アトロンから遥か遠く、インナー・リムの何もない場所で、帝国軍に通信を繋げる。
ライトセーバーは置いてきた。つまり、今は丸腰。これで、私の“誠意”は伝わるだろう。
スローン大提督の旗艦、キメラに通信を繋げると、スローン本人がホログラムに現れた。
『アリス・レイン、自ら死を選ぶか。』
「違う。私は交渉を持ちかけてるの。“皇帝”にとって、悪くない話だと思うけど?」
私の取引に、スローンは私を睨む。
『皇帝陛下に、敵と会わせるとでも?』
「勘違いしないで。あんたに選択権はない。これは私と皇帝の問題。あんたは繋ぐだけでいい。」
『黙れ。お前は反逆者だ。既に抹殺指令が降りている。お前は処刑されるだけ。交渉する権利などない。』
スローンの言い分は正当だ。だからと言って、黙っているわけにはいかない。この取引が成立しないと、良くない未来が現実になる。
「丸腰だと言ったら?」
奴の表情が変わった。私の取引が本気だと分かったらしい。再度確認されるが、私は本当に丸腰だと言う。
『よろしい。では、お前がここに来い。話はそれからだ。』
「分かった。座標を送って。」
通信を切り、送られた座標を入力する。
これで、未来は軌道修正された。後は私が降るだけだ。平和な未来を迎えるには、皇帝の私に対する執着を解決しなければならない。
計算が終わり、ハイパードライブのレバーを引く。
ハイパースペースに入り、私は瞑想に入った。
自分の行先を見ようとしたが、闇で何も見えない。これは、私に救いがないということだ。その予定だったけど、いざ直面すると怖ろしい。
『────────』
マスターの遠い声が、また聴こえた。帝国に降る私を、引き止めようとしている。振り払おうと、マスターの声を拒んだ。
自分が起こしたバグは、自分で処理しなければ。
ハイパースペースを抜けると、キメラが待ち構えていた。
「来たよ、スローン。」
通信回路を開き、キメラのブリッジに繋げる。
『お前の心意気を認めよう。こちらでお前の船を捉える。下手な動きはするな。』
「分かってるよ。撃ち落とされたくないから。」
スローンの宣言通り、シャトルはトラクター・ビームで捕らえられ、ハンガーに引き摺り込まれる。威嚇的な意味で、シャトルはターボレーザー砲を向けられている。そんなことしなくても逃げないのに。
着艦してハッチを開けると、黒いトルーパーとストーム・トルーパーが侵入してくる。
ブラスターを突き付けられ、笑顔で手の平を見せた。
「大提督の指示だ。拘束する。」
「はいはい、どーぞ。」
後ろ手に錠をされ、さらにショック・カラーを着けられた。
ここまでされるとは思わず、つい黒いトルーパーを二度見する。
「え、必要?」
「安易に逃げられると思ったか?」
「いや、そうは思ってないけど、ここまでする?」
「信用されたいなら、大人しくしていろ。」
黒いトルーパー、デス・トルーパーに引き摺られ、ハンガーから連れ出される。シャトルは、もちろん差し押さえ。ブリッジ・タワーへ向かう最中、好奇の視線が刺さりまくっていた。
ブリッジに入ると、スローンが振り向く。
「よく抵抗せず、ここまで来た。」
「それはどうも。ていうか、このショック・カラーって必要?」
「“皇帝陛下の御指示”だ。念には念をと、お前の為に用意したのだ。」
「うわー、趣味悪っ。」
「これが何か分かるか?」
スローンの手元には、ショック・カラーの制御スイッチがある。
奴が言いたいのは、逆らえばスイッチを入れるぞ、という脅しだ。ここで反抗する気は毛頭ないけど、言葉に気を付けろという意味合いも含まれている。下手に刺激すれば、苦痛が私を襲うだろう。
「何それ、脅迫?」
「そうとも言えるな。お前は帝国へ降る代わりに、何を望んでいる?」
「言ったでしょう。私の望みを叶えるのは、皇帝。あんたじゃない。」
「私は皇帝陛下の指示でお前を拘束した。同じことだ。」
「同じじゃない。あいつが認めるから、意味がある。」
