異世界転移 シノの冒険? 2話   作:リュート 赤き竜

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特に何もなし、ヒロインっぽい人登場


褐色美女登場

 

 

背後に回られた。厳かな声だが声音からして女の人だ。背中に何か突きつけられている感覚、多分刃物だろう。殺気というのは感じたことはないが彼女からそういうものが皮膚で感じ取れ汗がにじむ。・・・今俺に出来るのは動かないことくらいだ。一応柔道は昔習っていたがここは未知の異世界で俺は貧弱な人間。勝ち目はない…。

と、なにやら俺の体をさわっている。ボディーチェックの様にまさぐられ一通りさわり終え。

 

「丸腰、 やつらにしては気配が弱い…。貴様、何奴だ!」

 

明らかな恫喝、なにいってるかよくわからないがどうやら誰かと勘違いをしてなさっている。身の潔白を証明するために。やるしかない。あの秘伝の技を…意を決して、俺は敢行する。

 

「すみません許してください僕は東雲森秋で何もしない人畜無害の平和主義で菜食主義じゃないけど敵じゃありません!!」

 

早口で命乞いをし土下座。相手は後ろにいるがその場でしゃがみ込み土下座した。異世界で通じるか分からないが敵対の意思を見せない姿で多分通じるだろう。

するとその行動にあっけにとられたのか彼女は特に何もせず呆然と立っている。・・・今の内に逃げようと思ったが

 

「・・・どうやら、奴らでないようだな。こちらこそ済まぬ、わらわの勘違いであった。無礼を詫びる。」

 

殺気も消え持っていたナイフもしまいフードを上げ顔を見せ彼女は謝罪する。良かった、本当に誤解だったようだ。

褐色の肌に赤髪の少女は多分歳は俺と同じか少し上か、改めてみるとすごく美人だ。二次元補正もあってか萌えを感じる。と、そういえば言葉が通じるのか。彼女の声も日本語に聞こえる。どうやらここに来た際に何か俺に施されたのか分からないが二次元に見えたりや言語など便利な機能をつけてくれたらしい。―それがなんなのかは分からないが

 

「誤解が解けてなによりです…。それでは」

 

さっさとその場を立ち去る。危なかった、とりあえず難を逃れたと思ったが

 

「待たぬか。みたところおぬし、路頭に迷っている様子。武具どころか金銭もなく一人でいるのは危険であろう」

 

 

制止する様に俺を呼び止める。確かに、それはそうだ、気が付けばもうすぐ日が落ちそうだ。明かりもないなか一人でいるのは危険すぎる。だけどそれって…

 

「それって、俺と一緒にいるってことですか?」

「無論だ」

 

臆面も屈託もない表情で彼女は言う。え、マジで?・・・本当に俺はついている。結構現実ってよくできてるなと思ったが。

 

「いえ、俺なら大丈夫です。なのでお気持ちだけ受け取っておきます」

「・・・え?いや、待たぬかっ!!なぜ断る!!」

 

そういって俺は立ち去ろうとするも彼女は素っ頓狂な声を上げながら呼び止める。せっかくのありがたい親切。だが出来ない、彼女の親切に応えることはできない。なぜなら…

 

「俺には大切な人がいます。なので浮気になります」

「なあッ!!」

 

 

そう、俺にはリノたんがいる。たとえ彼女がどれだけ美人で美麗で容姿端麗で才色兼備であろうとも俺はリノたんに愛をささげた身、浮気などもってのほかである。そんな発言に彼女は顔を朱に染めて

 

「・・・う、浮気は、少し飛躍し過ぎではないか…」

 

・・・確かにそうだ。出会って早々の女性にいきなり浮気などとおかしなことを言ってしまった。二次元補正があれど彼女は現実、久しぶりの人との会話で言葉を間違えてしまうので訂正する

 

 

「間違えました。俺には大切な人がいます。なので貴女といると浮気してしまいそうです」

「それはただ口説いているだけではないかッ!!」

 

赤面して声高に叫ぶ彼女。だって仕方ないじゃないですか。透き通るようなほどきれいな赤髪に褐色の肌。それに加えて親切にしてもらうとなると純情ハートが射抜かれそうになる。ああ、雑念を振り払え…俺にはリノたんがいる、リノたんがいる。

 

 

そんなことをしているうちに周囲は暗くなる。月の光が差しそこまで暗くはないが・・・。

 

