どうしてこうなったのか分からない。
「おい、全然飲んでねぇじゃねぇか。」
「私一応ジェダイだからね!?」
先手を打ってカンティーナに来たら、まさかのあいつと遭遇した。そこまでは良い。遭遇するまでは、ね。
私達、なんでバーにいるんだろう?
「で、誰だっけ?」
「ボバ・フェットだ!!」
「えーと、思い出さなきゃいけないやつ?」
「こんな依頼…引き受けるんじゃなかった………」
「え?依頼?」
やはり、賞金稼ぎの仕事らしい。
いや、その前に私と飲んでいていいの?仕事中だよね?
「私なんかといたら、仕事が進まないよね。じゃ、ご馳走様。」
「待て、話はまだ終わってねぇ。」
立ち上がろうとしたら、肩を掴まれてまた座らされる。
仕事モードになったボバに、本気の殺意を向けられた。ちゃんとお父さんの性格を継いでいて、安心した。これなら、遠慮なく反撃できそうだ。
「話じゃないよね。分かってるよ。ていうか、私に酒を飲ませて潰そうとした?」
「分かってたくせに来たのか!?」
「タダ酒が飲めると思って。」
笑顔で言ってやれば、ボバは頭を抱える。
誰の金?ボバの金に決まってる。私を追うなら、それ相応の代償を払わせないとね。
今の私には、守るべきものがあるのだから。
「ジェダイが簡単に止まってくれると思ったら、大間違いだからね。」
「だったら、なぜ止まった?」
「あんたが追っているのは、デス・スターを破壊したパイロットの方でしょう?彼には会わせないよ。」
「俺の用はそいつだけじゃねぇ。お前にも用がある。」
だから座れと、今度こそ立ち上がろうとした私を引き留める。
「で?」
「そのパイロットとは別件だ。ジャバがお前に会いたいとさ。」
「懐かしいな、ジャバ・ザ・ハット。」
罠の臭いがプンプンするけど、あえて踏み込むのもまた一興だ。
だが断れば、賞金を懸けられるだろう。今のジャバは、それくらい必死だ。ジャバは取引の相手を選んでいる余裕はない。
帝国がジャバと手を組んだら面倒だ。
「その内会いに行くって伝えて。」
「自分で伝えろ。デューン・シーはすぐそこだ。」
ジャバの宮殿がある方角を見る。
今回ここに来たのは、ルークの為だ。私の野暮用の為じゃない。ジャバには悪いが、再会はまたの機会になる。
「予定が詰まってるんだよね。あんた、ジャバと仲良しでしょ?それくらい伝えてよ。」
「はぁ……保険をかけておいて良かったぜ。」
「保険……?」
「お前が宮殿に来なくても、報酬はもらえる。ただし、お前が一緒に来れば報酬は跳ね上がるがな。」
「欲はかかない方がいいよ。強欲は身を滅ぼすから。」
些細な忠告だ。
ジェダイ・クルーザーで出会った訓練生は、とても大きな欲を抱えているみたいだ。
「お前もだ、ジェダイ。帝国軍は、血眼でお前とあのパイロットを探している。見つかるのも時間の問題だ。」
「ご親切にどうも。」
「礼は金でいいぞ。」
「今のは情報の内に入らないから!」
私はバーを出ていき、カンティーナから離れた。ボバに尾けられていないことを確かめた後、オビ=ワンの隠れ家に戻る。隠れ家では、ようやくルークが探し物を見つけたようだった。
オビ=ワンの日誌を見つけたルークは、それを私に差し出す。
「僕は、これだけの為に?」
「でも見つけた。大きな進歩だよ。」
“ルークへ”と書かれた箱に入っていたという。埋もれていたその箱の中には、日誌の他に、ダゴバの星図が入っていた。オビ=ワンが見つけてほしかったのは、恐らくこれだ。
マスター・ヨーダは、ダゴバにいる。
情報を守る為に、マスター・ヨーダとオビ=ワンの行き先を聞かずに別れたからなぁ。これはありがたい。私の訓練に加えて、ルークはマスター・ヨーダの指導を受けることができる。
私とオビ=ワンがフォームⅠを教えて、マスター・ヨーダがフォームⅣを教える。これで、ルークは最低限の訓練を受けたことになる。
私が教えられることは全て教えたけど、ルークには足りないものがある。耐え忍ぶこと、忍耐だ。すぐ熱くなるのは、アナキンにそっくりだ。昔の私やアナキンのように感情的になれば、その隙を突かれる。
その忍耐を、マスター・ヨーダのところで会得させたい。
「よーし、ルーク。帰るよ。」
「この星図は?」
「いつか使う。持ってて。」
「日誌はどうするんです?」
「それもあんたが持っていて。中を読めば、オビ=ワンの心境が分かるよ。好きにして。」
「え!?あ、アリス!!」
呼び止めるルークをスルーして、シャトルのコックピットに向かう。
R2にエンジンを点けさせて、ホーム・ワンとの合流地点を目指す。
旅の帰り途中も、ルークに訓練をつけた。忍耐力はダゴバで会得させるが、集中力も弱い。その為のトレーニングを、シャトルの格納庫内でやらせた。
そのトレーニングは、私がマスターにやらされたもので、防音耳あてもどきと布切れで、耳と目を塞ぐというもの。
まず布切れを渡し、ルークに目を塞がせる。
「ここまでは、ブラスト・シールドと同じたね。じゃあ、次は耳を塞ぐよ。」
「耳まで!?一体何をするんだ!」
「その状態で、リモートのスティング・ビームを全て避けて。あと、リモートは敵だと思ってね。出力最大にするから。」
「冗談でしょう?………アリス?」
「ほら、“集中”して。」
ストンと耳あてもどきをルークに着け、リモートをオンにする。出力を最大にして、スピードも徐々に上がっていく。ルークは朧げながらも、フォースを通じてリモートの動きを読み始めていた。
ここで私の悪戯心が芽生え、ちょっとだけフォースを操った。その瞬間、ルークはリモートに脚を撃たれ、仰向けに転んでしまった。咄嗟にリモートを止めて、ルークに駆け寄る。
悪戯は、まだ早かったらしい。
「アリス!!!」
「あ、バレてる?」
「思いっきり何かしたでしょう!?」
「ごめん、つい。」
トレーニング用で良かった。
ルークに謝った後、私はこの訓練の意味を説明する。
「フォースと繋がる時、集中力が大事なの。」
「だからって、今のは……」
「さっきのは本当にごめん。けど何かあった時、視界も聴覚もない状態になったら、集中力は必要不可欠。その時、ジェダイにとってフォースは強い味方になる。」
「そんな状況になるなんて、早々ないでしょう?」
「あるよ。私は大昔、マスターと任務でガスの惑星に行った。その任務で、ガスマスクのせいで視覚と聴覚が宛にならなくなったんだ。訓練のお陰で、任務は成功したよ。」
実体験だ。私の話に、ルークは納得したみたいだった。フェアな戦いがあれば、公平な戦いではない時もある。
戦いに、常を求めてはいけない。
「今日はここまでにしよう。」
「このままホーム・ワンと合流するのか?」
「そのつもり。何か気になる?」
「………いや、ないよ。」
「そう。じゃあ、R2と操縦代わってくる。」
コックピットに戻り、R2と操縦を交代し、少し休ませる。
ルークは、まだまだ成長する。未熟な私から見ても、確かなことだ。でも、このまま成長して、私のように間違いを犯してほしくない。
その為には、マスター・ヨーダの指導が必要だ。
希望が、芽を出し始めていた。
次こそエピソード5 編です…!
大変長らくお待たせしました泣