【完結】ジェダイ(仮)になりました。   作:夭嘉

36 / 173
飛んで罠に入る私という虫

オルデランでの任務が終わって、私はコルサントに帰還した。

 

戻って早々、聖堂が騒がしい。

 

聞いた話によれば、マスター・ヨーダがいなくなったという。何でも、アナキンが手引きしたとか。

 

その話を聞いて、フォースの女官編を思い出した。

 

 

「アリス!笑ってる場合じゃないだろう!」

「あ、笑ってた?」

「口の端が吊り上がってたぞ。」

 

 

オビ=ワンは怒るが、私は行き先を知ってるから宥める。

 

 

「大丈夫だって。ちゃんと帰ってくるよ。」

「何か知っているような口ぶりだな。」

「さぁ?まぁ、マスター・ヨーダが納得するなら、何も問題ないでしょ。」

 

 

後ろでオビ=ワンがとやかく言うけど、放置して回廊を出ていく。

 

なんか、オビ=ワンって昔に比べたら堅くなったよね。評議会に感化されたっていうか、真面目すぎる。不真面目な私とは、不釣り合いだ。

 

 

「アリス」

「はい、マスター。」

 

 

マスター・プロがこちらへ向かってくるのが見えて、くるりと方向転換したが、案の定呼び止められた。

 

公文書館に逃げようとしたけど、普段笑わないマスターが怖くて断念した。

 

プロ・クーンって、あんまり表情ないんだよね。せめてマスター・フィストーくらいスマイルを見せてくれたらいいのに。あ、でもあの顔で笑顔って怖いわ。

 

 

「最高議長が、お前を呼んでいる。」

「………」

「嫌そうな顔をしたな。」

 

 

そりゃあ嫌ですよ。

 

シディアスとドンパチしたことがあるんだから。あれから何も言ってこないと思ったら、直接来たか。

 

大人しくデスクワークしててよ……

 

 

「あの、内容は……」

「オルデランの防衛線についてだろう。」

 

 

絶対ただの口実だ!!!

 

 

「はい、すぐに行きます……」

 

 

ジェダイ聖堂を出て、議長のオフィスへ向かう。

 

表向きの話だけならいいなぁ。嫌な予感しかしないんだよねぇ〜。

 

バックれたい!!!

 

 

「レイン将軍!」

「フォックス、久しぶり。」

「ご健在で何よりです。」

 

 

通してもらい、元老院のオフィス・ビルに入る。

 

エレベーターに乗って、議長のオフィスの階で降り、ノックする。返事はすぐ返ってきて、中に踏み込む。私の姿を見た議長は、気持ち悪いくらいニコニコしていた。

 

これから会う相手は、“暗黒卿”だ。

 

心して対峙しなきゃ。

 

 

「待っていたよ、アリス。」

「ファーストネームはやめてくださいって、何度も言ってますよね?」

「遠慮することはない。あぁ、オルデランの任はよくやってくれた。」

「ありがとうございます。」

 

 

社交辞令だからね?遠慮じゃねぇからな?気持ち込めてなんかない。誰があの議長に心込めるか。

 

それから、議長は本題だと言う。

 

 

「私のことをよく知っているだろう?」

「はて、何のことでしょう?」

「廃工場、と言えば思い出すかな?」

「………ダース・シディアス」

 

 

議長の言葉に、私は笑顔を浮かべる。その表情の裏に、怒りを込めて。議長はそれをものともせず、会話を続ける。

 

 

「君は随分と興味深い。私なりに答えを出してみたよ。君はヴィジョンを見たのではなく、未来を知っているんじゃないかね?」

「未来を知ってるって、無理があると思いますよ。それなら、死んだジェダイだって死なずに済んだはずです。どう説明するんですか?」

 

 

クワイ=ガンだって、死を避けられたはずだ。それに加えて、シスの陰謀である戦争だって止めることもできたかもしれない。

 

未来を知っているからと言って、簡単に歴史は変えられない。

 

 

「もちろん考えた。君の性格を考慮すれば、逃げることは分かっている。その覚悟がなかったんだろう。」

 

 

怖い。ここまで当ててくるなんて、想定外だ。まるで、弱味を握られているような感覚だ。

 

 

「是非答えを聞かせてくれないか?」

「………ご名答です。」

「そうか、それが君の秘密か。」

 

 

