戦闘が始まり、私とダンタムはラダス提督の指示で砲台に着く。
数え切れないTIEファイターを相手に、私達は砲を撃ち続けた。度々プロファンディティが揺れるが、気にしている暇はない。ローグ・ワンが設計図を持って戻るまで、帝国の攻撃に耐えなければならない。
なかなか減らない的に苛ついて、溜め息を吐く。
私がしたことに、ダンタムは焦って声を張り上げる。
「アリス!どうして照準器を切るんだ!?」
「だって邪魔だもん!この方が当たるんだよ!」
私が言った通り、撃ち落とす数は照準器なしの方が多い。フォース感応者に照準器は邪魔でしかない。私のデルタ7B、壊すんじゃなかった。
「ダンタム!!」
嫌な予感がして、ダンタムの名前を叫ぶ。私の声に何かを感じたらしく、彼は慌てて砲台から降りる。数秒後には、TIEファイターの攻撃で砲台はやられていた。ここの砲台は、もう使えない。
「アリス、まずいぞ。」
「え?」
「見ろ。」
ダンタムが指差す方を窓から見ると、軌道上のシールドゲートが閉じられていくのが見えた。
これでは、空中支援は難しい。
「ジン達が閉じ込められた……」
「シールドがあっては、何もできない。だが、まだ撤退もできない。」
今撤退したら、設計図は手に入らない。
私が何かしようにも、もう未来の知識はない。憶えているのは、希望のことだけ。細かい知識は、何も思い出せない。
私にできることは限られる。
『レイン将軍、聞こえるか?』
「ラダス提督、どうぞ。」
通信に応答して、シールドが閉じられたことを伝えると、提督は既に知っていた。
『ハンマーヘッド・コルベットを呼んだ。これからシールドを抉じ開ける。』
「ジン達は?」
『彼らは脱出は困難だと分かっている。しかし、設計図を送信する為に尽力している。』
「そんな………」
絶句する。
もし帝国軍が設計図の奪還を諦めたら、その究極兵器が使われる可能性がある。ジェダのように。今度は街だけじゃ済まない。
「提督、私が地上に、」
『許可できない。設計図の受信を見届けるのだ。この戦いで貴女がすべきことは、設計図を確実に手に入れることだ。』
「そうだ、アリス。これが君の務めだ。ラダス提督、設計図を受信したらすぐに撤退だ。」
通信を切った後、私はダンタムに詰め寄る。
助けられるのに、行ってはならない。自分でも分かっているが、心は納得していない。我儘な自分に嫌気が差す。
「ジェダイなんて、ただの物語でしょ!」
「いいや、君はジェダイだ。アリス、君は何をするべきか分かるだろう。」
「………分かってる。」
今度は、プロファンディティが大きく揺れる。
2人で動力室へ向かいながら外を見ると、ハンマーヘッド・コルベットがスターデストロイヤーを押していて、押された艦船はもう1隻のスターデストロイヤーにぶつかる。
2隻のスターデストロイヤーは、シールドゲートに墜ちていく。
「ダンタム!シールドが…」
「シールドが消えた。設計図が送られてくる。」
動力室へ着き、パネルを操作してオーバーヒートしないように必死に調整する。隊員もやってくれているが、調整は難しかった。リアクターは悲鳴をあげている。
「ラダス提督!船はもう保たない!すぐ撤退しないと、帰れなくなる!」
『まだだ!データが完全じゃない!』
炉から火花が飛び始め、もう無理だと言う。
「提督!まだか!?」
「撤退命令を出して!」
動力室から出てまた窓を覗くと、デス・スターのクレーターが光り始める。あれが、究極兵器の正体だ。次の瞬間、レーザーがスカリフの地表に撃たれた。
私は無言で壁を殴る。
「アリス!行くぞ!」
ダンタムに手を引かれ、小型シャトルがあるハンガーに走る。
『全艦、ハイパースペースへ!』
ラダス提督の声が、反乱艦隊の通信にアナウンスされる。
設計図が届いたんだ。
「っ!」
寒気を感じて、シャトルの手前で立ち止まる。ヴェイダーが来た。設計図を取り戻しに、奴が直々に来たんだ。
その寒気を感じた直後、援軍のスターデストロイヤーに旗艦が攻撃される。
プロファンディティは、瞬く間に無力化された。
「ダンタム、先に行って。」
「何だと!?君を置いていくはすがないだろう!」
「設計図は姫が受け取るはず。あの子を守らないと、設計図も奪われる。」
「………必ず戻ってくれ。」
「約束する。」
キスを交わし、ダンタムはシャトルへ、私はタナヴィーⅣへ向かう。ヴェイダーは必ずタナヴィーⅣを追う。タナヴィーを逃さなければ、せっかく手に入れた設計図は奪い返されてしまう。
姫も守って、設計図も守る。
「レイア姫!応答して!」
通信機で呼びかけると、姫はすぐに応答した。
『聞こえています、レイン将軍。』
「脱出の用意を!」
『既にできてます。貴女も早くこちらへ。』
「すぐ向かう!」
接続部に辿り着き、隊員をタナヴィーに乗り込ませる。
「行って!」
「将軍!!!」
隊員の声に振り向くと、ヴェイダーが立っていた。奴の激しい怒りに、私は思わず息を飲んだ。ヴェイダーは赤いライトセーバーを取り出し、タナヴィーへ駆け込もうとする隊員をフォースで捕まえる。
「させるか!!!」
左手を突き出し、ヴェイダーのフォースに対抗する。隊員が解放され、私は右手でヒルトを掴んでヴェイダーに切りかかる。難なく受け止められ、力の押し合いになった。
「設計図はどこにある?」
「そんなものはない。」
フォースを使って押し返し、互いに構えたまま睨み合う。
「レイン将軍!早くこちらへ!」
アンティリーズ船長が声を張り上げ、ヴェイダーは次に私を見る。
「将軍だと……?」
「事実でしょう?昔は将軍だった、し!!」
ヴェイダーを目一杯押し飛ばし、タナヴィーに駆け込む。シャッターが閉まり、船長はドアのパネルを壊す。私は磁気ロックのレバーを下げ、タナヴィーはプロファンディティを離れる。背中には、嫌な汗が流れていた。
壁を背にズルズルと座り込み、長い息を吐く。
「大丈夫ですか?」
「私は平気。設計図を姫に。後でブリッジに行くから。」
「了解しました。」
船長がブリッジへ向かい、私は手の平を見つめる。
いつもなら、ヴェイダーと対面しても余裕はあるはずだった。だけど、フォースの幻影を飛ばしていたせいで余裕がなかった。今回は、己を甘く見たのが悪かった。
無事に逃げられたのに、ダンタムに会いたいと思ってしまった。
弱った姿を見せられるのは、彼だけだ。
ローグ・ワン編、短いけど次が最後ですwww