始まりの任務
あれから何年も経ち、私は15歳。
プロ・クーンというマスターの下で、修行を積んだ。評議会にはその姿勢を褒められたけど、やる気がないことに関してはお叱りを受けた。私が自由人なのは構わないけど、他のイニシエイトや世間には良いイメージを与えないからだ。
全てを認めてくれたのは、マスターの一人、クワイ=ガン・ジンだけ。
そのクワイ=ガンも、評議会からは勝手な行動が多いジェダイとして見られている。彼からの教えは、他のジェダイからの教えよりも面白いものだった。画面で見たようなものよりも深く、実際に教わったものは、今後に繋がると確信できた。
「マスター・クワイ=ガン、お話があります。」
時間をもらい、二人でジェダイ聖堂の回廊を歩く。
今日まで悩み続けたけど、答えは出なかった。
「もしも未来を知ってしまったら、どうしたら良いんでしょうか?」
「ヴィジョンを視たのか?」
「ある意味では、そうです。」
私は未来を視たんじゃなく、知っているだけ。必ず訪れる結末を、ただ知っているだけ。悲しい歴史を変えるには、私一人が悩んでも変わらない。
「ヴィジョンで見せられた災いを避けることはできないと、そう教わりました。」
「そうか……変えたいのだな。」
「はい。」
「残念だが、運命とは歴史だ。一人を助ければ、代わりの者がその業を背負うことになる。それが己と関わりがある者なら、尚更だ。お前は、その覚悟があるのか?」
そう問われ、立ち止まる。
ジェダイだから、他者に執着してはいけない。執着は、暗黒面へと繋がる。もし親しい者を助ければ、暗黒面に堕ちるかもしれないんだ。
「あります。」
「分かった。だが、私に言える忠告は限られるぞ。」
「構いません。」
私とクワイ=ガンは、再び歩き出す。
「私からの助言は一つだ。アリス、抗うな。」
「どこが助言ですか?」
「聞くんだ。その時になれば分かる。今はまだ“その時”ではない。時が来れば、すべきことも見えるはずだ。」
「今は何もするなと……?」
「そうだ。」
クワイ=ガンを見上げれば、最善の道だと言う。
彼に頭を下げて礼を言うと、私のマスター、プロ・クーンが来た。
「アリス、任務だ。」
「はい、マスター。」
クワイ=ガンに頭を下げ、背を向ける。
マスター・プロに続き、回廊からプラットフォームへと向かった。
恐らく、評議会の任務だ。評議会メンバーであるマスターの弟子の私は、他のパダワンよりも評議会の任務を振られる。
その過程で、評議会は私を注視している。
「今回の任務は、トレード・フェデレーションの内情調査だ。」
トレード・フェデレーションといえば、ナブー危機の発端だ。自由貿易の為に、アミダラ女王に合法化を了承する署名をさせようとした事件だ。これは、戦いにも発展する。
「調べてどうするんです?」
「不穏な動きがあれば、報告するんだ。」
「分かりました。」
コンパクトなシャトルに乗り、ケイト・ニモーディアの座標を入れる。コルサントの宙域まで出ると、ハイパースペースへとジャンプした。自動操縦にした後、私は座席の背もたれに寄り掛かった。
調査任務だけなら、そんなに時間はかからないはずだ。
この時、私が歴史に組み込まれたのを、微塵も知る由もなかった。