【完結】ジェダイ(仮)になりました。   作:夭嘉

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閑話:訓練もどきをやろう【後編】

どうしてこうなったのか分からない。

 

 

「おい、全然飲んでねぇじゃねぇか。」

「私一応ジェダイだからね!?」

 

 

先手を打ってカンティーナに来たら、まさかのあいつと遭遇した。そこまでは良い。遭遇するまでは、ね。

 

私達、なんでバーにいるんだろう?

 

 

「で、誰だっけ?」

「ボバ・フェットだ!!」

「えーと、思い出さなきゃいけないやつ?」

「こんな依頼…引き受けるんじゃなかった………」

「え?依頼?」

 

 

やはり、賞金稼ぎの仕事らしい。

 

いや、その前に私と飲んでいていいの?仕事中だよね?

 

 

「私なんかといたら、仕事が進まないよね。じゃ、ご馳走様。」

「待て、話はまだ終わってねぇ。」

 

 

立ち上がろうとしたら、肩を掴まれてまた座らされる。

 

仕事モードになったボバに、本気の殺意を向けられた。ちゃんとお父さんの性格を継いでいて、安心した。これなら、遠慮なく反撃できそうだ。

 

 

「話じゃないよね。分かってるよ。ていうか、私に酒を飲ませて潰そうとした?」

「分かってたくせに来たのか!?」

「タダ酒が飲めると思って。」

 

 

笑顔で言ってやれば、ボバは頭を抱える。

 

誰の金?ボバの金に決まってる。私を追うなら、それ相応の代償を払わせないとね。

 

今の私には、守るべきものがあるのだから。

 

 

「ジェダイが簡単に止まってくれると思ったら、大間違いだからね。」

「だったら、なぜ止まった?」

「あんたが追っているのは、デス・スターを破壊したパイロットの方でしょう?彼には会わせないよ。」

「俺の用はそいつだけじゃねぇ。お前にも用がある。」

 

 

だから座れと、今度こそ立ち上がろうとした私を引き留める。

 

 

「で?」

「そのパイロットとは別件だ。ジャバがお前に会いたいとさ。」

「懐かしいな、ジャバ・ザ・ハット。」

 

 

罠の臭いがプンプンするけど、あえて踏み込むのもまた一興だ。

 

だが断れば、賞金を懸けられるだろう。今のジャバは、それくらい必死だ。ジャバは取引の相手を選んでいる余裕はない。

 

帝国がジャバと手を組んだら面倒だ。

 

 

「その内会いに行くって伝えて。」

「自分で伝えろ。デューン・シーはすぐそこだ。」

 

 

ジャバの宮殿がある方角を見る。

 

今回ここに来たのは、ルークの為だ。私の野暮用の為じゃない。ジャバには悪いが、再会はまたの機会になる。

 

 

「予定が詰まってるんだよね。あんた、ジャバと仲良しでしょ?それくらい伝えてよ。」

「はぁ……保険をかけておいて良かったぜ。」

「保険……?」

「お前が宮殿に来なくても、報酬はもらえる。ただし、お前が一緒に来れば報酬は跳ね上がるがな。」

「欲はかかない方がいいよ。強欲は身を滅ぼすから。」

 

 

些細な忠告だ。

 

ジェダイ・クルーザーで出会った訓練生は、とても大きな欲を抱えているみたいだ。

 

 

「お前もだ、ジェダイ。帝国軍は、血眼でお前とあのパイロットを探している。見つかるのも時間の問題だ。」

「ご親切にどうも。」

「礼は金でいいぞ。」

「今のは情報の内に入らないから!」

 

 

私はバーを出ていき、カンティーナから離れた。ボバに尾けられていないことを確かめた後、オビ=ワンの隠れ家に戻る。隠れ家では、ようやくルークが探し物を見つけたようだった。

 

オビ=ワンの日誌を見つけたルークは、それを私に差し出す。

 

 

「僕は、これだけの為に?」

「でも見つけた。大きな進歩だよ。」

 

 

“ルークへ”と書かれた箱に入っていたという。埋もれていたその箱の中には、日誌の他に、ダゴバの星図が入っていた。オビ=ワンが見つけてほしかったのは、恐らくこれだ。

 

