個室に篭り、心を無にして瞑想する。
フォースのヴィジョンは、見たいものと見たくないものを、両方見せる。光と闇、表と裏、過去と未来。決まりはない。
瞑想して見えたのは、元の世界の私だった。
『ねぇ###、なんでパルパティーンって、アナキンを弟子にしたかったのかなぁ。』
『予言の選ばれし者だからじゃない?』
『バランスをもたらすどころか、バランスを壊してない?』
『確かに。』
目を開け、瞑想をやめる。
バランスとは何なんだろう。フォースにバランスがあるなら、今のこの状況はバランスが取れていない。暗黒面のフォースが強くなっている。
ジェダイの予言が主張するバランスは、もう崩れている。
「アリス」
オビ=ワンが個室に訪れて、私の様子を見に来る。
正座をやめて立ち上がると、意気消沈に気付いたのか声をかけられた。
「ヴィジョンを見たのか?」
「ある意味ではね。」
「アリス、ヴィジョンは必ずしも物事を決めるものじゃない。ヒント程度に捉えておけ。」
「で、用件は?」
「もうすぐコルサントに着く。」
「どうやって聖堂に忍び込む気?」
「それが問題だ。」
オビ=ワンに続いてコックピットへ向かう。
向かいがてら、コムリンクや手甲、アーマーを外した。戦争は終わったから、もう必要ない。
「マスター」
コックピットに入って、私は一番後ろの座席に着く。
「議長のオフィスからです。」
マス・アミダがモニターに現れて、緊急の特別議会が開かれると告げる。オーガナ議員は、何事もなかったかのように向かうと答えた。
通信が切られた後、オーガナ議員は私達に向き直る。
「きっと罠です。」
「そうは思わない。いくら最高議長でも、元老院議員抜きで、何千とある星を掌握できるわけがない。」
その通り。
ただし、元老院議員の多くは議長を支持している。帝国に再編するのは簡単だろう。その代わり、民主主義は消える。即ち、自由は存在しない。
帝国の圧政が始まり、銀河の人々は抑圧に苦しむことになる。
「その特別会議の混乱に紛れ、ジェダイ聖堂に密かに忍び込めまいかのぅ?」
オビ=ワンはマスター・ヨーダの言葉に同意する。私も同意すれば、マスター・ヨーダが再確認をしてくる。
「良いのか、アリス?クローンを倒さねばならんのだぞ。」
「構いません。それに倒すにしても、ごく少数でしょう?」
「確かにそうだが、動揺されても困る。」
「オビ=ワン、私は何年も前から覚悟はしてた。今まで、その覚悟から逃げてきたけど、今度はちゃんと向き合う。だから大丈夫。」
クローンがジェダイを殺すことは、何年も前から分かっていた。今こそ、目を逸らさず見るべき時だ。私だって、仮にもジェダイなのだから。
「良かろう。二人共、用心せよ。」
「はい。」
「はい、マスター。」
タナヴィーは行政地区に着陸し、私達ジェダイは人目の少ないベイで降りる。
目指すは、聖堂のコントロール・センターだ。
「ジェダイだ!殺せ!」
聖堂に着いて早々、クローン兵にブラスターを撃たれる。
私とオビ=ワンはジェダイ・マントのフードを深く被り、ライトセーバーを起動してレーザー弾を防ぐ。マスター・ヨーダもライトセーバーを取り出し、クローンを切っていく。
粗方倒した後、聖堂の中に駆け込む。
中に入った瞬間、マスター・ヨーダとオビ=ワンは絶句する。
ジェダイ・ナイトだけではなく、イニシエイトの子供達まで殺されていた。ジェダイの卵だとしても、子供まで抹殺対象なのは、私も心が痛かった。
オビ=ワンは、フードを下ろして呟く。
「子供まで殺されている……」
そこで、マスター・ヨーダはあることに気付いてしまう。
「クローンではない。見よ、ライトセーバーを使う者が、このパダワンを殺しておる。」
子供の死因は、レーザー弾じゃない。ライトセーバーの痕がある。それだけで、どんな人物か想像できる。
「一体誰がこんなことを……」
アナキンは、もうアナキンではなくなっている。暗黒面に呑まれてしまった。子供を手に掛けたのが、その証拠だ。
私の声は、届かないかもしれない。
「オビ=ワン、先にシグナルを変えなきゃ。」
「ああ、分かっている。」
コントロール・センターに入り、オビ=ワンが帰還命令のシグナルを止める。その後に、生き残ったジェダイに向けてメッセージを送っていた。
これで、戻ってくるジェダイはいない。
私とマスター・ヨーダが去ろうとすると、オビ=ワンはマスターを呼び止める。
「お待ちください。まだ、確かめることがあります。」
誰がこんな無惨なことをしたのか?