獣が叫ぶ声が聞こえた気がした。茂みから何かが動いたような気がした。恐怖か寒さか怖気が走る。そんな俺の様子を見て彼女は勝ち誇った笑みを浮かべる。頼っても良いんじゃよと言わんばかりの顔で。・・・仕方がない

 

「やっぱり、お言葉に甘えさせていただきます」

「うむ!その方が得策であるぞ!」

 

満面の笑みを浮かべる彼女と一緒に行動することにした。

 

とりあえず野営のために俺は枯れ葉や渇いた枝などをかき集め一か所に集めた後彼女は魔術の呪文を唱え火を起こした。すげえと素直に俺は感服し。パチパチと焼ける焚火に囲いながら彼女と俺は話をしていた

 

「なるほど、別の世界からのう。やはりそうか、別段珍しい話ではないぞ。おぬしと似たような装束の者が現れることは風のうわさであるが最近よく耳にする」

「良かった。他にもいらっしゃるんですね」

 

それを聞いて安堵した。俺だけじゃないのか。それなら別世界の人用の措置とか確立されている可能性もあり得るし異世界転生や異世界転移も事実だと裏付けられる。帰還できる可能性もあり光明が見えてきた

 

「そのものらは料理など独自の文化を持っておる人がいての、一段と飯が美味くなったという点ではなかなか面白い連中だ。あまり増えすぎると治安などに支障が出て困るがの・・・」

 

「ただの凡人です。言葉とかは喋れるようですがそういうのはあまり・・・」

 

「ふむ、読み書きができると。それはそれでかなりの才覚ぞ」

 

「ありがとうございます」

 

 

俺を呼んだなにかがその力を俺に授けた。だがそれ以外はこれといって力とかも湧かないし力を持つ人にとって雑魚といえる魔獣相手でも俺はすぐに殺されてしまうだろう。

今俺が生きているのはすべて運だ。幸運がなければ俺は今ここにいなかっただろう。運がなければ、この人とも会えていなかったし。そしてはたと気が付いたのか彼女は

 

「そういえば自己紹介がまだであったな。わらわはリュミア、・・・おぬしはたしか、シノノメ、と言っていたな?うーむ、発音が難しいゆえシノと呼んでも構わぬか?」

 

「良いですね、とてもかっこいいです」

 

そういえば俺も自己紹介していなかった。というかリュミアさんの名前からしてやはり本名が先らしい。東雲は苗字だがシノは確かにかっこいいのでここではそう名乗ろう。と、おなかがすいたので採ってきた果実を取り出し食べる。空腹のせいかすごくうまい。そういえばこれって食べても大丈夫なのだろうか。不安をあおるようにけげんな表情でリュミアさんは俺の持っている果実を見つめている

 

「シノ。その果実。どこで手に入れた?」

「え?、えーと、森に生えていた木の実です。どうしました?」

 

まさか毒のあるものじゃと思ったがリュミアさんは果実を手に取り鑑定する様に見ている。そして

 

「シノ。この果実、わらわも見たことがない。味も…美味であるし青果として売れば金になるやもしれぬ。もうひとつ良いか」

 

冷静な口調であるものの果実をなめた後リュミアさんの声が弾んでいる。微笑ましいほど甘いものが好きなのがわかる。・・・お金か、そういえばそうだ。どこであろうと金がなければ話にならない。だが数量は微々たるもの。というか勝手にリュミアさんがひとつ食べてるし。売るのは無理だとして、どこかお金を手に入れる方法はないものか。

 

 

 

「ですがその森は結構遠くて、親切なドラゴンに送ってもらった後ここに来たのでどこにあるのかわかりません」

「ぶッ!ド、ドラゴンッ!??ドラゴンとはッ!あのドラゴンかぁっ!??」

 

 

食べている果実を噴き出し驚愕しながらリュミアさんは言う。多分世間一般で知られているそのドラゴンだと思うけど異世界なら珍しくないと思ったが違うのか。たぶんリュミアさんは大人のドラゴンを想像しているので補足の説明をする

 

「あ、でも子どものドラゴンでおとなしい子だったので危なくはなかったですよ」

 

「・・・どうやら、冗談ではないようだな・・・。本当にドラゴンに乗ってここまで来たのか…」

 

いまだに信じられないという表情で俺を見つめる。だが俺の表情で嘘ではないと信じたのかリュミアさんはこの世界のドラゴンについて説明した

 

