アラートが鳴り響き、私とダンタムはコックピットに駆け込む。
ハイパースペースを抜けて、シャトルは収容所のある惑星の軌道に出た。当然、帝国のスターデストロイヤーが待ち構えていた。そこで、ヘクターの出番だ。
クローン戦争時代、レックスとコーディが作ったコードはまだ使われているらしく、ヘクターがそれを利用する。スターデストロイヤーの将校は疑いもせず、このシャトルを輸送船だと誤認して許可を出す。目視確認しないから、バレたりしない。
シャトルを森に隠して、ハッチを下ろした。
「そのコードさ、」
「はい?」
「よく暗記できるよね。」
「貴女はもう少し、必要なことを覚えてください。」
「ヘクター、苦手通り越して大好きだわ。」
必要なことって何。数字系は嫌いなんだよね。大隊を指揮してた頃は、その辺をヘクターに丸投げしていた。数字は私の敵です。
「アリス、それは聞き捨てならないぞ。」
「変なところで嫉妬しないでよ。」
「お互い様では?」
「ヘクター……」
「ヘクター、キャプテンに降格したいか?」
もちろん、ヘクターとの間にそういう感情はない。断じてない。親戚のおじさん的感覚だ。
「ほら、行くよ。」
「アリス、待て。」
「何?遊んでる場合じゃ、」
「いや、違う。何かがいる。」
「どこ?」
「あそこだ。」
ハッチを降りた後、ダンタムの指す方を見ると、確かに何かがいた。赤い目がこちらを見ていて、ヘクターは一歩退がる。ジェダイとしての勘が背を向けるなと言っていて、2人に動かないように指示する。
段々と目が慣れてきて、こちらを窺うのが大きな猪だと気付いた。猪というには大き過ぎるが、あの姿は猪だ。群れではなく、一匹らしい。
「アリス!危険です!」
「よせ!アリス!」
「大丈夫だよ。」
フォースに集中し、猪に意識を向ける。向こうも私に気付き、鼻を唸らせる。ゆっくり近付き、私の意思を一つ一つ伝えた。
返ってきたのは、意外なものだった。
「乗せていってくれるって。」
「はい?」
「収容所の場所まで、私達を連れていってくれるんだって。群れが近くにいるみたいだから。」
猪って群れで行動するっけ?
その猪に付いていくと、本当に群れがいた。
猪の背に乗り、私達は収容所がある山へと向かう。道のりは、猪のお陰で安全なルートだった。獣がいなければ通れないような道だ。
「アリス」
「はい、何ですか指揮官様?」
「それは嫌味ですか、“将軍”?」
「怒るよ。」
「先に言ったのは貴女です。」
「やめるんだ、2人共。」
ダンタムに止められ、仕方なく黙る。
「収容所の侵入口は2つ。西と東、どちらも警備は厳重です。」
「警備が厳重って、ただのストーム・トルーパーでしょ?」
「ええ。しかし、油断は禁物です。」
「もちろん、そのつもり。」
「ヘクター、どうする気だ?」
収容所が見える崖上から様子を窺って、ダンタムがヘクターに作戦を問う。
あの収容所の造りは、頑丈そうだ。だが、今回の任務は破壊じゃない。反乱分子を救出するのが任務だ。収容所を破壊する必要はない。
「まず、あの見張りを片付けましょう。」
「オーケー、私が行く。」
「アリス!」
ダンタムの声を無視して、崖下のゲートに飛び降りる。
着地した後、トルーパーにブラスターを突き付けられるが、マインド・トリックをかけて誤魔化す。私のことは、司令部の人間として認識された。崖上の2人を呼び、トルーパーにゲートを開けさせる。
先陣を切った私にダンタムは焦っていたが、ヘクターが珍しくフォローをする。
「なんて危険な真似を……!」
「ジェダイの得意技です、心配ありません。」
「んじゃ、行こっか。」
収容所へ堂々と入り、ヘクターがパネルを開いて反乱分子の監房ブロックを探す。
「見つけた?」
「お待ちを………ありました。監房ブロックCの184です。」
「すぐそこか。」
ダンタムの呟きに、考え込む。
本当なら反逆罪を犯した囚人は、脱出を阻止する為にもっと奥へ収容されるはずだ。それなのに、なぜエリアの外れに収容したのか。逃げてもいいと言っているようなものだ。
ごく普通の収容所だけど、何か変だ。
「ヘクター、さっさと脱出しよう。」
「ええ。自分が見張りをします。お2人はラワイズ一派を。」
「ああ。」
「何か感じたらすぐ呼んで。」
ロックを解除し、独房のシャッターを開ける。
開けた瞬間、誰かが飛び出してきて思わず避けた。トルーパーじゃないと気付いたのか、中にいた2人が慌てて出てくる。少年に手を貸すと、彼は私を見て驚いていた。
「貴女はっ……!」
「あれ?私を知ってるの?」