オビ=ワンは、その問いを確かめようとしていた。
「警備記録なら見ない方が良い。苦痛が増すだけじゃ。」
「真実を知りたいのです。」
そう言って、オビ=ワンは警備ホログラムを映す。いくつかのホログラムが映った後、アナキンが子供を殺す映像が流れた。マスター・ヨーダは長い息を吐き、目を伏せる。オビ=ワンはショックを受けていた。
「こんな馬鹿な……こんなことがっ……」
次に映ったのは、議長に忠誠を誓うアナキンだった。ヴェイダー卿と呼ばれ、アナキンが暗黒卿となったのだと知った。
耐えかねたのか、オビ=ワンは警備ホログラムを切る。
「シスを倒すのじゃ。何としてもな。」
「皇帝は、私がやります。アナキンは殺せません。」
「このシディアス卿、お前では無理じゃ。強すぎる。」
「アナキンは弟、殺せません!」
──────弟だと思っていた!!
あの言葉が、頭に響く。
弟だった。でもそれは、過去のことだ。いるのは弟ではなく、暗黒面に堕ちたジェダイ。
「アリス、お前もオビ=ワンと行くのじゃ。」
「私は……」
「お前は、シディアス卿を恐れている。恐れていては、勝てるものも勝てん。」
「はい、マスター…」
オビ=ワンと共に、コントロール・センターを後にする。
スピーダーに乗り、オビ=ワンは手掛かりを探した。
「こっちって……」
「………元老院議員のアパートメントだ。」
エレベーターは使わず、直接議員の階へ向かう。
オビ=ワンが訪れたのは、“アミダラ議員”のアパートメント。
久しぶりに見たパドメは、不安げだった。ジェダイは裏切ったとされている。私達が現れたのは、衝撃だったらしい。
「アリス!」
パドメが私を抱き締める。無事だと言って離れさせると、心配だったと言われた。私は自分より、パドメの方が心配だ。
「議員、アナキンに最後に会ったのはいつです?」
「………昨日です。」
オビ=ワンがアナキンの場所を聞くも、パドメは分からないと答える。
「パドメ、アナキンは嘘を吐いてる。」
「どういうこと?」
「ジェダイは裏切ってない。共和国も、分離主義派も、最初から議長の手の平の上だった。最高議長の正体は、シスの暗黒卿、ダース・シディアスなの。」
「そんな……」
ソファに座るパドメの横に、オビ=ワンが座る。
「アナキンは暗黒面に堕ち、奴の弟子になった。そして、多くの子供達を………」
「嘘よ!信じられない……」
「警備記録を見たのです。」
「本当なの、パドメ。アナキンを探さないと。」
パドメは何か考えた後、私達に問う。
「………アナキンを殺す気ね。」
「約束はできない。」
「アリス、お願いよ。」
「ごめん、パドメ。」
どちらかと言えば、私が殺される可能性の方が大きい。どっちにしろ、アナキンとの対決は避けられない。
「お腹の子の父親は?」
オビ=ワンが、パドメに問う。彼は、薄々気付いている。いや、気付かないわけがない。
「アナキンの子ですね。」
「………」
「残念です。」
出て行くオビ=ワンに、私も付いていく。
アナキンのフォースが、酷く苦しい。彼の憎しみが強くなって、私は暗黒面に気圧される。アナキンの憎しみも感じ始めた。
どうして暗黒面はこんなに心地良いのか、ようやく分かった。
私が、誰よりもアナキンとパドメを大切に思っているからだ。
ライトセーバー、どうする?
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クリスタルまで壊す。
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クリスタルだけ所持して、パーツはポイ。
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一応持っておく。