夢の事件から、また1年が経った。
今年、27歳。元の世界でも、今の世界でも、今までなかった悩みを抱えている。
あのキャド・ベインにストーカーされてます!
「どう思います、マスター?」
手が空いたマスター・プロに声をかけ、ストーカー……ベインのことを話した。
この1年、誰の依頼か知らないがずっと監視されている。さすがに聖堂の中まで入ってこないけど、戦場、オルデランの防衛戦とコルサントの往復を、ベインに監視されていることが、半年前に発覚した。
それから何もせず、延々と泳がせている。
「何かしてくる気配はあるか?」
「恐らくですが、何か目的があるように見えます。」
私には、ただ監視しているように見えなかった。
ベインは、何かを探っている。それが何か分かれば、対処法も考えられるけど、思惑を見せてくれない。
「マスター?」
マスターは何か考え込み、突然の奇襲に気を付けるように言う。
「ベインと戦えと?」
「逃げてばかりでは、埒が明かないだろう。」
「当たって砕けろ精神ですね分かります。」
意味が違うが、まぁ、当たってみるしかない。
こっちが砕けるか向こうが砕けるか、楽しみだ。
ジェダイ聖堂のプラットフォームからデルタ7Bに乗り、コルサントの大気圏を抜ける。軌道まで出れば、ローグ級スターファイターが現れた。乗っているのは、もちろんベインだ。
振り切ろうと思い旋回するが、向こうは難なく付いてくる。
「あれ、改造されてんじゃん!」
ハイパードライブ・リングにドッキングして、闇雲に座標を送信する。
R7を連れてくれば良かった!!スターファイターの座標入力が面倒!!なんでデルタ7Bにハイパードライブないの!?
「よし!」
ハイパースペースへ入り、思わず安堵する。予想はできても、出る場所は特定できないだろう。フォース感応者でもない限り不可能だ。
「ん?」
なんか、アラートが鳴ってる。
スキャナーを開くと、機体に発信機が取り付けられているとセンサーが探知していた。しばらく考え込んだ後、コックピットの壁を殴る。
「クッソ!なんて優秀な賞金稼ぎ!」
嫌味です。褒めてない。評価はするけど褒めてやらない。
発信機、どうしたらいいんだろう。
ハイパースペースの中だから何もできないし、ハイパードライブ・リングは捨てられない。帰れなくなる。何かいい対処法はないのか。
「詰んだ……」
深呼吸して、レバーを奥へ倒す。機体はハイパースペースを抜けて、キャッシーク星系へと出る。エンジンを停止させ、デルタ7Bは惑星キャッシークへと落下していく。
大気圏を抜けた後、ギリギリのところでエンジンをかけ、木々の間に不時着させた。
やばい、ちょっと壊れちゃったかも。
「………は?」
コックピットの窓を開けようとしたけど、開かなかった。マジで壊したかもしれない。たぶん、窓が歪んでる。
ライトセーバーで抉じ開けたくない。
「っ!」
機体の揺れに上を見ると、ベインが窓の淵に立っていた。やっぱり追い付いてきたか。しぶとい奴め。
奴はホルダーからブラスターを取り出して、こっちに向ける。
ちょ、待って、もしかして!?
「ストップ!!!」
制止虚しく窓の端を撃たれ、コックピットのハッチが開く。
「何をもたついていたんだ、ジェダイ?」
「おま……あのさ!インターセプター壊さないようにしてたの!なんで壊すわけ!?」
「現に開かなかっただろ。感謝してほしいくらいだ。」
そもそも!お前がストーカーしなきゃ、こんなことにならなかったんですけど!?
仕方なくコックピットを出ると、ベインがまたブラスターを向けてくる。いつの間にかライトセーバーを取られてる上に、手錠まで取り出す。
もう泣きそうだわ。
「自分の賞金がいくらか知っているか?」
「知るわけないじゃん。で、いくら?」
いや、気になるでしょ。
分離派の賞金首になっているのは知ってる。何せ、分離派のトップがドゥークー伯爵なんだから。他のジェダイも賞金が懸けられているはずだ。
「スカイウォーカーの次に高額だ。」
「え?オビ=ワンは?」
「ケノービはお前と同額だ。」
「そこ、私がオビ=ワンと同額って言うべきじゃない?」
オビ=ワンはジェダイ・マスターだから、私がオビ=ワンと同等という意味合いじゃなきゃダメでしょ。
「1年前から尾けてたのは?」
「行動パターンを見ていた。ようやく分かってきたのは1ヶ月前だ。」
なるほど。自分で弱点教えてたのか。
「抵抗する気はないのか?」
「え?あるよ?」
フォースでライトセーバーを奪い返し、横に振るう。
ベインは咄嗟に避け、2丁のブラスターで撃ち返してきた。ライトセーバーで防御して、一歩ずつ下がる。それに対して、ベインは距離を詰めてくる。
ゆっくり足に力を込めて一気に跳び、私はベインの後ろに回り込む。隙を与えずフォース・プッシュして、ブラスターだけフォースで引き寄せて、ライトセーバーで壊した。ついでにジェット・ブーツも壊す。
これで、ベインに武器はない。
「ほら、抵抗したでしょ?」
「これだからジェダイは甘いんだ。」
甘いのはベインだ。
ジェダイを簡単に捕らえようだなんて、嘗めてる。
「俺の武器はそれだけだと思うか?」
「御託はいいから、後ろ向いて。」
ベインは後ろを向き、私は奴の手錠で拘束しようと手を伸ばす。
「考えが甘いと言ったはずだ。」
「甘いのはあんただよ。」
奴の腕を掴んだ瞬間、電気が身体に流れて膝をつく。ベインは膝をついても離す様子はない。だが、私も奴の腕を離す気はなかった。
奴はこちらを向き、私を睨み付ける。
「耐久勝負か……!」
ベインのもう片方の腕を掴むと、電流は2倍になった。
「このっ……!!」
「っ……させるかよ。」
動きを押さえようとするが、奴に電圧を上げられて片方の腕を離してしまった。ベインはその隙を逃さず、私は首を絞められ思わず呻く。
倒れ込むと、ナイフを首に添えられた。
「さて、次はどうする?」
「私を捕まえてどうするの?」
「どうなるんだろうな。決めるのは俺じゃねぇ。ほら、さっさと立て。」
ナイフを添えられたまま、立ち上がる。奴のドロイドが後ろ手に手錠をかけ、ベインに小突かれる。
ナイフを背に、私はベインのスターファイターに乗せられた。
やばい、完全に詰んだ。