奇声を上げながら、ダストシュートに落ちていく。
いや、だって拷問を受けたせいで身体中が痛いし、悲鳴なのか呻き声なのか分からないから。滑っている時も、微妙に左肩が痛いし。ていうか、時々壁に肩がぶつかって痛い。
何これ、セルフ拷問?
「アリス!!」
落下した後、痛みで蹲る。
それに気付いたレイアが肩を貸してくれて、ようやく立ち上がれた。
「こんなところ、さっさと脱出しようぜ!」
「待て!やめろ!」
ルークの制止を無視して、ソロはブラスターをドアにぶっ放す。当然壁にはシールドがあるから、レーザー弾はシュート内を反射する。うっかり流れ弾に当たらないようにしなきゃ。
「磁気でシールドされてるんだぞ!」
「貴方に銃を持たせたら、みんな殺されるわ!」
ウーキーのチューバッカもドアを叩き、みんなゴミの山から逃げようとする。
ダストシュート、本当に臭くてやばい。
「っ!」
「どうしたのアリス?」
「何かいる。」
蛇のようなクリーチャーが、ゴミの中を動いている。ルークの足にも触れて、私は水から上がろうと壁際に退避する。その瞬間、ルークが水の中に引き摺り込まれてしまった。
「ルーク!」
手を伸ばしてフォースで操ろうとするが、クリーチャーは抵抗してくる。
今度は私に巻きつき、水の中に引き込まれた。
傷には当たるし、水が滲みて左肩が痛い。水が汚くて、傷が膿みそう。後でちゃんと処置しなきゃ。
ソロがブラスターを撃ち続けていると、クリーチャーは突然離して消えた。
「アリス!大丈夫!?」
「大丈夫……」
「奴はどこだ!?」
「水の中に消えた。」
その時、壁が動き始めて狭まってくる。チューバッカが壁を押しても、何も変わらなかった。ルークがC-3POに呼びかけ続けて、必死に壁を止めようとする。
私にもできることをしなくては。
息を整え、壁に手を向ける。フォースを使って、狭まる壁を押し返す。狭まるスピードは落ちたが、止まってはいない。その間に何とかしなければ、私達は潰される。
「おい!止まってねぇぞ!」
「うるさいちょっと黙って!集中できない!」
ただでさえ左肩が痛いのに、集中を妨げられたら困る。
ようやくC-3POが応答し、R2が壁を止めてくれた。力が抜けた私は、ゴミにダイブする。あえて言うが、好きでダイブしたわけじゃない。
「なんて奴だ……」
「口に気を付けなさい。アリスは貴方より長く戦っているのよ。」
「俺より長く?どう見ても俺よりガキじゃねーか!」
「あぁん?クソガキはあんたでしょ。」
笑顔で言ってやれば、ソロは冗談ではないと悟ったらしい。ルークを見て、オビ=ワンと同じおかしい奴とほざく。ずっと思っていたけど、ソロって本当に礼儀知らずだよね。
「ハン・ソロ、私より上に立ちたいなら、まず礼儀を身に付けなよ。そんなんでよくジャバと駆け引きできるね。」
「ジャバは関係ないだろ!」
「私、ジャバと古い知り合いだから。当てずっぽうな生き方をしてると、私みたいになるよ。」
そう、私みたいに後悔することになる。
ジャバは優しくない。もしハット族と約束を違えれば、報復を受けることになる。私はシディアスを甘く見ていた。そのせいで、呪いを受けたんだ。ソロも、いつかしっぺ返しを食らう。
R2にドアを開けてもらい、ようやくダストシュートとサヨナラできた。
「ねぇ、レイア、私臭くない?」
「みんなそうよ。ちょっと貴方!何してるの!?」
嫌がるチューバッカを見て、ソロはダストシュートを撃つ。音が響いて、トルーパーが来るかもしれないのに。なんてことをするんだよ。
「どこの誰か知りませんけど、これからは私の指示に従ってもらうわ!」
レイアはそう言って、歩いて行ってしまう。癪に障ったのか、ソロは彼女に文句を叩き付けた。レイア本人は気にも留めていないけど。
「いいか、王女様。俺に命令できるのは俺だけなんだよ!」
「よく生き残れたわね、貴方。」
今は言い合っている場合じゃない。
「オビ=ワンから船があるって聞いたけど、どこ?」
「こっちだ!」
ルークとソロを先頭に、ハンガーへと向かう。
そこで、私は何もないところで転んでしまった。脚がしっかり動いていない。薬が抜け切っていないらしい。
筋弛緩剤だけでも抜けてくれないとまずい。
「大丈夫!?」
「平気だよ。ほら、行こう。」