「知ってます。僕の父は、貴女を随分と敵視していましたから。ルード議員、貴方もです。」
「我々を毛嫌いしているものかと……」
「貴方達とは殆ど関わりがありませんでしたので、恨んでいたりしませんよ。」
「そ、そうなんだ……」
父親より丁寧で、冷静な子だ。ラワイズが父親だなんて信じられない。あの人の遺伝子を継いでるなんて、とても思えない。
「あんたら、早く逃げねぇとまずいぞ。」
ラワイズ少年の仲間が急かす。
私のブラスターを彼らに渡し、ヘクターと合流する。監房ブロックから離れ、私達は格納庫に辿り着く。
格納庫は、ヘクターが警報を鳴らし、警備が薄くなっている。残っていても、数人。逃げるなら今の内だ。
「待て!そいつらは、」
「うわぁぁぁっ!」
私達を止めようとしたトルーパー数人をフォースで捕まえて、コンテナに投げ付ける。
そのまま走り続け、侵入したゲートから出ようとすると、見たことがない黒いトルーパーが現れた。
「大人しく降伏しろ。さもなくば、全員撃ち殺す。」
ヘビーブラスターを持つ黒いトルーパーに、私は辺りを見回す。
周りにストーム・トルーパーはおらず、黒いトルーパーは2人だけ。数はこちらが上なのに、このトルーパーの余裕の理由が分からなかった。出て行こうとするラワイズ少年を止めて、小声で話す。
「ヘクター、準備は?」
「何か予期していましたか。お任せを。」
「何の話だ?」
「ダンタム、受け身を取ってね。」
「は?」
私がやろうとしてることを分かっているのは、ヘクターだけだ。
「どうする?降伏するか?」
「誰がするか。行くよヘクター!」
黒いトルーパーをフォース・プッシュして、ヘクター達をフォースで崖上に投げ飛ばす。
その瞬間、黒いトルーパーが10人増えて、ヘビーブラスターを撃ってきた。
奴らが見えなかったのは、クローキング装置が作動していたからだ。フォース感応力があるから、奴らに気付けた。ヘクターが懸念していたのは、こういう事態を予想してのことだ。
ライトセーバーでレーザー弾を偏向させ、利き手ではない方でもツタミニスでレーザー弾の射線を逸らせて、黒いトルーパーを一人一人倒していく。
「ひぃ……!」
最後の一人が尻餅をついて、彼が持つヘビーブラスターをライトセーバーで切り壊す。
黒いトルーパーってエリートっぽいけど、こんな簡単に倒されていいの?
「よし、終わり。」
トルーパーが全員倒れていることを確認して、収容所の屋根に跳び、崖上にフォース・ジャンプする。
ヘクター達以外は、突然のことに受け身を取れず蹲っていた。
「アリス、突然投げるのはやめてくれ……」
「ごめん。」
「ヘクター、いつもこんな感じだったのか?」
「ええ。何せ、アリスはアドリブが多いので。」
「………慣れとは恐ろしいな。」
ラワイズ少年の仲間が、私とヘクターのやりとりを見て呟く。
「帝国軍が追ってくる。早くシャトルへ。」
シャトルへ駆け込み、急いで森から脱出する。
軌道へ出ると、スターデストロイヤーが阻もうとするが、時既に遅し。ハイパージャンプの計算はもう終わっている。完全に道を塞がれる前に、ハイパースペースに入れるだろう。
その時、コックピットの受信機に通信が入る。
『こちらは帝国宇宙軍だ。“反乱軍”の者共に告ぐ。直ちに船を停止させろ。』
通信を返そうとすれば、操縦席のヘクターに止められる。
「奴らの時間稼ぎです。」
「いつでもハイパースペースに入れるでしょう?」
「はい。ですが、通信を繋げる理由はありません。」
「私にはある。」
そう言って、通信を繋ぐ。
「私はアリス・レイン。上層部に伝えて。私の命はあげないって。」
『何だと!?』
「あぁ、私だけじゃなくて、仲間もね。上にたっぷり叱られるといいよ。」
私が頷くと、ヘクターは塞がれる直前にハイパードライブを作動させる。
シャトルは無事に逃げられた。
これで、私も完全に反乱軍の一員だ。帝国もそう認識するだろう。皇帝にも伝わるはずだ。私が反乱軍の為に敵対する、と。
帝国にはっきり言えて、清々しい気分だ。
お待たせしました…!
長くなりましたが、お納めくださいm(_ _)m
反乱者たち編、長いだろうか?
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長ぇ。さっさとローグワン編に行け。
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全然!作者のペースで!
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Let's ダークサイド♪