その頃、タトゥイーンにいるオビ=ワンはメッセージを見てあることに気付く。
「おチビさん、彼女といるのは誰だ?」
R2-D2とC-3POはルーク・スカイウォーカーを経て、無事にオビ=ワンに辿り着いていた。そして今、彼の隠れ家でR2はホログラムのメッセージを再生し、反乱軍の危機を伝えていた。そこで、メッセージの最後に誰かの左腕が映り込み、オビ=ワンはR2にその人物を尋ねたのだった。
彼は見覚えのあるものを見て、顎に手をやって考え込む。
「反乱同盟軍の将軍、アリス・レインだと言っています。彼女は一体何者なのでしょう?」
C-3POは、R2-D2のバイナリーを翻訳する。
「アリスもジェダイだよ。」
「なぜ分かったんです?」
「映り込んだ左腕に、アームカフがあった。あれは、アリスだ。」
アリスの姿を確認したのと同時に、オビ=ワンは彼女の恐怖を読み取っていた。実際に、彼女は今スターデストロイヤーで恐怖を感じている。アリスが怖れていることを気付き、オビ=ワンはオルデランへ行くことを告げる。
「貴方と親しかったんですか?」
「ああ、そうだ。それに、彼女は君のお父さんと親友だった。」
「父さんと?」
「何かおかしいかね?」
「いえ、ホログラムで見た感じだと、アリス・レインという人は随分若そうだと思って。どういうことです?」
「本人に聞くといい。君のお父さんのことを、私以上に知っているぞ。」
アリスは、オビ=ワンの知らないことを知っている。正に、言葉通りだった。それ故、オビ=ワンはルークにそう言ったのだった。
「彼女はどんな人なんですか?」
「アリスはトゥーカのように気まぐれで、仲間の手を焼かせるジェダイだった。だが、親友の為に勇気ある行動ができる、良きジェダイだ。当時のことが、昨日のことのように思い出されるよ。」
彼はジェダイが滅ぶ前のことを思い出しながら、アリスのことを話す。
「アリスもヴェイダーと戦った。お前の父を守ろうとしたが、彼女の願いは叶わなかった……」
オビ=ワンの言うことに、間違いはなかった。アリスの手は届かず、アナキンは戻ることはなかった。彼女の親友は、暗黒面に呑まれたのだ。
「おチビさん、アリスは未だに変わらんかね?」
「R2曰く、とても独断行動が多い方のようです。」
「そうか、相変わらずか。」
C-3POの翻訳に、オビ=ワンは納得する。
彼はアリスを心配していたが、杞憂だったと微笑む。
「ルーク、もしアリスに会っても、年齢のことを指摘してはいかんぞ。」
「年齢?どうして?」
「女性に歳を尋ねるのは、良くないことだ。」
本当はそうではないが、オビ=ワンにはアリスが発狂する姿が想像できた。様々な矛盾を抱えて、本人もどうしようもないが、はっきりと拒絶する人だ。年齢のことを言われて憤るのは、誰が見ても明らかだった。
その後、ルークはオルデランへの旅に誘われたが、拒んだ。しかし、帰宅して待ち受けていたのは叔父と叔母の遺体で、それをきっかけに故郷を離れる決意をする。
ルークはオビ=ワンに従い、ドロイド達を連れて、オルデランへ向かうことになった。
オビ=ワンはその傍ら、アリスの現状を探る。
穏やかではないアリスの心境に、彼は信じるしかなかった。
────────
オビ=ワンの視線を感じた。
ドロイド達が、オビ=ワンに辿り着いたらしい。フォースの流れが変わった。それに気付いたのは、私だけじゃない。
ヴェイダーが、独房へ入ってくる。
「何かが変わった。あんたも私も、手を出せないところでね。」
「そのようだ。何をした?」
「私の仕業じゃない。フォースの導きだと、あんたも分かってるでしょう?」
ドロイド達がオビ=ワンに辿り着いたのは、フォースが導いたからだ。私は何もしていない。誰にも邪魔はできない。
「何もしていないのなら、このフォースはなんだ?」
「んー、私に聞く前に自分で考えた方がいいと思うよ。」
「何だと……?」
「暗黒面のフォースと繋がるあんたじゃ、永遠に分からないだろうけど。」
言った直後、拘束具が外れて、私はヴェイダーに引き寄せられる。フォースで身体を捕まえて、奴の目の前に浮く。ヴェイダーの怒りが強くなって、背中に悪寒が走った。
「何かを思い出したようだな。」
「あぁ、それはあんたに感謝しないとね。」
「どういう意味だ?」
「私が一瞬でも恐怖を感じたから、未来の情報を少しだけ思い出せた。」
些細な変化だった。
ターキンの前に立たされた後、徐々に未来のことを思い出し始めた。ハン・ソロという密輸業者にチューバッカのことを思い出し、オビ=ワンがデス・スターで死ぬことも思い出した。
オビ=ワンがヴェイダーに殺されることも、不本意ながら記憶を取り戻した。
だが、それをヴェイダーに教えてやる優しさは私にはない。
「皇帝陛下が知ればお喜びになるだろう。レイン、マスターはまだお前に関心を持っている。」
「………冗談でしょう?」
一度薄れた執着が、濃くなってしまった。
「処刑は取り消されるが、尋問は無くならないぞ。」
「分かってるよ。でもいっそのこと、処刑してくれた方が都合が良いんだけど。」
「許されると思っているのか?お前に自由はない。死ぬ自由もな。」
「………勝手にして。」
「望み通り、好きにさせてもらおう。」
ヴェイダーがそう言うと、独房にターキンが入ってくる。
ターキンの後ろには、尋問ドロイドがいる。ジェダイの私に、マインド・プローブは効かない。自白させようとしても、無意味だ。
「ジェダイにマインド・プローブは無意味って、知ってるよね?」
「ああ、知っているとも。故に使うのは自白剤ではない。痛覚過敏剤だ。」
一気に血の気が引いた。
そんな薬を使えば、痛覚が働かない場所にまで痛みを感じることになる。ジェダイが痛みをコントロールできても、これでは何もできない。下手したら、死ぬより苦しいかもしれない。
尋問ドロイドが近付き、私は身を強張らせるしかなかった。