いつものように公文書館に行くと、アナキンが私を探しに来た。アナクセスへ行く前に、道場で相手をしてほしいと言う。
冗談かと思ってたら、アナキンは本気だった。
なんだかんだ言ってるけど、彼の相手をするのは初めてだ。共闘はしたことはあっても、ライトセーバーを交えたことはなかった。
道場へ同行しながら、アナキンに意図を問う。
「アナキン、本当に私が相手じゃなきゃダメ?オビ=ワンの方が鍛練できると思うよ?」
「貴女の方が都合が良い。」
都合?何の?
道場に入って、間を空け向き合う。
「相手しながら話をする。」
「ちょっと待って?」
「なんだ?」
「私にそんな余裕があると思う?」
夢での光景が、思い浮かぶ。
私は、ムスタファーでアナキンに刺される夢を見ている。いくら夢の内容が変わったと言っても、その夢を見た後にアナキンとの鍛練で平常心を保てるわけない。絶対隙ができる。
「何か懸念でも?」
「ありまくり。」
「気にすることはない。鍛練は形だけでいいんだ。」
「あ、そうなの?で、話って?」
形だけと言われて、ライトセーバーを胸元で立て、構える。
「手を貸してほしい。」
「いいけど、何をするの?」
アナキンも構え、ライトセーバーが真っ直ぐ私に振り下ろされる。流れるように防御し、刃を離した後、今度はこちらが下から振り上げた。私のライトセーバーも防御され、同じような動きを何度かやりながら、会話をする。
「1日だけ時間を作ってほしい。ナブーとコルサントの往復分だ。」
「へぇ、具体的な説明は?」
また同じ動きを繰り返して、アナキンに聞く。
「変な勘繰りはやめてくれ。」
「そんなんじゃないって。まぁ、お願いしたいことは分かるよ。」
「っ!」
その瞬間、アナキンのライトセーバーが脇腹に掠る。
出力は落としてるけど、ちゃんと熱いんだからね!?
「ちょっと!今のなし!」
「すまない。いつから気付いてたんだ?」
「それ聞いちゃうの?」
「アリスは他のジェダイとは違う。否定するようなことはしないだろ?議長も、貴女を評価して、っ、危ないじゃないか!」
「ごめん!!」
議長の名前を出されて、今度は私のライトセーバーがアナキンの肩を掠る。
お互い邪念が入って、鍛練どころじゃない。
「けど、アナキンには屁でもないでしょう?」
「貴女って人は……品性がない。」
「いやいや、私に品性を求めるの?」
「聞いた僕が馬鹿だった。」
アナキンの私に対する印象が酷すぎないか?
「それで、頼んでもいいか?」
「もちろん、協力するよ。じゃあ、今から行こう。」
「今からだって!?」
「善は急げって言うでしょ?ほら!早く!」
道場を後にして、聖堂を出ていく。そのまま2人で元老院ビルへ向かう。向かいがてら、アナキンに先程と同じ質問をされる。
「アリス、さっきの質問の答えがまだだ。」
「その答えだけは教えない。心配しないで、他の人には言わないから。レックスは知ってるの?」
「ああ。理解してくれている。」
「それなら良かった。この話、アミダラ議員は了承してるの?」
アナキンが二人きりになりたくても、真面目なパドメが頷くかどうか。
「いや、まだだ。」
「ええ!?先に議員でしょう!?」
「大丈夫だ。僕が言えば賛成するさ。」
先行きが不安だ……!
元老院ビルに入り、エレベーターに乗り込むとルード議員と鉢合わせた。議員は私達を見て驚いていた。
アナキンがアソーカの件でお礼を言った後、議員の視線が私に移る。
「レイン将軍」
「ご無沙汰しています、議員。」
「………何かあったのか?」
いつもと変わらないはずなのに、ルード議員は私の様子を窺う。
「何のことでしょうか?」
「好いた相手の変化には気付くものだ。変化というか、何も変わっていないが。」
「好いた相手?本気だったのか。」
「スカイウォーカー将軍、私はレイン将軍に関しては冗談を言わない。」
報告書は読んでいるだろうけど、アナキンは本気にしていなかったらしい。
問題は、ルード議員が私の変化に気付いているということだ。フォース感応者ではない議員が気付くなんて、些細なことじゃない。
評議会に“呪い”のことを問われるのも、時間の問題かもしれない。
「後日、お話しします。」
「何かあるのか?」
「ある。アナキン、そういうのは鈍感なんだね。」
今は私の問題より、アナキンとパドメが優先だ。
「議員、急いでいますので。」
「引き止めてすまない。」
「では、また。」
ルード議員がエレベーターから降りて、私達は上階へと向かう。
「僕達を肯定するのは、ルード議員のことがあったからか?」
「それもあるけど、ちょっと違う。」
「アリス、これでも感謝しているんだ。」
「どういたしまして。」
エレベーターを降りて、アミダラ議員のオフィスをノックしようとすると、アナキンは遠慮もなく入っていく。
これで夫婦なんですぜ?
「アナキン!来る時は言ってと何度も………」
私の姿を見て、パドメは口籠る。珍しい組み合わせだからか、少し驚いている。パドメは私とアナキンを交互に見て、今度は疑いの目を向ける。
「今回は私用です。議員、アナキンと二人の時間が欲しくないですか?」
「アナキン、どういうこと?」
アナキンが説明しようとしているのを止めて、私が口を開く。
「ご心配なく、議員。私は偶然気付いただけで、評議会や元老院は戦争でそれどころではありません。」
「どうして貴女が?」
「いろいろ複雑で、ルード議員との一件もあり、学んだ結果です。」
「あのルード議員が?偶然とは不思議ね。」
どうにか蟠りは解けたみたい。
ルード議員との一件は、私も考えさせられた。彼を受け入れることはできないけど、打ち解け合うことはできる。
「信用していただけますか?」
「ええ。貴女が善意で言っていたことは分かったわ。」
「良かった。」
「それで、どうする気なの?」
「簡単です。私が独断で、アナキンを引き摺っていったことにすればいいんです。」
これに関しては、アナキンも意味不明という顔をしていた。
「アリス、分かるように言ってくれ。」
「アミダラ議員ナブーの実家に行き、アナキンと私はナブーのジェダイ寺院に。というのが、表向き。」
「本当は?」
「ジェダイ寺院に行くのは私一人です。」
要は、パドメとアナキンは二人きりになれるってことだ。
私の提案に、パドメは申し訳なさそうに頭を下げる。いつかと同じようなパドメに、立場が違うとやめさせた。
「ありがとう、アリス。」
「半分は私の好奇心なのを、お許しください。」
「いいのよ。それに、人目がないところではパドメでいいわ。それに私達、友人になれないかしら?」
「私がですか?」
「ええ。」
アナキンを見ると、彼は頷く。
いや、待って。なんで夫であるアナキンに許可を取らなきゃなの?ただの友人関係だよね?
「じゃあ、これからは遠慮しない。アナキンにもね。」
「今までもなかっただろ。」
「今以上に遠慮がなくなるけど?」
「言うんじゃなかった。」
「これからもよろしくね、アリス。」
「こちらこそ、パドメ。」
何が嬉しいって、ジェダイ以外の友達が初めてできたんだ。私を慕うクローン兵はいるけど、友達と言える友達じゃない。アナキンやオビ=ワンも、友達というより仲間だ。
ん?私、友達がいない寂しい子になってない?
あれ、目から汗が………