通信機で起きたことを伝えて、まず言われたのがドアを壊すな、と。
私はクラッシャーか何かですか。
そうして来たのが、アソーカとケイナン、ダンタム。更にどういうわけか、私は正座させられている。左腕が痛いのは、この際無視しよう。
一つ一つ事実確認をされ、最後にケイナンが問う。
「それで?自分から皇帝に会いに行ったってことか?」
「ホログラムだけどね。」
「そういう問題じゃない!あんたは何をしたのか分かっているのか!?」
「このまま嘗められるよりは、直接言ってやった方がいいでしょ?」
私が負けず嫌いと言うには、事足りない。シディアスが私に執着していたように、私もアナキンを取られた妬みで、奴に執着のような感情を持っていた。ホログラム越しで向き合って、その感情を自覚せざるを得なかった。
今回の件で、私はその感情を切り捨てられた。
「今回のことは謝る。ごめん。でも、今後は反乱軍に迷惑はかけない。」
「そうじゃない、アリス。もう自分を囮にするのはやめるんだ。」
「ダンタム、」
「気付いてないと思ったのか?帝国から隠れ続けていた君が、今になって目立つようなことをしている。どう考えても、帝国の関心を引きつけているようにしか見えない。」
何かに気付いたのは、アソーカだけじゃないらしい。ケイナンやダンタムも、私の意図に気付いている。それがどんなに危険で、愚かしい行為なのか、3人は知っている。
「守りたいものを守るのが、そんなにいけない?」
「反乱軍は帝国と戦う為に存在するんだ。守られるものじゃない。」
「ケイナンの言ってることは分かるよ。けど、私の言い分も聞いてほしい。」
「アリス、一人で戦う必要はないのよ。」
「分かってるよ!!」
言い返してから、アソーカが悲しそうな表情をしていることに気付いた。
アソーカは、アナキンとパドメを見てきた。あの2人に重なって見えたんじゃないかと思えた。私が、アナキンと同じ道に進もうとしている、と。
「貴女はジェダイ・マスターとして、一人で盾になろうとした。一人の人間ではなく、ね。貴女を想う人の気持ちを、一瞬でも考えたの?」
「やっぱり気付いてるんだ……」
「当然よ。マスター・スカイウォーカーを見てきたんだから。」
その言葉の意味を、ケイナンだけが理解していなかった。
「話が変わってないか?」
「変わってないわ。その人がアリスを失うことになるのと同時に、アリスもその人を失うことになるの。」
「一体誰のことだ?」
「夫だよ、私の。」
ジェダイではあり得ない言葉に、ケイナンは更に混乱する。
私達ジェダイには本来、恋愛というものはない。例外的に結婚した者は過去にいたけど、基本的にはあり得ない。私も、本来ならあり得ない部類だ。
ダンタムを指差して夫だと言えば、ケイナンは裏返った声を上げる。
「夫っ!?」
「うん、そう。夫。」
「そんな……あんたは一言もっ………」
「言うわけないじゃん。彼の立場もあるし。」
彼の立場、ダンタムの議員という立場を守る為、秘密の結婚だった。ケイナンには知り合いだと言ったけど、間違いじゃないし。
「俺だけ知らなかったのか……」
「アソーカの方が、勘が鋭かったってことだよ。」
秘密にするのは、今日までだ。
シディアスにも知られたし、隠す意味もない。私を直接助けに来たということは、帝国元老院の議員を辞めることを意味する。議員という立場がない今、ダンタムも隠す気はないだろう。
「そういうことだ。アリスに危険な真似はさせないでくれ、2人共。」
「待って、」
「待たない。アリス、言ったはずだ。もうあんな思いは懲り懲りだと。」
「それは……」
「また単独行動したら、今度は私が皇帝に会いに行くからな。」
「それはダメ!!!」
必死になる私に、アソーカは笑う。アソーカに続いて、ケイナンはなぜか苦笑する。ごく普通の会話のはずなんだけど。
「アリス、随分と丸くなったのね。」
「ああ。ジェダイ・オーダーにいた頃より、活き活きとしているな。」
「ちょっと2人共!私が尖ってたみたいじゃん!」
