翌日、アナキンが評議会入りしたと、オビ=ワンから聞いた。やはり、二重スパイが極秘の任務らしい。オビ=ワンも良く思っていないが、アナキンはもっと反感を抱いているはずだ。
それから私のマスターへの昇格、撤回してくれないかな……鬱すぎる。
そんな折、パルパティーン議長、もといシディアスから呼び出しがあった。
歓楽街でオペラを観ていて、そのオペラ・ハウスに来るようにと指示された。
この戦争時に何を遊んでいるんだ、あいつ。
「やぁ、よく来てくれた、アリス。マスターに昇格したそうだな。おめでとう。」
「全然めでたくない。」
オペラ・ハウスに着いたけど、もう少しで終わろうとしていた。
「評議会に認められたということだろう?良いことだ。」
「私には良いことじゃないんだけど?」
お前を釣る餌だと言ってやりたい。“議長”も分かっているだろうけど。しかも、喜んで釣られてくれるのは確実だから、余計にムカつく。
私が来る前にアナキンが来ていたようで、側近は誰もいない。隣に座るように言われるが、1席空けて離れて座った。
アナキンみたいに無防備じゃないので。
「いつもの覇気がないな。」
「………用件は何?」
「分かっていて来たのだろう?」
シディアスの言う通り、これが例の“3度目”だ。
「考えが甘いというのは、本当らしいね。」
「その様子だと、何かあったか。」
「あんたのマスターに会ったよ。」
シディアスが、初めて表情を崩した。私がプレイガスを知っているとは思わなかったみたいだ。でもその表情もすぐに元に戻り、いつもの人を弄ぶ表情になる。
「我がマスターと会って、何か得られたかね?」
「何も。」
「やはりそうか。プレイガスに術は解けないぞ、私が編み出したものなのだから。無駄な足掻きだ。」
抵抗するな、そう言われているようだった。
「アリス、3度目の答えを聞かせてくれないか?」
「あれから、何度も考えた。この日の為に。」
「良い答えか?」
「そんなわけないでしょ。答えは変わらない。NOの一択。あんたとは相容れない。」
シディアスに従えば、未来を知る私にライトセーバーを握らせるだろう。苦しむのは、ジェダイだけじゃない。銀河の罪なき人々も巻き込む。
「先日、評議会は私にマスターの称号を与えた。私を認めてもいないのに。あんたと同じ。あんたも私を認めているわけじゃない。未来を知る私を、ただ手元に置きたいだけ。」
「それだけの理由で、君を誘っていると思っていたのか?」
「シスの考えなら、それしか理由がないでしょ。」
「アリス、シスもジェダイも、今や同じことをしている。分かっていて、ジェダイ・オーダーと共に滅ぶ道を選ぶのか?」
「どこにいようと、それは私が決める。フォースの意志でもない。私自身の意志で。」
これが答え。
私は最後まで見届ける。アナキンが暗黒面に呑まれたとしても、見届けなきゃいけない。彼に殺されるとしても、だ。
「そうか、残念だ。」
「話はこれだけ?」
「あぁ、そうだ。では、私も手心を加える必要は無いな。」
「手心?何に?」
「ジェダイが滅びる時、君が運命を受け入れることを願うよ。オペラはもう終わる。ゆっくり楽しむといい。私からの細やかなプレゼントだ。」
シディアスは立ち上がり、貴賓席を出て行く。
既に手の平で踊らされているような感覚がする。フォースの意志ではなく、シディアスに。なんであいつに弄ばれなければならないんだ。
こっちも、黙って待つ気はない。
オペラが終わった後、聖堂に戻り、ジェダイ・アーカイブからメモリークリスタルをくすねる。できることはやる。対策というより、終活だ。終わりに備える為に。
個室に篭って、自分にしか分からないように暗号化して、思い出せる限り記録にする。
記憶は薄れ続けている。10年前まで覚えていたことも、今はきっかけがないと断片的にしか思い出せない。完全に思い出せなくなる前に、記録に残すしかない。
「アリス」
オビ=ワンの声に慌ててモニターを落とし、丸けてあったマントを落としてしまう。落ちたメモリークリスタルを、オビ=ワンに拾われる前に奪取する。
