【完結】ジェダイ(仮)になりました。   作:夭嘉

51 / 173
フォースを信じて

重力って、体重に比例するんだよね。

 

そんなことを呑気に考えていた。

 

現実問題、私はバランスを崩して落ちようとしていた。近くに掴めるものもない。このまま落ちて死んだら、シディアスを喜ばせるだけだ。

 

いや、あいつは未来の情報が欲しいから、惜しむだろうな。なんて強欲な奴。

 

 

「え……?」

 

 

ウォルフが、私の手を掴む。

 

え、つまり?味方ってことでいいんだよね?

 

 

「しっかり掴んでください!」

 

 

引き上げられた後、思わず座り込む。

 

 

「大丈夫ですか?」

「ウォルフこそ、大丈夫?」

「分かりません。なぜ正気に戻れたんでしょう?」

「クローンの脳に、バイオ・チップがあるんだって。でも私じゃ取れないから、フォースで小細工したの。」

 

 

コマンダーなら、タップとファイヴスの事件を知っているだろう。

 

 

「そうでしたか……申し訳ありませんでした。」

「クローンのせいじゃない。悪いのは………」

 

 

悪いのは誰?ジェダイの殲滅を望むシス?それとも、何も疑わずにクローンを使ったジェダイ?

 

もう、何が原因か分からない。

 

 

「将軍、ここは、っ……」

「ウォルフ!?」

 

 

急に頭を抱えて、ウォルフは踞る。声をかけるも、何かに耐えるように手を握り締めている。彼に触れようとするが、その手を払われてしまった。

 

 

「いけません…!離れて、くださいっ……」

「まさか……」

 

 

命令に逆らおうとしている。脳内にバイオ・チップがある限り、ウォルフは延々と苦しむ。助けたいけど、時間がない。

 

 

「ウォルフ、こっち見て。」

「ダメです……」

「私を見て!ウォルフ!!」

 

 

声を張り上げると、ウォルフは私を見る。

 

 

「従う必要はない!もうジェダイ・オーダーは滅んだの!役目は終わったんだよ!」

「終わった……」

 

 

自分で言っていて、嫌になってきた。クローンは用済みだと、言っているみたいだった。そんなつもりはないのに。

 

クローンとジェダイの信頼を裂いたのは、他でもないシス。

 

この私も、クローンを信頼していた。突然銃口を向けられた時、何が起こるか分かっていたのに心が苦しかった。何年も行動を共にして、お互いを必要としていたんだ。

 

居心地の良さが、余計に心を絞めた。

 

 

「手間をかけさせてしまい、申し訳ありません……」

「私は大丈夫だから。それより、早く逃げなきゃ。」

 

 

もたついていると、機関室に新手のトルーパーが駆け込んでくる。彼らがブラスターを向ける前に、フォース・プッシュで押し飛ばして、ウォルフとR7-D4を連れて、一緒に機関室から脱出する。

 

向かう先は、脱出ポッドがあるエリア。

 

ハンガーベイにシャトルとかインターセプターがあるけど、撃ち落とされるのは嫌だから脱出手段として使いたくない。それに、ジェダイの私はシャトルで逃げると思っているはず。裏を掻けば、脱出ポッドは見過ごされるかもしれない。

 

 

「脱出ポッド、ですか。」

「うん。R7、手動にして。」

 

 

R7に手動にしてもらい、脱出ポッドのハッチを開け、ウォルフが先に入る。

 

 

「将軍、」

「ウォルフ、もうアリスでいいよ。」

「では、アリス。脱出ポッドを、わざわざ手動にする必要はあるのですか?」

 

 

これだから、優秀なクローンは困る。

 

 

「本当にもう……さすがコマンダーだよね。」

「え?」

「状況察知が早いよ。」

 

 

入ったのを確認して、ハッチのスイッチを押す。私の企みに気付いたウォルフが出ようとするが、フォースでR7と一緒に中へ押し込めた。

 

 

『アリス……!』

「まだやることが残ってるから。先に言っておくよ。ごめんね。」

『何を、』

「すぐに分かる。」

 

 

そう言って、射出ボタンを叩く。脱出ポッドは射出され、私は他のポッドもいくつか射出させる。クルーザーの砲撃手は、混乱して撃たないだろう。

 

さて、私はやり残したことがある。

 

クルーザーはもう保たない。墜落するのも時間の問題だ。その前に、トルーパーを逃がしたい。クルーザーが墜落するのは、私のせいなんだから。

 

 

「見つけたぞジェダイ!」

 

 

トルーパーが2人現れて、私にブラスターを突き付ける。

 

バイオ・チップが働いているから、マインド・トリックが効くはずだ。ウォルフを正気に戻した時の方法で応用できたら、私の足掻きは叶う。

 

 

「ジェダイは死んだから、命令は完遂した。すぐに脱出しなければならない。」

「命令は完遂……脱出だ。」

 

 

2人はブラスターを下ろし、来た道を戻っていく。

 

これで、多くのクローンが助かればいいけど………

 

通路では、未だにアラートが鳴っている。夢で聴いたアラートが、耳から離れない。この音が止まることはない。

 

 

『総員、すぐに脱出せよ!繰り返す!脱出せよ!』

 

 

アナウンスが流れて、クローンは脱出を始めた。

 

私も動かなきゃ。

 

ハンガーベイに走り、一番頑丈なシャトルに乗り込む。緊急コードを発信して、ハッチを閉める。エンジンをかけない代わりに、全パワーをシールドに回した。この後は、フォースの導きに従うしかない。

 

音の違うアラートが鳴り、クルーザーの墜落を警告する。刹那、クルーザーは橋上都市に墜落して、私が乗るシャトルにも衝撃が襲った。

 

まだアナキンとの一悶着が残っている。私の言葉を届けないといけない。アナキンの良心に届くか分からないけど、最後の足掻きだ。

 

ほんの少しだけ、フォースを信じてみようと思う。

 

 

ライトセーバー、どうする?

  • クリスタルまで壊す。
  • クリスタルだけ所持して、パーツはポイ。
  • 一応持っておく。
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。