【完結】ジェダイ(仮)になりました。   作:夭嘉

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シスの復讐(Ⅲ)
失敗は成功の元


始めに言っておこう。万全と思われていたコルサントの防衛戦は、失敗した。正確には裏に回られたというべきだけど、気に食わない。

 

グリーヴァスの目的は、パルパティーン議長だ。

 

歴史通り、評議会が護衛していたはずだったのにマスター・コロブが殺され、議長はグリーヴァスに拐われた。艦隊にはドゥークー伯爵もいて、グリーヴァスはマグナガードを引き連れて自ら行政地区に攻撃してきたらしい。

 

何より、艦隊が防衛を失敗した理由は、コルサント本国防衛艦隊の実戦経験不足だ。惑星侵略を仮定した訓練すら受けていなかった。これでは艦隊は愚か、私の大隊とも連携は取れない。結果、議長は拐われてしまった。

 

そして現在、アナキンとオビ=ワンがイータ2のインターセプターでインヴィジブル・ハンドに乗り込んでいる。

 

議長の正体がシディアスとはいえ、グリーヴァスに大人しく拐われたことが腹立つ。

 

こういう時ばっかり年寄り面しやがって!!

 

 

「ウィンドゥ将軍からの通信です。」

「無視して。」

「そう言うと思い、自分が言付けを預かりました。レイン将軍、艦隊の指揮官は貴女に任ずるそうです。」

 

 

ヘクターの言葉に、私は溜め息を吐く。

 

 

「ヘクター、他の船は放っておいて。グリーヴァスの旗艦の守りを剥いて。」

「また無茶な指示を……」

「防衛線は防衛艦隊に任せればいいの。私達の任務は、議長の救出。アナキン達が議長を連れ出したら、まとめて叩けばいい。」

「了解しました、将軍。」

 

 

その時、ドゥークー伯爵が死んだのを感じた。殺したのは、アナキン。議長は、分かってて命令している。

 

ほんっとに胸糞悪い。

 

 

「将軍!インヴィジブル・ハンドが!」

 

 

共和国艦隊の攻撃が効きすぎて、インヴィジブル・ハンドが真っ二つになる。奴の旗艦の中には、議長がいる。艦隊の手前、助けなくてはならない。

 

正直、助けたくない。そのままくたばれ。

 

あー、ダメだ。アナキンとオビ=ワンまでお陀仏だわ。全部グリーヴァスのせいだ。

 

 

「コルサントの司令部に繋いで。」

「了解です。」

「これから、議長が乗った艦船が不時着する。場所を空けて。」

『了解しました、レイン将軍。』

 

 

インヴィジブル・ハンドは地上に任せる。私は、他の艦船を叩き落とそう。グリーヴァスが逃げた腹いせだ。

 

 

「全艦、シールド半分に落として、残りのエネルギーを攻撃に。インヴィジブル・ハンド以外を攻撃して。」

「了解。全ターボレーザー、発射。」

 

 

熱源を探知したのか、一部の艦船には逃げられた。残った船の司令官等は、逮捕なり何なりすることになるだろう。

 

 

「将軍、議長は無事です。不時着は成功ですね!」

「そう、良かった。」

「レイン将軍……?」

「え?何?」

「地上に降りますか?」

「うん。ガンシップ用意して。」

 

 

ブリッジから出ていき、コム・リンクが付いたアーマーを投げつける。完全なる八つ当たりだけど、こうでもしないと怒りが収まらない。

 

何なの、あの茶番!?

 

非常時大権を手放さないんだから、自業自得で分離派へサヨナラすればよかったのに!何も知らないガンレイにやられてほしかったわ!

 

 

「将軍、クルーザーで暴れないでください。」

「っ!」

 

 

ヘクターが、私を宥める。

 

いつから見ていたのか、困ったように私を見る。

 

彼が他のクローンと違うのは、私をジェダイではなく、一人の人間として見ているから。だから他のクローンと積極的に話さないし、他のクローンを兵として見ていない。

 

それはそれで良くはないけど、その性格もヘクターの個性だ。

 

私もヘクターも、互いを対等の存在として見ている。形式上、ヘクターは私を将軍と呼ぶが、人目のないところでは遠慮なく意見してくる。

 

 

「気に入らないことでも?」

「何も。」

「レイン将軍、仮にもジェダイが怒りを露わにしてはいけませんよ。」

「仮にもって……」

「実際にジェダイだということは、分かってて言っています。しかし、最近の貴女はジェダイと呼ばれる度に嫌な顔をする。」

 

 

さすがコマンダーだ。私のことをしっかり見ている。良いことも嫌なことも、全部。

 

 

「ヘクター、自分が気に入らない場合はどうすればいいと思う?」

「自身に憤るということですか?」

「そう。でも、どうしようもない。何もかも。」

 

 

これから起こる悲劇に比べたら、私の苛立ちなんて大したものじゃない。

 

ハンガーベイのガンシップに乗り込み、ハッチが閉まる。

 

クルーザーから離れ、ジェダイ聖堂のプラットフォームに着陸する。同じタイミングで、オビ=ワンがエアバスで戻ってきていた。

 

 

「アリス、インヴィジブル・ハンドを攻撃させたのはお前か?」

「そうだよ。」

 

 

呆気らかんと答えれば、オビ=ワンは呆れた表情をする。

 

 

「議長がいるって分かってたのか?」

「分かってる。でも、救出は成功でしょ?」

「全く……アナキンに感謝だな。」

「………アナキン、ドゥークーを殺したよね。」

 

 

そう聞くと、オビ=ワンは表情を翳らせる。

 

議長の命令のままに、ドゥークーの首を落としたらしい。歴史通りで、この戦いでドゥークー伯爵が死ぬことも変わらなかった。

 

そして、議長の関心がアナキンにも向いていることも変わらない。

 

 

「いつから議長が、ジェダイに命令できるようになったの?」

「アリス、議長は危険だ。」

 

 

オビ=ワンの言葉は正しい。

 

ただ、オビ=ワン、強いては評議会がどんな行動を取るかで、ジェダイの運命は決まる。

 

 

「そっちは聖堂の外だぞ。」

 

 

オビ=ワンと反対方向に歩き出すと、戻る方向と違うと指摘される。

 

 

「知ってる。外の空気が吸いたくてね。」

「ここも外だぞ。」

「揚げ足を取らなくても分かってるよ!聖堂から離れたいだけだから!」

 

 

階段を降りて、聖堂から離れる。

 

向かう先は一つ。

 

どんなに忙しかろうが、奴の口から聞いてやる。アナキンとパドメを守る為に。それから、グリーヴァスをボッコボコにしよう。

 

今回の元凶も、全部あいつのせいだ。

 

 

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