ひと段落すると、ケイナンとエズラの間から黒いドロイドが出てくる。
リアクターに爆弾を仕掛けたり、スターデストロイヤーで情報を探ってたのは、このドロイドの働きだ。ナンバーは“R7-D4”。その昔、R7-D4はマスター・プロのドロイドだった。
「このドロイドはあんたのか?」
「うん。いやぁ、本当に来るとは思わなかったよ。」
R7を撫でれば、嬉しそうな反応をする。
「マスター・レイン、クローン戦争から姿が変わらないのはなぜだ?」
「あぁ、動揺はそのせいか。クローン戦争中にシスの秘術を受けてね、ずっとこの姿。それと、マスターの敬称はいらないから。」
「どういうこと?」
「少年、実力はともかく、なるべくしてなったわけじゃないからだよ。それで、君は?」
「エズラ・ブリッジャー、俺のパダワンだ。そっちにいるのが、サビーヌだ。」
操縦席にいるサビーヌが、手を振る。
肝心のR7に情報のことを聞くが、何も収穫はなかった。大した情報ではないけど、得られたのはヴェイダーの現在地くらい。何を意味しているのか、私には分からない。
「マスターから聞いてはいたが、あんたの行動は奇抜すぎる。」
「ケイレブ、」
「今はケイナン・ジャラスだ。」
「そう、ケイナン。あんたこそ、変わらないね。」
私とケイナンの不穏な空気に、エズラが間に入る。
「昔話は後にしない?」
「ああ、分かっている。」
「それで?私の存在が必要って何?」
格納庫で言われたことを問う。
本来なら、私は遠ざけたい存在だ。ジェダイ評議会が注視していて、ジェダイの模範から遠いマスターなのだから。強いて言えば、私は反乱軍に影響を来す。
そんな存在、誰が欲しがる?
「言い出したのはアソーカ、彼女よ。」
「アソーカが……何か気付いたのかな………」
「何の話?」
「あ、ごめん。こっちの話。そういえば疑問なんだけど、どこで私のことを知ったの?」
3人とR7は、罰が悪そうに口を閉じる。
あれ、待った。R7まで理由を知ってるなんて聞いてない。こいつ黙ってたな。
「R7?知ってたの?………へぇ、そう。忙しかったんだ。って、私が信じるとでも?あ!ちょっと!」
R7はケイナンの後ろに隠れる。
これがドロイドのすること?長年付き合っているだけあって、遠慮がなさすぎでしょ。
「貴女、コルサントに送られる予定だったの。」
「え、マジ?」
「本当よ。」
「ルード議員を知っているか?」
「もちろん。よく知ってる。」
「彼の依頼だ。あんたが反乱軍に加われば、シスの暗黒卿に対抗できる、と。アソーカが真っ先に同意した。」
シスの暗黒卿という言葉に、口を噤む。
ルード議員は、私とヴェイダーの確執を知っているはずだ。
「どうした?」
「何でもない。いいよ、反乱軍に入る。ルード議員は元気?」
「ああ。」
「そろそろハイパースペースを出るわ。」
ファントムがハイパースペースを抜け、フェニックス・ホームと呼ばれる旗艦を中心とした艦隊と合流する。ゴーストという改造貨物船がフェニックス・ホームとドッキングしていて、ゴーストを介して旗艦のブリッジへと向かう。
途中、ゴーストのクルーと挨拶を交わす。
その中に、見覚えのある人がいた。
「あー!オレリオスたい、むぐっ」
ゼブに慌てて手で口を塞がれる。
実は、クローン戦争中に彼と会っている。ゼブとは、儀仗兵とジェダイ将軍としてやりとりした過去がある。ラサットはクローン戦争に参戦していないけど、ラサットの預言者にはジェダイの信頼を得られていた。
「頼むからやめてくれ。」
「ゼブ、知り合いだったの?」
「ああ、いろいろあったんだ。」
ゼブがトワイレックの女性にそう返す。
「ヘラ・シンドゥーラよ。歓迎するわ、アリス。」
「よろしく。」
通路を抜けて、フェニックス・ホームへと踏み込む。ブリッジに入ると、アソーカと司令官の男性が待っていた。アソーカは私を見て、傍らに寄ってくる。
「アリス」
「アソーカ、無事で良かった。」
「貴女もね。」
クローン戦争の時とは違って、アソーカは落ち着いた雰囲気になっていた。落ち着いていることを除けば、アソーカは昔と変わらない。
「アリス、紹介するわ。コマンダー・サトーよ。」
「マスター・レイン、クローン戦争では共和国に仕えていたと聞き及んでいる。」
「昔の話です。」
そう答えれば、コマンダーは微妙な顔をする。
「その姿で昔の話と言われても……」
「あ?あぁ……」
「何があった?」
「これはクローン戦争中にシスの暗黒卿から受けたもので、えっと、これ何回目の説明?」
シスの秘術を解けなかった私にも問題はあるけど、事情を知らない人には、敵味方関係なく度々驚かれる。
「事態は、貴女が考えているより重大よ。多くの尋問官が、アリスを探しているの。」
「それなんだけど、なんで?」
「ヴェイダーの指示よ。」
あいつ自分で来ないくせに、尋問官に探させているのか。
壁に寄り掛かりながら予想してみるが、何も思い付かない。私を殺したいなら自ら来るだろうし、そう単純でもなさそうだ。尋問官を使うというのが、どうにも解せない。
「貴女にも分からないのね。」
「心当たりが多すぎて。」
「一体何をしたの?」
アソーカは苦笑する。
スターデストロイヤーは何隻も墜としたし、尋問官も多く打ち負かしてきた。尋問官の特別任務すら邪魔したし、他にもいろいろやっている。全部が全部、追われる理由になり得る。
「っ!」
その瞬間、寒気を感じて目を伏せた。
私を捕まえ損ねた尋問官が、ヴェイダーに処分された。失敗を重ねすぎて、不要と判断されたんだ。もう何度目の感覚か分からない。
「アリス、大丈夫?」
「………大丈夫。少し休ませて。」
「ええ。」
ブリッジを出て、隊員に案内された個室を借りて、寝台に横になる。
あの感覚だけは、何年経っても慣れない。人が死ぬ時の寒気だ。慣れるはずがない。
ヴェイダーと会う時、私は正気でいられるだろうか。