その瞬間、首元から電気が流されて、呻いて座り込んでしまう。痛みに蹲ったのも束の間、デス・トルーパーが両脇を抱え、立たされる。
「その意味も、ここで死ねば消えるのだ。どちらか選べ。」
やはりスローンは、生半可な対応はしない。私の言動を読んでいる。抵抗でもしたら、殺される。
皇帝が嫌うエイリアン種族なのに、その皇帝に見込まれるだけある。
「その望みを、あんたが叶えられるかは謎だけどね。」
「………言え。」
「私のクローンを破棄して。全て。まだ残っているでしょう?」
何度もフォースで探って、2人残っていることを確認した。そして片方は、味方を殺す程の残忍さを持っている。世に放ってはいけない。
以前私が見たヴィジョンでは、そのクローンが反乱軍を掻き回していた。ここで破棄させないと、未来が大きく変わる。それも、悪い方に。
私が帝国に降って未来が元に戻るなら、苦痛を受け入れよう。
「なるほど。ジェダイ・マスターの称号も、伊達ではないらしい。よろしい、皇帝陛下に会わせてやろう。」
「まさか、あいつがここに……?」
「………」
答えはなかった。
たまたま来ているなんて、そんな都合の良いことがあるはずない。シディアスは、これを予期していたんだ。私が降ると分かって、嬉々として来たんだ。
スローンに連れられ、船の中央に位置する一室に入る。
ターキンの時と同じように、玉座が用意されていて、そこにホログラムではない、シディアス本人が座っていた。奴の周りには、インペリアル・ガードが控えている。
「皇帝陛下、アリス・レインを連れて参りました。」
「ご苦労、大提督。下がって良い。」
スローンは退室し、私だけが取り残された。
「アリス、ようやく従う気になったか。」
「あんたに従うわけじゃない。私はフォースの意志に従っている。」
「フォースの意志だと?その意志から逃げていた其方が、なぜ今になってフォースの意志に従う?」
「フォースのバランスを取り戻す為。」
そう言うと、シディアスの機嫌が悪くなる。
その為の存在だったアナキンを手に入れて、シスの天下になったのに、私という邪魔ができたんだ。奴にとって、相当不快だろう。
「その為に、我が帝国に降ったのか?」
「そういうこと。その代わり、約束は果たしてもらう。私のクローンを破棄して。」
「良いだろう。“処分”しよう。」
シディアスが何か操作すると、私のクローンが死んだのを感じた。奴に、躊躇いはない。正しく、シスの権化だ。
次は、私の番だ。
「さて、私をどうする?」
「どうすれば其方が屈服するか、何度も考えた。人質を取るだけでは、其方は決して折れない。」
「人質なんて、私には無意味だよ。」
「左様。そこで、だ。其方が最も苦痛を感じる方法を、余は気付いたのだ。」
「拷問?無駄だから。それなら、っ!!」
シディアスの指示で、インペリアル・ガードが私を床に押さえ付ける。後ろ手で拘束されている為、抵抗できない。4人掛かりなんて、尚更抗えない。
「っ……!」
「インペリアル・ガードを甘く見るな。彼らは余の護衛に選ばれた者達だ。武器のない其方が、どうこうできる相手ではない。」
「このっ……!」
何かを注射され、身体から力が抜けていく。抵抗したくても、身体が言うことを聞かない。意識が肉体から切り離されるようだった。
僅かに残った聴力と視力が、シディアスの口の動きを読み取る。
奴が言葉にしているものに気付き、背中が凍った。
あの言葉は────────
iPhoneケース、まだ来ない(´・ω・`)
反乱者たち編、長いだろうか?
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長ぇ。さっさとローグワン編に行け。
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全然!作者のペースで!
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Let's ダークサイド♪