唇を噛んで苛立ちを見せるが、議長はその反応を見て笑う。

 

 

「隠さなくていい。誰にでも秘密はある。」

「秘密は隠すものです。」

「そうだ。だが、秘密はいつか明かされるもの。君の秘密も、その内暴かれることになる。」

「議長、私を呼んだのはただの事実確認ですか?」

 

 

そう問えば、議長は笑みを消すことなく近付いてくる。椅子から立ち上がり、私の眼前に立つ。警戒しつつも、私は議長を睨んだ。

 

 

「アリス……暗黒面の魅力に気付いているだろう。」

「魅力?暗黒面に魅力なんてない。あるのは、力だけ。」

 

 

言い返したら、議長はまた一歩近付く。

 

 

「逃げ道がなくなった時を考えたことはあるかね?」

「道は一つじゃない。」

「左様。しかし選んだ道が間違いだったり、行き止まりの時もある。例えば、救える者がいるのに、見放したことでその者が暗黒面に堕ちるとか……」

「そんなことしない!」

 

 

感情的になったことで、議長の機嫌が良くなる。手の平で転がされているようで、不快極まりない。シスの思惑に乗せられている。

 

ここで感情的になって暴れたら、私の負けだ。

 

深呼吸して、心を穏やかにしよう。

 

 

「私は目の前の友達を見捨てない。」

「では、自分自身を見ているかな?」

「は?」

「己を救えぬ者に、他者を救うことはできない。」

 

 

議長は私の両肩を掴み、逃げられないように押さえる。あまりの迫力に腰を引くが、何かされようとしているのは分かってるから、抵抗する。

 

次の瞬間、目の前にいる“シディアス”の口から緑色の煙が吐き出された。

 

シスの秘術だと気付き、吸い込まないように息を止める。

 

 

「っ……!」

「無駄なことだ。この煙は吸い込ませる為ではない。」

 

 

ナンダト!?

 

息を止めた意味!!!

 

 

「うへっ………」

 

 

変な声出た!!!

 

煙を浴び、ようやく解放された私は咳き込む。

 

 

「大丈夫か、アリス?」

「大丈夫ですって!?誰のせいでっ………」

「私のせいだな。」

「分かってんのにやめてよ!!ほんとにムカつく!!」

 

 

久しぶりに素でキレた私は、議長に怒鳴る。

 

これと言った変化はない。毒でもなさそうだけど、良いものでもなさそう。一体何をされたんだ。

 

 

「何を企んでるの……?」

「企みなどない。君が逃げられないようにしただけだ。」

「回りくどい!何をしたの!?」

「そう荒ぶるな、友よ。」

 

 

友?誰がシスとお友達になるか!!

 

 

「どんな死に方がいい?」

「ふむ、死か。だが、まずは自身の身体を気にするべきだ。」

「逃げられないって何?」

 

 

議長と距離を取り、シャッターを背に問う。

 

 

「逃げられないと言っても、物理的なものではない。君が未来から目を背けられぬように、身体の老化を止めたのだ。」

「………はい?」

「つまり、君は死ぬまで老けることはない。」

 

 

議長、もといシディアスの思惑が分かった。

 

ジェダイの粛清を生き延びたら、フェードアウトしようと思っていた。なのに老けないとか、ずっと帝国に追われるようなもんじゃないか。

 

アナキンの子供が反乱軍に入る頃も、余裕で現役じゃん。

 

 

「何てことを………」

 

 

逃げられるものも逃げられない。

 

 

「逃げたいなら逃げればいい。だが、フォースの意志からは逃げられないぞ。」

「フォースの意志は関係ない!はっきりさせましょう、パルパティーン議長。私はあんたが嫌い。表の顔も、裏の顔もね!」

「どこへ行く気だ?」

「聖堂に戻るの!二度と呼び出さないで!」

 

 

シャッターを開け、ズカズカと議長のオフィスを出て行く。

 

そう叫んだが、また呼び出してくるだろう。その時は、私とシディアスは敵同士だ。裏表関係なく、奴に敵意を向けることになる。

 

程なくして、マスター・ヨーダは帰ってきた。

 

クワイ=ガンの導きで、生けるフォースを学んできたはずだ。死後も自我を保つ為の試練を越えただろう。

 

そして恐らく、シディアスの正体にも気付いた。

 

戦争が終わる日も、遠くはない。

 

 

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。