「えっ、と、何?」
「何を隠した?」
「何も隠してない。あぁ、これから任務?」
「すぐに向かう。クローンの偵察部隊が、グリーヴァスを見つけたんだ。ウータパウだ。」
歴史通り、オビ=ワンはウータパウに派遣される。その少し後に、ジェダイの粛清が始まる。終わりは、もう目前に迫っている。
「行ってらっしゃい!」
「何を言っているんだ?お前もマスター・プロと任務だぞ。」
「今度こそバックれていい?」
「ダメに決まってるだろう。」
オビ=ワンに連れられ、私はプラットフォームに向かう。直接クルーザーに乗ろうとすると、アナキンがオビ=ワンを追ってきた。
映画でも観た、あのシーンだった。
アナキンもウータパウへ行きたいと言うが、オビ=ワンはやんわりと断っていた。
「なんて顔をしてるんだ、アリス。」
「どんな顔?」
2人共、言葉を濁す。
思い出せないけど、アナキンとオビ=ワンにとって、これが仲間としての最後の会話になる気がする。その不安が拭えなくて、心苦しくなってしまった。
「今生の別れをするような表情だったぞ。」
「アナキン、それはひどいって。」
「マスターになって、思うことが増えたんじゃないのか、マスター・レイン?」
「やめてよ。」
「貴女はマスターの称号を受け入れるべきだ。多くの人が、アリスを必要としている。僕だって、アリスが必要だ。」
あの生意気なアナキンが、可愛く見えた。って、隣にいるオビ=ワンに言ったらドン引かれた。なぜか気持ち悪いとまで言われて、メンタルが下がっていく。
「アリス、マスター・プロを振り回すんじゃないぞ。」
「オビ=ワンこそ、コーディをこき使わないようにね。」
「さらば友よ、フォースと共に。」
「フォースと共に、マスター。」
「フォースと共に、オビ=ワン。」
オビ=ワンはクルーザーに乗り込み、アナキンはそれを静かに見送った。
私もマスター・プロの旗艦に歩いていこうとすると、呼び止められた。
「アリス、マスターの称号が気に入らないのは分かってる。だが、さっきの言葉は嘘じゃない。」
「私を必要としてるってやつ?」
「そうだ。貴女は友人でもある。パドメもそう思っているだろう。一人で抱え込まないでくれ。」
私を慕ってくれているということだ。
私だって同じ気持ちだ。パドメとアナキンは大切な存在になっている。できることなら、二人で幸せになってほしい。
暗黒面の邪魔さえなければ、二人はずっと幸せなのに。
「ありがとう、アナキン。私も行かなきゃ。」
「貴女が戻ってきたら、パドメを連れてナブーへ行こう。今度は3人だ。」
「分かった。勝利を祈ってて。フォースと共にあらんことを、アナキン。」
「フォースと共に、アリス。」
クルーザーに駆け込み、ブリッジに向かう。ブリッジには既にコマンダー・ウォルフが待っていた。
今回はマスターと合同だから、ヘクターとは行動しない。
「レイン将軍、ご機嫌ですね。何か嬉しいことでも?」
「ウォルフ、今何を想像したの?」
「………さぁ?」
「誤魔化したね。」
「そこまでだ、アリス。」
「はい、マスター。」
マスターが到着し、クルーザーはコルサントの軌道まで飛び立つ。
プロジェクターを起動し、ホロマップを出して軍議が始まった。今回の主力は、私とマスターのコンビだ。戦いが激しくなるかもしれない。
「ハイパードライブを起動だ。」
「了解しました。全艦、ハイパースペースへ。」
行き先は、ケイト・ニモーディア。
思う存分暴れるぞ!!
あれ?違う?バトル・ドロイドって、ストレス発散の為の存在じゃない?
………すみませんでした。
ライトセーバー、どうする?
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クリスタルまで壊す。
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クリスタルだけ所持して、パーツはポイ。
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一応持っておく。