この素晴らしい世界にあふれんばかりの呪いと祝福を   作:ボンシュ

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 長らく更新が無かったというのに、数々の評価や感想をいただけて嬉しいです。

 素晴らしい。あなた方にはお礼が言いたいです…こうしてまた書くことが出来たのですから










メインストーリー
祝福の子


 ギルドのテーブルは昼は比較的空いている。ここを使う冒険者たちは、昼間にクエストをこなして夜の間だけ自分たちの疲れを労う為に使うからだ。

 

 人気も少ない昼間のギルドで俺が机に突っ伏しているのは、ひとえにこの目の前の女のせいに他ならない。見た目は美少女だが、それを台無しにするほど豪快に、運ばれてきたからあげや酒を口へ流し込んでいく。

 

「どうしたのカズマ、食べないならこの水の女神である私に献上なさい」

 

「人のものを勝手にとるな」

 

 無遠慮に伸ばしてきたフォークから唐揚げを逃がして、それを口に放り込む。

 

「それよりなんの真似だよあれは」

 

「あれって?」

 

 アクアは、全く心当たりがないように首を傾げた。

 

「だからあれだよあれ! 掲示板だ! さっき言ったよな? このままじゃいつ死ぬかわからない、だから仲間を募集する張り紙を出そうって」

 

「あれならもう書いたじゃない。考えすぎるとお腹を壊すわよ」

 

「違う、『内容』だ。上級職のみの募集って書くやつがあるか! それにあの募集文句、今時こんな胡散臭いのを書くのは間抜けだけだ。なんだよ『幸福になれました』って、カルト宗教でももっと上手く書けるぞ」

 

「誰がカルト宗教の御神体よ! 私と私の信者たちに謝ってよ!」

 

 食べてる最中に叫ぶものだから、アクアの食べかすが顔に飛んだ。

 

「食べながら叫ぶな汚いだろうが」

 

「カズマが酷いこと言うからじゃない! それにそんなに嫌なら、書き換えとけばいいじゃないの」

 

 そんなことはわかっている。張り出した直後に書き換えを申請したら、1週間は待たないとと言われた。3日経過したが、あと4日も貯金が持つわけもない。

 

「お困りのようですね」

 

 突然、横から話に割り込んできたのは魔法使いの格好をした奇妙な少女だった。ここで奇妙な、と付け加えるのは、単にその見た目が異質だったからだ。

 笑ってるのか泣いてるのかわからない仮面をつけて、その上から眼帯をつけている。明らかにサイズの合っていないぶかぶかの服や手袋で全身を覆い隠してる為、シルエットはわからないが、身長と声色から女の子だとわかった。

 

「仲間募集の張り紙を見させていただきました。あなた方なら、このアークウィザードである我の力を貸すに相応しいと見受けた」

 

 少女はマントを翻しながら得意げに話す。なるほどな、そういうヤツ(厨二病患者)なのか。

 

「すまないけど、あれはこいつがーーー」

 

「アークウィザード!? やったわすごいじゃない! 私はアクア、こっちのパッとしないのはカズマよ。心から歓迎するわ!」

 

 俺がやんわりと断る前に、捲し立てるようにアクアがその子の手を握ってブンブン振る。そらみろ、勢いに押されてアワアワしてるじゃないか。

 

「って、違うだろ! なにを勝手に話進めてんだ」

 

「いいじゃないアークウィザードよ。こんな機会を逃すもんですか!」

 

 ダメだ。アクアは自分が正しいと思い込んでいる。

 

「上級だからって、まだ名前も知らないやつを仲間には……」

 

「フッフッフッ」

 

 その瞬間、慌てていた様子から一転して肩を揺らして笑い始めた。まるで『そのセリフを待っていた』ように。

 

「我が名はめぐみん! 最強のアークウィザードにして、爆裂魔法を極めし者!」

 

 マントを大きくはためかせて仮面の奥の瞳を赤く輝かせながら名乗るそれは、俺の厨二病患者なのではという疑惑を確信に変えた。同時に、よくここまで見事に決められたなと心の隅でチョッピリ思った。マントの下から覗く袋が無ければ、もっと決まっていただろうに。

 

 しかし………「めぐみんだって? ふざけてるのか?」

 

「違うわい! なんですか、私の名前に文句があるなら聞こうじゃないか」

 

「あー、わかった! あなた紅魔族でしょ。その名乗り方に、独特な名前、ようやくわかったわ」

 

「知ってるのか? アクア」

 

 アクアの長々と主観も交えた紹介を要約すると、この子は紅魔族で、紅魔族とは魔力の操作に秀でた種族。その特徴は、赤い目と珍妙な名前、そして厨二病患者のような言動らしい。

 

「だったら、余計にわからない。なんでそんな優秀な子がうちに入りたがるんだ」

 

「それは置いといて、とりあえず食べ物をいただけますか? 今朝からなにも食べてなくて…」

 

 その時、めぐみんのお腹が盛大になった。仮面でよくわからなかったが、きっとその下の顔は真っ赤になっていることだろう。

 少なくとも悪い奴そうじゃない、話は後からでも聞けるだろうと俺は唐揚げが一つ減った自分の昼飯を差し出した。




 







めぐみんは可愛いですね
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