あろうことか、ダンタムまで同意する。
おかしい。私は今も昔も、何も変わっていないのに。何も変わったところはない、はず。
「あぁ、昔と言えば、ヘクターが合流したぞ。」
「げぇ……マジ?」
「どうしたんだ?」
「ケイナン、コマンダー・ヘクターはアリスの副官だったの。」
「合わなかったのか?」
「いや、ヘクターとアリスは親しい方だったぞ。」
ダンタムの訂正に、私は肯定する。確かに、ヘクターとは親しかった。それはもう、遠慮がないくらいに。
クローン・コマンダー1人探せないわけがなかったけど、私はあえて探さなかった。
考えてみてほしい。お互いを副官と上官としてではなく、1人の人間として接していたんだ。私もだけど、ヘクターも言いたいことを言ってくる。
もし一緒にいれば、私が投降するのを止めていただろう。
それくらい、ヘクターと親しかった。
「ヘクターは、無条件に従うクローンじゃなかったの。」
「つまり、命令に従わないのか?」
「いえ、違うわ。」
「ヘクターはね、遠慮がないんだよ………」
その態度が信頼されている証だなんて、喜ぶべきなんだろうけど。
「あ、それで?この後は?」
「アリスは目を覚ましたし、」
「任務?」
「あんたはまだダメだ!」
「え」
「アリス、完治してないんだ。もう少し大人しくしていてくれ。」
ダンタムの言う通り、左腕の傷は治っていない。だけど、静かに待っていたくはない。1人だけ待っているなんて嫌だ。
立とうとすると、ダンタムが行手を阻む。
「そこを、」
「アリスは任せろ。」
「任せろ!?ダンタム、」
「ええ、お願いします。」
「アリス、完治したらまた来る。」
「え、無視?聞いてる?」
ケイナンとアソーカが出ていき、私はダンタムと2人きりになる。
ベッドに座る私の前に、彼が屈んで声を掛けてきた。
「アリス」
「………ごめん。」
「違うだろう?皇帝と何を話した?」
「言わなきゃいけない?」
「私が黙っているとでも?」
「だよね。」
長い息を吐いて、話すことを決めた。
「あいつの真意を聞いた。」
「真意?」
「ヴェイダーを手に入れたのに、私に執着した理由。あいつ、シディアスは、私の記憶を欲しがってた。」
「しかし、君にはもう未来の記憶はないはずだ。」
「そう、前に話した通り風化してしまって、殆ど憶えてない。シディアスにとって、私にそれ以外の価値はないと思ってた。」
ところが、それだけじゃなかった。
そう言って、ダンタムに視線を合わせる。
「シディアスは私の感情、概念に価値を見出してた。暗黒面の誘いを拒んだら、これ。」
私は、左の二の腕を指差す。
皇帝の命令で、尋問官が刺したもの。その尋問官はもう死んだけど、怪我は残っている。皇帝の呪いみたいな感覚だった。
「アリス……その概念は、君だけのものだ。皇帝のものでも、誰のものでもない。その概念があるからと言って悩むな。否定する必要もない。」
「けど、」
「君の価値観あってこその、私達の出会いだ。忘れるな。」
「………ありがとう。」
ダンタムが部屋を出ていき、1人になる。今度はドアロックされていないけど、大人しくしようと思う。少しでも、反乱軍の為に行動しよう。
ようやく、私の心に平穏が訪れた気がした。
ただ、状況は変わった。シディアスは私の処遇を、生け捕りから抹殺命令に変えた。もう手加減はされない。帝国に全力で立ち向かわなければならない。
だが、私には信頼できる友人達がいる。
シスには為し得ないもの、私達だけの希望だ。
反乱者たち編、長いだろうか?
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長ぇ。さっさとローグワン編に行け。
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全然!作者のペースで!
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Let's ダークサイド♪