり聴こえ振り向くと、死んだはずのクワイ=ガンが立っていた。

 

 

『マスター・クワイ=ガン……?』

『これは夢ではない。』

 

 

さっきと同じことを言われ、私はクワイ=ガンに問う。

 

 

『これは……?』

『実際に未来で起こることだ。お前はその歴史の中に立っている。』

『どういうことですか?』

『噂が流れたのも、コルサントから離す為だ。』

『何を言っているんですか、あれは任務で、』

『お前は、フォースの意志に呼ばれた存在だ。』

 

 

そんなのあり得ない。

 

フォースの集中、申し子はアナキンだ。彼は選ばれし者で、フォースにバランスをもたらす。

 

 

『アリス、日に日にフォースが強くなるのは分かっているだろう。』

『分かりたくない。』

『いずれ分かる。宇宙のフォースは、お前を許さない。目を逸らすな。為すべきことを成せ。』

 

 

次の瞬間、私はアナキンの目の前にいた。

 

 

『裏切り者め!!』

 

 

ライトセーバーで腹を貫かれ、私はマグマへと落下する。

 

落ちたと思えば、私はジェダイ聖堂のメディカルルームにいた。

 

点滴に繋がれて、ハッとして起き上がるが、なぜか筋力がなくて寝台から落ちる。蹲る私に気付いたリグ・ネマが、慌てて駆け寄ってきた。

 

 

「ナイト・レイン!」

「た、立てない………」

 

 

肩を借りて寝台に座り、待つように言われる。それからすぐ、通信機でマスター達を呼んだ。私はただ、座って待つしかなかった。

 

現実で何が起こっているのか、理解が追い付かない。

 

 

「アリス!目が覚めたか!」

「なんでか歩けない。」

 

 

オビ=ワンとマスター・ヨーダが、メディカルルームに入ってくる。

 

二人の様子を見ると、私が倒れたのは大事だったみたいだ。

 

 

「ごめん、頭が追い付かないんだけど。」

「アリス、お前は1ヶ月も眠っておったのじゃ。」

 

 

1ヶ月!?!?そりゃあ筋力落ちるわ!

 

 

「ドクター、説明してもらえるか?」

「はい。ナイト・レイン、貴女が眠っている間、身体に異常はありませんでした。脳波も正常、脈も正常、フォースも正常です。」

 

 

身体は本当に眠っていただけらしい。正常ではなかったのは、夢だけだ。フォースに、夢を見せられたんだ。

 

他者の言葉は聞かないと分かって、クワイ=ガンの意識を引っ張ってきたんだ。

 

 

「私、クルーザーから記憶がないわ。」

「だろうな。クルーザーで倒れ、コルサントに戻ってすぐここに運ばれたんだ。」

「ご迷惑をおかけしました。」

「お前が謝るなんて只事ではないな。何かヴィジョンでも見たのか?」

 

 

3人の視線に、私は首を振る。

 

 

「何も見てない。ただの夢。」

 

 

嘘を吐いた。

 

マスター・ヨーダだけは納得していない様子だったけど、話したくない。これは、私に出された課題なのだから。解く気はないが、いつか答えを出さなければならない時が来る。答えは、その時になってから考えよう。

 

それ以降、あの悪夢は見なくなった。

 

考えが変わったと、そうフォースが受け取ったようだ。良い考えではないけど。

 

 

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。