翌朝、私は聖堂の静かなエリアで瞑想していた。
何度か未来を予期しようとしたけど、暗黒面で翳って何も見えなかった。帳が邪魔して、読めなくなっている。シディアスが暗躍しているせいだ。
私が見たかったのは、戦争の終わり。
戦争の終結と共に、ジェダイは滅びる。シディアスに言われて、自分の未来を予期しようとしていた。でも、何も見えない。
その事実が、私を煽っていた。
「アリス」
目を開けると、アナキンが私を見下ろしていた。
「どうしたの?」
「道場に来てくれ。」
「分かった。」
アナキンに付いていき、道場で向き合い、ライトセーバーを構える。
「ほい、いくよ。」
「ああ。」
上、下、上、左と、その動きを繰り返す。
「で?話って?」
「パドメの妊娠を聞いてから、悪夢を見るんた。」
「どんな悪夢?」
「パドメが死ぬんだ。苦しんでいて、僕を呼んでいた。」
映像でも見たことがある。アナキンは、パドメが出産で死ぬと思っている。この世界の出産で死ぬことは早々ないけど、不安になる気持ちは分かる。
女の私が不安になるんだから、理解できる。
「アナキン、前にも言ったけど怖がらないで。」
「それだけじゃないんだ。」
「まだ何か?」
アナキンは黙り込み、ライトセーバーを収める。まるで、何か間違いを起こさないように、と。そして、ようやく口を開く。
「アリスを殺す夢も見ている。」
「え」
「ライトセーバーで、君の腹を貫いていた。」
まさか、アナキンもあの夢を見ているとは……
「それは本当にただの夢だって。」
「僕にはそう思えない。アリスもそう思うだろう?」
「思わない。」
アナキンの問いには否定したけど、本当に否定したいのは私。自分も見たなんて言ったら、実際に起きますと言われてるも同じ。そんなの、私自身が認めたくない。
「アナキン、鍛練の続きを。」
組手を再開し、私は彼に問いかける。
「マスター・ヨーダには相談した?」
「いや、まだ……」
「私より、マスターの方が的確なアドバイスをくれるよ。」
「何か思うところがあるのか?」
「何とも言えない。私を殺す夢は、刺される私に意見を言える立場にない。客観的な意見なら、マスター・ヨーダが一番だよ。」
鍛練をやめ、私達はライトセーバーを収める。
アナキン本人が、私をどう見ているのかは分からない。それでも、現時点では仲が良いのにそんな夢を見るということは、アナキンも何か納得してない部分もあるということだ。心境は、フォースにも影響するから。
「私に不甲斐ない部分があるのは、自分でも分かってる。でも、遠慮して相談してくるなら、マスター・ヨーダに助言をもらった方がいい。」
「それが君のアドバイスか?」
「そう捉えてもいい。私達の信頼を壊したくないから。ごめん。」
せっかく積み上げた信頼を、ここで崩したくない。
もう一度謝って、道場を後にする。
公文書館への階段を登っていると、AP-7が私を追いかけてくる。その手には指令書を持って。AP-7の呼び止めを受け入れて、指令書を開く。
「どうかされましたか、アリス?」
「ちょっと……外の空気を吸ってくる。」
外には行かず、迷わずプラットフォームへと向かう。
ジェダイ評議会が、分離派の幹部共を探せってさ。
戦争終結を目の前に、分離派の幹部を捕らえようって魂胆だ。だけど、私には従えない。今戦争を終わらせたら、何も変わらずにジェダイが滅びる。
まぁ、私は滅びようが関係ない。どの道、私もオーダー66で殺される可能性がある。生き残ったとしても、アナキンとの邂逅が待っている。
あれ……これ死亡フラグってやつ?
「終わった……」
「何がだ?」
「わああああああああああっ!!!」
「何なんだ!」
今一番会いたくない人に声をかけられ、絶叫して驚く。
「化け物を見たような反応をするな!」
「じゃあ急に話しかけないでよ、オビ=ワン!!」
だって、任務から逃げようとしていることがバレたら、オビ=ワンの説教タイムが始まる。さっきの絶叫はそのせいだ。後ろめたいことがあるのに、叫ばない方が無理。
そのオビ=ワンに誠意のない謝罪をして、手軽なシャトルを吟味する。
「何を選んでいるんだ?」
「ハイパードライブが搭載されてて、速いシャトルかな。」
「分離派の幹部達を探すだけだろう?なぜ速い船がいる?」
「え?速さって大事でしょう?」
「答えになっていないぞ。」
あ、やべ。オビ=ワンが気付きやがった。
「んじゃ行ってくるあとよろしくー!」
「アリス!!!」
急いでシャトルに乗り込み、速攻でハッチを閉める。オビ=ワンが何か言っているが、知らん。舵を目一杯押し、私はプラットフォームから発つ。
「うわ……」
つい声に出てしまった。
シャトルに通信が入って、ランプが点滅している。たぶん、オビ=ワンだ。出たくないけど、出ないと戻ってからが面倒臭い。
仕方なく、通信回路を開く。
『アリス!任務を放棄したな!』
「幹部共を探すだけなら、私じゃなくてもいいでしょ。トルーパーの偵察部隊で充分事足りる。ドゥークーだっていないし、妨害はないんだから。」
『任務を拒む理由はあるのか?』
「あるよ。」
シディアスにかけられた、シスの術、呪いを解きたい。ジェダイ公文書館に情報がないなら、シスに聞くしかない。ただし、シディアスのことじゃない。
向かう先は、外縁部にある惑星コリバン。
「今は聞かないでほしいなー、なんてね。」
『行き先だけ教えるんだ。教えるなら、私からは何も言わないでおいてやる。』
「………コリバン。」
『何だと!?コリバンはジェダイ禁断の地だぞ!!』
そう、コリバンはジェダイ禁断の地。マラコアに並ぶ、ジェダイはタブーの惑星だ。共通するのは、暗黒面のフォースに満ちているということ。
コリバンに至っては、更に良くない。何せ、過去の暗黒卿の霊廟があるのだから。しかもシディアスよりタチ悪い奴らばっかり。
「分かってるよ!事情があるの!通信切るから!」
『待て!!!』
問答無用で通信を切断する。そして、レバーを引き、ハイパースペースに入る。座標は、コリバンに設定してある。
これがダメなら、諦めるしかない。
20代の姿のままとか、ハン・ソロに舐められる未来しか見えない。顔だけはイケメンだけど、どうも癪に障るんだよね。それだけは阻止しないと。
全部シディアスのせい!!!