水上に出た頃、私は放心状態だった。
ボンゴという乗り物に、乗ったまでは良かった。ジャー・ジャーの言う自殺行為という意味がよく分かった。あの道は、素人が通っちゃいけないやつだ。
その辺は、ジェダイであれば何ら問題はない。
私が放心する理由は、別のものだ。
「訓練を忘れたのか?」
「だって、気持ち悪い!気持ち悪かったんですよ!」
ボンゴを食べようとする魚を、更に大きな魚がその魚を捕食していた。その見た目ときたら、気持ち悪いの一言しか出なかった。
あれが食物連鎖なのは分かってるけど、元の世界の感性は抜けきれず、気持ち悪いという感想が出てしまった。
今思い出しても、あの気持ち悪さにげっそりする。
「急ぎましょう、マスター。」
「ああ。アリス、陽動を頼む。」
「はい。」
首都シードに入り、フォースで様子を窺う。タイミングが良いのか悪いのか、アミダラ女王が侍女達と一緒に連行されていた。渡り通路にいるクワイ=ガンに合図して、私はバトル・ドロイドの前に躍り出た。
一斉にブラスターを向けられ、笑顔でドロイドに話しかける。
「囚人はもらうよ。」
「何者ダ!?」
「知る必要はない。」
クワイ=ガンとオビ=ワンが飛び降りて、辺りのドロイドを蹴散らした。ドロイドを始末する二人とは別に、私はアミダラ女王に飛んでくるレーザー弾を、ライトセーバーで弾き返す。
後から降りてきたR7に、訝しげな視線を向ける。
「R7、仕事してねー」
生意気なドロイドは、余裕だと言い張る。
バトル・ドロイドの始末が終わり、私達ジェダイはアミダラ女王にお辞儀する。
「我々が特使です。」
「交渉は失敗したのか?」
「交渉はなかった。共和国に連絡しなければ。」
通信は妨害され、通信塔も破壊されたという。
「船は?」
「メイン・ハンガーにあります!」
アミダラ女王を連れ、王宮のメイン・ハンガーを覗く。当たり前だが、メイン・ハンガーにもバトル・ドロイドがいた。奴らを潰して、船に駆け込むしかない。
「ドロイドがいる。」
「ご心配なく。女王陛下は我々と共にコルサントへ。」
「折角ですが、私は民と共に残ります。」
側近が説得をするが、アミダラ女王は聞く耳を持たない。
「署名をさせられます!」
「死んでも署名しません。」
クワイ=ガンの説得に、アミダラ女王は再度断る。侍女も、アミダラ女王の意見に同意する。
今度は元老院に助力を乞うように言う側近に、同意してくれた。
「では、行きましょう。」
メイン・ハンガーに入ると、バトル・ドロイドが私達を包囲する。クワイ=ガンがコマンダー・ドロイドに特使だと告げるが、命令を受けていないそのドロイドは私達を逮捕しようとする。
「走って!」
オビ=ワンの怒声に、ナブーの人達は宇宙船に駆け込む。
全員乗ったことを確認して、最後に私が乗り込んだ。メイン・ハンガーから発つと、封鎖艦隊から攻撃を受ける。この船には、武器がないから反撃はできない。
「シールド消失!」
コックピットに行くと、シールドがなくて苦戦していた。
女王の側近が、船のドロイド達に指示を出し、すぐに修理に向かわせる。R7も行こうとするが、船に接続させて引き止めた。このドロイドには別の仕事がある。
「R7、あんたは船のナビシステムの補助!」
シールドが戻り、船は全速力で封鎖を突破した。
封鎖を抜けられたけど、ハイパースペースには入れない。
「ハイパードライブが破損して、光速に入れない。どこかで修理する必要がある。」
「いい星がある。惑星タトゥィーン。」
映画やドラマで観てきて、一番好きだけど、一番行きたくない惑星No.1がタトゥィーンだ。
タトゥィーンには、危ない奴らしかいないんだから。
「アリス、嫌そうな顔だな。」
「えー?」
オビ=ワンにそう言われ、愛想笑いを見せる。
「あはは、そんなことあるわけ………あります。タトゥィーンって、良い話聞かないでしょ。今の状況には良いかもしれないけど。」
「どの道反対だ!女王陛下をそんな星に連れてくなんて!」
「パナカ隊長、タトゥィーンには通商連合の手は及びません。采配は陛下に委ねましょう。」
クワイ=ガンとオビ=ワンがアミダラ女王に話しに行き、私はR7がいる貨物室へと足を運ぶ。
R7にボディを磨くと約束したから、タトゥィーンに着くまでの間、アストロメク・ドロイドに奉仕することにした。R7を綺麗にすれば、証拠隠滅もできる。自爆工作がマスターにバレたら、間違いなく説教される。
「ここで何をしてるの?」
R7をその辺に引っ張ってきたら、侍女さんに声をかけられた。侍女さんはR2-D2を連れている。
彼女は、影武者と入れ替わった後のアミダラ女王だ。パドメさん、本当に綺麗な人だな。まさかお話しできるとは思わなかった。
「ドロイドをこき使ったので、お詫びに磨くと約束したんです。」
「変ね。何か隠そうとしてるみたいだわ。」
「おかしいですか?」
「いいえ。でも、仲が良いのね。」
頷くと、R7も同意してくれた。
喧嘩するけど、本気の喧嘩ではないし、軽い憎まれ口も叩く。任務も共にしたこともある。R7は私を信用してくれるし、私も信頼している。
約束させられたのも、その過程があったからだ。
「名前を聞いてもいいかしら?私はパドメよ。」
「アリス・レインです。侍女は名前を明かしてもよろしいんですか?」
「平気よ。」
名を明かせるのは、みんな入れ替わりを知らないからだ。
R7のボディ磨きが終わり、私は立ち上がる。
「では、私はこれで。」
R7を連れてコックピットへ行くと、タトゥィーンに着いていた。意気揚々と降りようとすれば、クワイ=ガンに止められる。それに加え、船から出るなとまで言われた。
「出るなって、私だけ任務外ですよ!」
「だからこそ、だ。」
クワイ=ガンは何度も念押しをして、ジャー・ジャーとR2-D2を連れて船を降りていく。
なんでパドメが良くて、私がダメなんだよ!
大人しくしていると思ったら、大間違いだ。