ヤヴィン4に帰還すると、ゲイレンの娘、ジン・アーソはもう出発の準備をしていた。戻って早々、私は兵員キャリアーに乗らずに、ジンを呼び止める。その呼び止めに、ジンは振り返って私を見る。
「初めまして、ジン・アーソ。私はアリス。」
「ええ、よろしく。反乱軍の人達に聞いたわ。貴女、ジェダイなんだって?」
「そうだよ。帝国に追われる身だけど。」
「ジェダイは伝説の存在だと思ってたわ。」
近頃、ジェダイは狩られすぎて伝説にされている。ライトセーバーとフォースを使い、平和の為に存在する、と。私からすれば、それは模範的なジェダイ。私はその伝説のようなジェダイじゃない。
「んー、私はその伝説とかけ離れてるんだけどねー。それで、ジェダに行って盲目の男性に会ったら、“アリス・レインがよろしく言ってた”って伝えて。」
「盲目?」
「行けば分かる。ジン、フォースと共にあらんことを。」
ジンと話している間、キャシアンがドレイヴン将軍と話しているのを見た。彼は、ドレイヴンに何かを指示されていた。キャシアンが横を通る時に目を逸らされて、何を言われたか分かってしまった。
キャシアン達がジェダへ向かった後、私はドレイヴン将軍を呼び止める。
「ドレイヴン将軍」
ドレイヴンはすぐに止まり、私は彼の前に立つ。
「何用でしょうか、レイン将軍。」
「さっき、キャプテン・アンドーに何を言ったの?」
「それは命令ですか?」
「私は命令しない。ただ、不穏なものを感じただけ。彼に何を言ったの?」
ドレイヴンは溜め息を吐き、呆れたように口を開く。
「ゲイレン・アーソを殺せと言いました。」
「殺す?評議会は連れてこいと言ったはず。この件であんたに命令権はない。評議会の指示を無視する気?」
「貴女は軍事部門の将軍だ。情報部に口を出さないでいただきたい。」
「………後悔するよ。」
それだけ言って、ドレイヴンから離れる。
ゲイレンを連れてくるのは、反乱軍トップの指示だった。それに、ゲイレンを殺したらまた未来が変わってしまう。未来を予期できなくても、彼を殺してはいけないと分かるはずなのに。
私がジェダイとしてできることは、とても少ない。
ジン達に付いていくこともできない。
「レイン将軍、次の任務です。」
「了解。」
評議会から送られてきた、新しい任務を見る。
次の任務は、武器の調達。反乱活動に、武器は欠かせない。それに、入手ルートは限られる。表立って買えないから、シンジケートや海賊、密輸業者などとやりとりするしかない。
そこで、ジェダイの交渉力が必要とされる。
R7-D4を伴ってシャトルに乗り、どこぞで入手したある人の通信回路を開く。その人物はすぐに応答し、ホログラムに現れる。ロザルを解放する為に手を貸してくれたと聞いたけど、今回も手を貸してくれるだろうか。
『これはこれは!嬉しいねぇ。ジェダイから連絡とはな。』
ヤヴィン4を離れ、シャトルを一旦軌道外で停止させて、通信回路を安定させる。
「ホンドー・オナカー、私を憶えてる?」
『もちろん憶えてるとも。クローン戦争中、あんたとケノービには“良い思い出”をもらったからなぁ。』
「意味深なこと言わないでくれる?」
惑星フローラムでアソーカやイニシエイトを助けてくれた際、ホンドーがオビ=ワンにゴネまくってたからちょっとシメただけだ。あれはホンドーが悪い。お礼として色は付けてあげたけど。
『聞いてはいたが、お前さん本当に若いままなんだな。どう見ても40超えに見えねぇぞ。』
「やめて、自覚したくない。」
若いままと言われるのは、まぁ良い。だけど、40超えと言われると遠い目をしたくなる。全部シディアスのせいだ。いい加減、この呪いを解きたい。
「本題だけど、ブラスターが欲しいの。反乱軍用に。協力してくれる?」
『あー、残念だが……俺は今密輸がメインでね、武器の調達は難しい。密輸なら持ってこいだが。』
本人がそう言うんじゃ仕方ない。他を当たるしかなさそうだ。他に誰がいたっけ。
「分かった、ありがとう。」
『ちょい待ちな!』
通信を切ろうとすると、ホンドーに呼び止められる。
「何?」
『俺は協力できねぇが、武器調達に強い知り合いがいる。そいつを紹介しよう。』
「信頼できる?」
『当然だ。ロザルでの戦いには、そいつもいたからな。シンジケートのボスだが、悪い奴じゃあない。』
「シンジケートを率いてる時点で悪い奴だと思うけど。」
シンジケートのボスということは、犯罪王だ。なんでそんな人と知り合いなんだホンドー。ロザルでの戦いにその人がいたって言うけど、全く心当たりがない。
『奴の通信周波数を教える。俺の紹介だと言ってくれ。』
「ホンドー、あんた本当にがめついね。」
『紹介料は必要だろ!』
「はいはい、分かったよ。ありがとう。」
通信を切り、教えられた周波数でその人に連絡を取ってみる。当然だけど、応答するまでに時間がかかった。見知らぬ人からの連絡なんて、即応答する人はいないだろう。
ホログラムに現れたのは、デヴァロニアンの男だった。
あれー、この人どこかで見たぞ。
『誰だお前!?』
「初めまして。私はアリス・レイン。この周波数はホンドーに教えてもらったの。」
『あの野郎……!』
違和感がある。さては、ホンドーと仲良くないな。一方通行の友情か。
「唐突で申し訳ないんだけど、武器を調達してほしい。」
『商談か、なるほど。俺はシカトロ・ヴィザーゴ。お望みはブラスターだな。』
「そう。反乱軍用に欲しいの。」
『反乱軍だと?お前何者だ?』
「私?私はただの将軍。それで、武器を売ってもらえる?」
そう聞くと、ヴィザーゴは悩み出す。状況が状況なこともあり、すぐには頷けないだろう。帝国の交易監視も厳しい。
『一つ聞くが、金はちゃんと払えるのか?』
「お代は心配しないで。ホンドー用に紹介料も上乗せするから。」
『あいつのことをよく分かっているな。』
「あぁ、ホンドーとはクローン戦争中に会ってるから。」
『クローン戦争?何寝ぼけたこと言ってんだ?お前は20かそこらの小娘だろ。』
「あー、それは深い事情があって、現在47歳です。先に言っておく、突っ込まないで。」
詳しい話はホンドーに聞くように言って、取引の可否を尋ねる。
答えはYESだった。受取場所を確認し、帝国の監視が弱いルートを教えられる。R7に座標を入れさせ、シャトルはハイパースペースへ入った。
その時、フォースの乱れを感じた後、多くの悲鳴が頭に響く。
オーダー66のような、ジェダイが粛清された時のようだった。ただ、今のフォースの乱れは人のものだけじゃない。街ごと破壊されたものだ。
頭が痛い。
「大丈夫。ありがとう、R7。」
心配するR7を抱き締めて、相棒から表情を認識されないように隠す。
帝国は、非道だ。従わなければこうなる。そう銀河に向けて言っているようだ。もう独裁を通り越している。
シディアスの笑う声が聴こえた気がした。