無理矢理脚を動かして、ルーク達を追い掛ける。
やっと船が見える距離まで来ると、息が切れていた。やっぱり、筋弛緩剤が抜けていない。すぐに動いたのが良くなかったかもしれない。
「おい、あんた、ひでぇ顔色だぞ。」
「そこまで?」
ソロが私の顔色を指摘して、レイアが慌てて横に来る。大丈夫だと言うけど、レイアは嘘だと見抜いていた。更に、ソロが追い討ちをかける。
「ったく、世話の焼ける女だ。チューイ、担いでやれ。」
「かつ、!?ぅえっ!?待って!降ろしてよ!」
私は本当に担がれ、チューバッカはそのまま走る。チューバッカに降ろすように頼むが、聞き入れてくれなかった。ていうか担ぐって、私は荷物か何かですか。
ハンガーに走っていると、トルーパーに遭遇してしまった。
しかも、私を指差して何か言ってる。
「囚人を連れてるぞ!捕まえろ!」
囚人って、私のことか。
そこで、ソロは雄叫びを上げながらトルーパーに向かって突っ込んでいく。私とレイアが感心する中、チューバッカも私を降ろして彼を追いかけていく。私はルークとレイアに付いていき、船へ向かう。
だけどこちらもトルーパーに遭遇してしまい、3人でレーザー弾を避けてシャッターの陰に隠れる。更に、問題が一つ。たった今シャッターを閉めたものの、橋を出すスイッチをドアのスイッチと一緒に壊してしまった。
「どうするの!?」
「2人共、動かないで。」
「「え?」」
2人をフォースで反対側へ送り、自分もフォース・ジャンプで跳ぶ。しかし肝心の脚力が足らず、届かなかった。嫌な汗が背中に伝う。
ところが、ルークが手を伸ばして私を掴んでくれた。
「もう、少し……!」
私を引き上げ、2人で床に座り込んでしまった。
一瞬だけ、ルークがアナキンに見えた。
「ありがとう、ルーク。」
「さぁ、行こう!」
ようやく船のあるハンガーに辿り着いたけど、当然のようにトルーパーが見張っていた。
その時、フォースのぶつかり合いを感じた。あれだけ言ったのに、オビ=ワンはヴェイダーと戦っている。手を握り締めて、焦る気持ちを抑える。手負いの私が行けば、足手纏いになる。
何かあったのか、トルーパーはどこかへ行き、船の見張りはいなくなる。
「今の内に行くぞ!」
ドロイド達とも合流し、私達はソロのポンコツ船に走る。
突如、ライトセーバーのぶつかる音が聴こえて、反対側の出口に視線を向ける。そこにはオビ=ワンとヴェイダーが剣を交えていた。ルークも気が付き、彼の名を呼ぶ。
ヴェイダーの注意を逸らそうと、私も声を張り上げる。
「オビ=ワン!!!」
嫌な予感がした。
オビ=ワンは私とルークを一瞥すると、笑みを浮かべる。
胸の前にライトセーバーを立て、目を閉じていた。ヴェイダーがその隙を見逃すはずがなく、奴はライトセーバーを横一閃に振るう。刹那、オビ=ワンの肉体はフォースと一体化した。
「ベン!!!!!」
ルークの悲鳴に、私はヴェイダーに向かって走る。
薬が抜けてなくても、今はどうでも良かった。とにかく、ヴェイダーに一撃を与えたい。そうしなければ、怒りでどうにかなりそうだった。
オビ=ワンが死んだことに、悲しむ私がいる。
ただの腐れ縁だと思っていた。何かと親しくしていたけど、自分がここまで彼を慕っていたとは想定してなかった。オビ=ワンは、間違いなく私の友人だ。それだけは断言できる。
「おい!あいつ何やってんだ!?」
「ルーク!アリスを止めて!」
辺りのトルーパーを撃ち倒した後、オビ=ワンのライトセーバーをフォースで手に取り、ヴェイダーに斬りかかる。
「よくも……!」
「奴の為に涙を流すのか。」
「殺す必要はなかったでしょう!」
その瞬間、フォース・プッシュされ、ポンコツ船のハッチに倒れる。
再び立とうとする私をチューバッカが止めて、ルークとソロがブラスターで増援のトルーパーを撃っていく。
「離して!黙って去るなんて気が済まない!」
「チューイ!早くそいつを中に放り込め!ルーク!パネルを狙え!」
ルークが狙いを定めて、ドアの制御パネルを撃つ。ドアは閉まり、そこでヴェイダーは足止めされる。私達は船に乗り込み、デス・スターから逃げる。
ようやく離された私は、その場に座り込む。
オビ=ワンが死んでしまった。
今度こそ変えようと思ったのに、オビ=ワンの死は避けられなかった。