オビ=ワンに気付かれないように、静かに船を降りる。
R7に一つ貸しを作り、時間稼ぎをしてもらった。このタトゥィーンに、伝を作りたいんだ。大人しくするわけがない。
向かった先は、デューン・シー。
デューン・シーには、ジャバの宮殿がある。
「あっつ………」
二つの太陽が燦々と輝き、テンションも下がり始めている。
ようやくジャバの宮殿が見え、いろいろ考えを巡らせた。
ジャバに伝を作れば、何かあった時にいい隠れ蓑になる。犯罪王に楯突く輩は、シスの連中くらいだ。その辺のゴロツキには絡まれずに済む。
門をノックすれば、ジャバの手下達が門から出てきた。
「なんだ貴様は!?」
「ジャバに会いたい。」
「用件を言え!」
「お前じゃ話にならない。ジャバと直接話す。」
手下の一人が戻っていき、少しの間待たされる。
考えはまとまった。あとは、ジャバに掛け合うだけ。問題は、生死が問われるということだ。
戻ってきた手下に連れられ、暗い通路を歩く。
「ようこそ、客人の方。」
通訳ドロイドが、ジャバの言葉を翻訳する。
「用件は何でしょうか、ジェダイの方。」
「あ、ジェダイって気付いてるんだ。ジャバ・ザ・ハット、私と賭けをしない?」
「何ですって!?」
ジャバは当然、怒りの表情を見せる。
「偉大なるジャバ様は、目的を聞いておられます!」
「簡単なことだよ。私が賭けに勝ったら、対等な友人として仲良くしてほしい。それだけ。」
私の言葉を聞き、ジャバは盛大に笑う。
「ジャバ様は乗ると仰ってます。賭けは何にするんでしょうか?」
「次のポッドレースで、ある少年が出場する。私はその子の優勝を賭ける。あんたは私の賭けが外れれば勝ち。」
ジャバが何かを言うが、私には分からなかった。でも相手の感情は分かるから、予想はつく。あのジャバが、何の代償もなく乗るわけない。
「偉大なるジャバ様は、貴女が負けた場合はその命を差し出せ、と。」
「分かった。交渉成立ということだね。」
「ポッドレースまで、貴女は客人です。どうぞ寛いでいってください。」
手下についていこうとすると、ジャバが私を呼び止める。
「《ジェダイ》」
「あ、私見習いだから、まだジェダイじゃないよ。」
「ジャバ様は、どうでもいいそうです。偉大なるジャバ・ザ・ハット様は、やめるなら今の内だと仰ってます。」
「それ、私の台詞だから。」
ジャバにお辞儀して、謁見の間を後にする。
用意された部屋に入り、ソファに身を沈めた。盛大に寛ぐ私に、ジャバの手下はドン引きしているが、知ったことではない。
仮にもジェダイが、ギャングに怯えるわけないだろ。
「お?」
コムリンクが何か点滅している。点滅しているということは、オビ=ワンが私の不在に気付いたらしい。
仕方ない、出てあげよう。
「もしもーし、こちらアリスでーす。」
『何をしているんだ!』
通信を繋ぐと、オビ=ワンの怒声が響く。
「何って、ジェダイとしての務め?」
『どこが務めだ!勝手に出歩いて!』
「そこは謝るよ。でも陛下の安全を図るのは、私達ジェダイの義務でしょ?」
目的は違うが、行動としては間違っていない。
ジャバに伝を作れば、アミダラ女王への危険は回避されるだろう。最も、ジャバは女王なんて興味ないと思うけど。
『明日には船に戻れ。いいな?』
「あと、もう一つお願いなんだけど、マスター・クワイ=ガンには………」
『はぁ……マスターが戻る前に帰ってくるんだぞ。』
「ありがとう、オビ=ワン。」
通信を切り、コムリンクを懐に仕舞う。
あとは、ポッドレースが終わるのを待つだけだ。
一晩経ち、私はジャバに呼ばれて謁見の間に立つ。態度が変わらない私に眉が上げられるが、それを笑顔で一蹴してやった。
通訳ドロイドが、ジャバの言葉を翻訳する。
「偉大なるジャバ様は、誰に賭けるのか言え、と。」
「ワトーの奴隷が出場するはずだから、その奴隷に賭ける。」
そう言えば、ジャバとその手下達は大笑いする。
「ワトーの奴隷と言やぁ、女とガキしかいねぇじゃねーか!」
「勝てるわけがねぇ!」
手下に同意するように、ジャバも何かを言う。
「ジャバ様は、ワトーの奴隷は勝てないと仰ってます。」
「出るのは子供の方だよ。負けるはずがない。」
「奇跡でも起こらない限り、無理かと思われます。」
通訳ドロイドでさえ、ポッドレースを悲観する。
奇跡なんて必要ない。奴隷の子供、アナキンが勝つことは決まっている。フォースの導きがあるから、負けはあり得ない。
全ては、これから始まるポッドレースで決まる。