マスター・ヨーダは、ダゴバにいる。

 

情報を守る為に、マスター・ヨーダとオビ=ワンの行き先を聞かずに別れたからなぁ。これはありがたい。私の訓練に加えて、ルークはマスター・ヨーダの指導を受けることができる。

 

私とオビ=ワンがフォームⅠを教えて、マスター・ヨーダがフォームⅣを教える。これで、ルークは最低限の訓練を受けたことになる。

 

私が教えられることは全て教えたけど、ルークには足りないものがある。耐え忍ぶこと、忍耐だ。すぐ熱くなるのは、アナキンにそっくりだ。昔の私やアナキンのように感情的になれば、その隙を突かれる。

 

その忍耐を、マスター・ヨーダのところで会得させたい。

 

 

「よーし、ルーク。帰るよ。」

「この星図は?」

「いつか使う。持ってて。」

「日誌はどうするんです?」

「それもあんたが持っていて。中を読めば、オビ=ワンの心境が分かるよ。好きにして。」

「え!?あ、アリス!!」

 

 

呼び止めるルークをスルーして、シャトルのコックピットに向かう。

 

R2にエンジンを点けさせて、ホーム・ワンとの合流地点を目指す。

 

旅の帰り途中も、ルークに訓練をつけた。忍耐力はダゴバで会得させるが、集中力も弱い。その為のトレーニングを、シャトルの格納庫内でやらせた。

 

そのトレーニングは、私がマスターにやらされたもので、防音耳あてもどきと布切れで、耳と目を塞ぐというもの。

 

まず布切れを渡し、ルークに目を塞がせる。

 

 

「ここまでは、ブラスト・シールドと同じたね。じゃあ、次は耳を塞ぐよ。」

「耳まで!?一体何をするんだ!」

「その状態で、リモートのスティング・ビームを全て避けて。あと、リモートは敵だと思ってね。出力最大にするから。」

「冗談でしょう?………アリス?」

「ほら、“集中”して。」

 

 

ストンと耳あてもどきをルークに着け、リモートをオンにする。出力を最大にして、スピードも徐々に上がっていく。ルークは朧げながらも、フォースを通じてリモートの動きを読み始めていた。

 

ここで私の悪戯心が芽生え、ちょっとだけフォースを操った。その瞬間、ルークはリモートに脚を撃たれ、仰向けに転んでしまった。咄嗟にリモートを止めて、ルークに駆け寄る。

 

悪戯は、まだ早かったらしい。

 

 

「アリス!!!」

「あ、バレてる?」

「思いっきり何かしたでしょう!?」

「ごめん、つい。」

 

 

トレーニング用で良かった。

 

ルークに謝った後、私はこの訓練の意味を説明する。

 

 

「フォースと繋がる時、集中力が大事なの。」

「だからって、今のは……」

「さっきのは本当にごめん。けど何かあった時、視界も聴覚もない状態になったら、集中力は必要不可欠。その時、ジェダイにとってフォースは強い味方になる。」

「そんな状況になるなんて、早々ないでしょう?」

「あるよ。私は大昔、マスターと任務でガスの惑星に行った。その任務で、ガスマスクのせいで視覚と聴覚が宛にならなくなったんだ。訓練のお陰で、任務は成功したよ。」

 

 

実体験だ。私の話に、ルークは納得したみたいだった。フェアな戦いがあれば、公平な戦いではない時もある。

 

戦いに、常を求めてはいけない。

 

 

「今日はここまでにしよう。」

「このままホーム・ワンと合流するのか?」

「そのつもり。何か気になる?」

「………いや、ないよ。」

「そう。じゃあ、R2と操縦代わってくる。」

 

 

コックピットに戻り、R2と操縦を交代し、少し休ませる。

 

ルークは、まだまだ成長する。未熟な私から見ても、確かなことだ。でも、このまま成長して、私のように間違いを犯してほしくない。

 

その為には、マスター・ヨーダの指導が必要だ。

 

希望が、芽を出し始めていた。

 

 






次こそエピソード5 編です…!
大変長らくお待たせしました泣
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