どれくらい時間が経ったのか分からない。
薬が薄れてきた時、ヴェイダーが独房に訪れた。トルーパーに尋問台から降ろされ、後ろ手に拘束されてから独房を連れ出される。宇宙空間を見渡せる部屋に入ると、ターキンと、何人かの将校が待っていた。
「どういうこと……?」
「アリス!」
レイアも連れて来られて、私達はターキンの前に立たされた。
私を痛々しげに見る彼女から、視線を逸らす。
私は両脇をトルーパーに抱えられ、無理矢理立たされていた。それに加えて、抵抗しないように押さえられている。今はそんな体力すらないけど。
「頑な態度を変える気がないようだな。特に、レイア姫。レイン、お前もだ。」
「無駄です!私達は何も話しません。」
「レイン、同じ意見か?」
拒むレイアに、私も同意だと告げる。
「しかし、姫の精神力には驚いた。」
「え……?」
「姫は精神探査に耐え、口を割らなかった。代わりに、お前の拷問が長引いたが。」
私も姫の精神力に驚く。
訓練を受けていないのに、マインド・プローブに耐えたなんて………
「姫の処刑許可証にサインするのは悩んだが、口を割らないのなら仕方あるまい。」
「待って。処刑するなら私が先でしょう。」
「それは違うぞ、レイン。貴様は皇帝陛下の下へ送られる。終始監視されて生涯を終えるのだ。お前に死を選ぶ権利はない。」
「コルサントに……!?」
レイアが悲鳴に似た声をあげる。一番嫌なのは私だ。あいつの監視下で生きるなんて、絶対にお断りだ。
「そんなの拒否するに決まってるでしょう。」
「お前は相変わらずだ。ところで、生まれの星はどこだったかな、レイン?」
「記録上はオルデランになる。それが?」
「お前と姫をここに呼んだのは、デス・スターの完成セレモニーを見せる為だ。共和国時代は、レイン“将軍”はオルデラン星系が持ち場だったな。」
「急に何の……」
窓から見えた星を見て抵抗するが、トルーパーに押さえられ膝をつかされる。
「姫とお前の故郷が同じとは、好都合だ。」
「………黙れ。」
「黙るのはお前だ、レイン。スーパーレーザーの実験台を、自分達で選んだのだからな。」
「オルデランは武器を持たない平和な星よ!それを、」
「どちらかが反乱軍基地の場所を教えなければ、オルデランは宇宙の塵となるだろう。基地はどこにある?」
ターキンはレイアに迫り、問い詰める。レイアの背後にはヴェイダーがいて、下がれない。二度目は聞かないと言うターキンに、レイアは私を見る。
仮に言ったとしても、ターキンが攻撃をやめる保障はない。
無言で首を振ると、彼女は口を開く。
「………ダントゥイン。」
「見たか!姫は実に物分かりが良い!レイン、お前とは大違いだ。」
俯くレイアに、ターキンは追い打ちをかける。
「破壊しろ。」
「なんですって!?」
「試し打ちにダントゥインは遠すぎる。だが、心配するな。ダントゥインもすぐ破壊する。」
「やめて!!」
「この……人でなしめ!」
今にも殴りかかろうとする私をトルーパーが押さえ込み、ターキンに顔を叩かれた。睨み上げると、ヴェイダーはトルーパーに私を立たせるように命令する。そして引き摺られ、窓の前に立たされた。
「その目に焼き付けろ。」
スーパーレーザーが放たれ、オルデランは木っ端微塵になった。私は座り込み、レイアはショックを受けて固まる。ここで原作のことを思い出してしまい、唇を噛む。
そうだ、オルデランは破壊されて………
数え切れない程の悲鳴が聴こえて、頭が痛い。
「陛下に従う気になったか、レイン?」
ヴェイダーの言葉に、嘲笑する。誰があんな奴に従うか。命の尊さが分からない奴に、従うわけがない。
「お断り。」
「懲りない女め。どうしたらお前は屈するのだ?」
「ターキン、私が簡単に壊れると思ってるの?」
「そうか。だが、もうすぐ反乱軍は滅びる。陛下に従うしかなくなるだろう。連れていけ!」
トルーパーに引き摺られて、私は拷問専用の部屋に移された。
私の心はまだ折れていない。拷問は再開されるだろう。いつまで耐えられるか、自信がない。
ヴェイダーが期待する、泣き叫ぶ姿の実現は近い。
────────
アリスとレイアが独房に戻された後、ターキンはダントゥインにすぐ軍を派遣した。
しかし、ダントゥインは既に無人。レイアは、放棄された基地の場所を言ったのだった。アリスが知らないはずがなく、2人に騙されたと気付いたターキンはヴェイダーを呼び出す。
「ダントゥインは既に放棄されている。」
「レインが知らぬはずはない。あの女は将軍だ。まんまと騙されたな。」
「そうだ。」
ターキンは頷き、レイアを処刑しろと命令を下す。
「レインはどうされるおつもりで?」
「君に任せる、ヴェイダー。煮るなり焼くなり好きにしろ。生きていれば、陛下は何も言うまい。」
「承知した。」
ヴェイダーが出て行き、ターキンは部下に監房エリアの警備を強化するように指示する。アリスが脱走した場合に備えた。
ターキンの知るアリスのままなら、このまま拘束されているような者ではないと思っている。共和国時代も、アリスは敵艦から逃走するのが常だった。今回もそうなると、ターキンは読んでいる。
そんなターキンに、部下はあり得ないと言う。
「お言葉ですが、拘束に加え拷問まで受けているのに、逃げ出せるはずがありません。それに、ここは完全な要塞ですよ。脱走は不可能です。」
「お前はあの女を甘く見ている。レインは我々や、反乱軍も知らない情報を持っている。油断は命取りだ。」
深刻そうに言われて、部下は指示を受け入れた。
部下が去った後、ターキンは監視モニターで拷問部屋を見る。ヴェイダーに拷問されているアリスは、まだ正気だった。何がアリスを支えているか、ターキンは理解できなかった。
数時間後、ターキンの懸念は本物になるのだった。