デス・スター破壊から数週間後、私は“ホーム・ワン”の一室で瞑想をしていた。
昔のように心を無に、
「アリス!」
無にできなかった。
レイアが入室してきて、ルーク達が戻ったと分かった。
ルーク、レイア、ソロ、R2はサイムーン1の潜入任務へ行っていた。帝国の隙を突き、反乱軍は兵器廠の破壊を狙った。私は別件の任務があったから同行できなかったが、一足先に戻った私に見えたのは、ルークとヴェイダーの初対決だった。
訓練を始めたばかりのルークが太刀打ちできるはずがなく、未熟な教え子は呆気なくヴェイダーに打ち負かされた。
辛うじて任務を成功させ、彼らはホーム・ワンに帰還したのだった。
「おかえり。ルークは?」
「それが……貴女に近付きたくないって。」
「レイア」
「……」
「ルークを呼んできて。」
レイアに笑顔でお願いして、ルークを呼び出す。
隣にR2がいて、ルークがヴェイダーと対決することになった経緯を説明してもらった。
「おかえり。何か言うことは?」
「何のことです?」
「ルーク、そこに正座して。」
「ハイ」
正座させ、私が教えてきたことを聞く。
「私、何を教えたっけ?」
「奴と戦うな、と。」
「そうじゃない。ジェダイは敵討ちしないって教えたよね?」
「でも貴女だって、怒りのままに奴へ切りかかったじゃないか!」
「お黙り。」
あれはノーカンだ、ノーカン。
拷問を受けた後の精神状態で、怒るなという方が無理だ。あの時は、本当にまずかった。止めてくれたチューバッカに感謝だ。
え?ソロ?あの若造にも一応感謝してあげよう。
「あれは事故だから。」
「事故?」
「何でもない。それで?デス・スターの子午線トレンチの再現だって?」
「あれこそ事故だ!」
「しかも、自分がオビ=ワンと私の弟子だって言ったと?」
「………すみませんでした。」
「分かった。この件は忘れよう。旅支度して。」
「え?旅?」
反乱軍のシャトルを一隻借りて、ある惑星に向かうことにした。私という先生だけで、何か変わるとは思えない。やっぱり、教材は必要だよね。
「あんたの故郷にね。」
「故郷……ええ!?」
「タトゥイーンに行くよー。」
ホーム・ワンを出る前に、私は司令部へ行き、ダンタムに一声かけた。
「ちょっとその辺に行ってくるね。」
「アリス」
「ん?」
「スカイウォーカーの訓練か?」
「そうだよ。………え、何?」
ダンタムに背を押されて、人気のない倉庫に押し込まれる。
「どうしたの?」
「アリス、どこへ行こうと構わないが、無茶はしないでくれ。」
「もうしないよ。心配しないで。」
「なら良い。」
壁を背にキスをされて、ダンタムの頬を撫でる。
しかし咳払いが聞こえて、私は夫を突き飛ばしてしまった。
「随分と大胆ですね、“先生”。」
決してその気になってない。ただキスしただけだ。夫とキスをしただけ、うん。
「やめて……」
恥ずかしくて、顔が熱くなる。
顔の火照りを抑えながら、ルークを引きずってハンガーへと向かった。
食料だけ積み込み、シャトルのエンジンを立ち上げる。R2-D2も連れていき、シャトルに接続させる。レイアとソロには、予めルークから説明してもらった。“お互い”の成長の為には、タトゥイーンに行く必要がある。
ホーム・ワンを離れ、シャトルはハイパースペースへと入る。
ハイパースペース航行中も、ルークのトレーニングをする。基本中の基本であるフォームⅠは、オビ=ワンに教えられていたからできていたが、まだフォースの扱いがなってない。これが共和国時代なら、ルークはイニシエイトのままだ。
リモートとブラスト・シールドを使って、フォースの初歩を訓練させた。
「フォースを感じて。」
「やって、っ!ます、っ!」
スピードを上げたら、2回もルークのお尻にスティング・ビームが当たってしまった。
「じゃあ、手本ね。」
ライトセーバーを取り出し、リモートをオンにして、ブラスト・シールドを被る。ある程度スピードを上げて、難易度も上げる。スティング・ビームが撃たれ、私は全て防いでみせた。
「今のをやれと!?」
「うん。大丈夫。あんたのお父さんも火傷だらけだったから。」
「あの父が?」
「そうだよ。私だって、マスターに叩き込まれたし?」
「アリスのマスターはどんな人だったの?」
「私のマスターは………」
昔を思い出して、苦い思い出が脳裏に浮かぶ。
「厳しかったなぁ。」
「厳しかった割には、アリスは不真面目じゃないか?」
「ソンナコトナイヨ。」
任務はしっかり、しっかり………
しっかりやってなかった。あれ、ダメだ。真面目じゃない。
「ベンの話は本当だったのか。」
「え、何の話?」
「貴女は仲間の手を焼かせるジェダイだった、と。」
「おかしいな否定できないや。」
今思うと、迷惑しかかけてない。まぁでも、若気の至りってやつだよね。あの頃は私も若かった。
「それより続き!」
「もう!?」
「ほら始めるよー。」
トレーニングは、ハイパースペースを出るまで続けた。タトゥイーンの宙域に出る頃には、何とかできるようになっていた。だけど、まだまだ実戦は難しい。
ハイパースペースを出た後、シャトルは大気圏を抜けて、オビ=ワンの隠れ家から少し離れたところに着陸する。
「なぜオビ=ワンの隠れ家なんだ?」
「ちょっとは役に立ちそうなものがあるかな、って思って。」
「僕の訓練にですか?」
「うん。あー……」
オビ=ワンの隠れ家に着くと、タスケンが物色していた。当然、邪魔者の私達はタスケンに攻撃される。しかし、ルークがライトセーバーを取り出したら、タスケン・レイダーは逃げていった。
「何を探せばいいんだ?」
「それこそフォースで探して。」
「せめて、どう探すか教えてもらえないかな?」
「私が教えても、私が見つけたものはあんたの探していたものじゃない。自分で見つけて。」
「そんな……」
宛にしているようだけど、私はこの隠れ家に初めて来たんだ。私より、ルークの方が繋がりがある。その繋がりがあるルークでなければ、探し物は見つからない。
「んじゃ、私は外で待ってるね。その方が集中できるでしょう?」
「集中!?何を!?」
「フォースを使うの。頑張ってー。」
オビ=ワンの家から出て、ドア横に座る。
そのまま瞑想に入ると、これから起きることが予見できた。カンティーナで、誰かがルークを探している。あのアーマーを見る限り、私の知っている賞金稼ぎだ。
喉まで出かかっているのに、思い出せない。
マジで誰だっけ?