「不思議なこともあるもんだのう…。シノの世界は知らぬがこの世界のドラゴンは基本的に狂暴でな。子も然り。警戒心が強くどう猛で我々にとっては脅威で遭遇すれば大抵は殺されるものだ。熟練の戦士でさえてこずるものよ。だがまあドラゴンライダーの乗る育成したドラゴンは例外であるが…。シノの遭遇したのは多分天然のドラゴンであるはず…。ドラゴンがそのようなことを…興味深いのう…」

 

あごに手を置きなにやら思案するリュミアさん。ということは本当に俺って運がよかったんだな…。もしリュノアさんの言うドラゴンなら俺は真っ先に殺されていただろう。それかたとえ子であっても殺されているし親連れであったら消し炭だろうとぞっとする。

 

すると、疲れがたまっていたのか睡魔が襲ってくる。深夜は大体起きているが今日はいつになく活動したからその反動だろう。そして釣られるようにリュノアさんも

 

「まあ、後のことは明日考えようかのう。シノの顔を見ていたらわらわも眠くなってきたわい。ふわぁ~っ」

 

かわいらしいあくびをし横になるリュミアさん。おやすみなさい。俺も横たえ眠った。今日はいろいろあった。思い返し思うのは…。リノのことだ。あれからどうなったのだろう。・・・とりあえずは生きて帰ることだ。

 

「リノ…絶対返るからな」

 

そう心に誓いながら俺はまぶたを閉じた。

 

 

少女は泣いていた。少女は泣いていた。しくしくしくしく泣きじゃくる。どうして私は一人なの

私の心は埋まらない。私の孤独は埋まらない。運命の人がいるのなら、私を迎えにきてくださいな

少女は歌う。言葉を紡ぐ。悲哀に満ちた哀悼歌、誰に捧ぐかひたすら祈る

 

 

 

目が覚めた。何か夢を見ていた気がするがきれいさっぱり忘れている。大したことじゃないと思い背筋を伸ばし体をほぐす。言い朝だ、快晴で雲一つない青空が広がっている。・・・まだ生きている。気を引き締め、とりあえず何をすべきか考える。だが

 

「ん・・・、むにゃむにゃぁ~、シノぉ、それはわらわのぉ・・・むちゃむにゃ・・・」

 

と、気が抜けるような寝言を言いまだ眠っているリュノアさん。なんというか、警戒心ゼロだなと微笑んでしまう。それは俺に心を許している証拠だ。でなければこんな姿をさらしはしない。

 

「まったく、たった一日いただけなのに・・・」

 

それは彼女は優しい人間だからであろう。だから、俺もこの人の恩に報いなければ。お世話になりっぱなしというのも性に合わないし。とりあえずリュノアさんが起きるまで周囲を散策することにした。

 

「お、枝発見。小学生の頃はこれで遊んでたな」

 

散策中に俺は長い枝が折れているのを見つけた。手に取り護身術を習っていたので一応棒術もかじっている程度であったが無駄な枝を足を使って折り、雑なつくりではあるものの丈夫そうで武器にはなりそうだ

 

師範に習った通りの動きで仮想敵を思い浮かべながら棒を振り回す。腕はさび付いていたものの体は覚えていたようで、すぐに昔の様に動きを思い出す。重心を前に体幹を安定させる、何通りかの攻撃をイメージし対処、相手の足を薙ぎ払い、相手の急所を刺突する。急所を狙うのは普通ならに駄目であるがここは異世界。得体のしれない怪物には対処できないものの人間相手ならまだ戦えそうだ。ある程生き残るには嫌であるが殺生は免れないだろう。殺すのは好きではないが否応はない。・・・とりあえず異世界いる間は体を鍛えて鍛錬をしておこう。と、いつの間にかその光景をリュノアさんが見ていた。

先ほどの光景をいつみていたのか気づかなかったがとても恥ずかしい。だがリュミアさんは感服したように拍手をする

 

「シノ、ぬしはただに非力な凡人だと思っていたが武術の心得があったのか。多少荒はあるものの鍛えれば戦士として見込みがありそうじゃな。思いついたのだが金銭を稼ぐ方法としてギルドがある、行ってみぬか?」

 

ギルド。多分モンハンの様な様々な依頼を受け報酬をもらうというやつか。さすがリュミアさん。だが俺程度が倒せるモンスターなどいるのだろうか。ぶっちゃけ、殺すのは好きではないし

 

「でも、俺なんかがモンスターを倒せるとは思えません」

 

「知っておる。だからわらわがついておるではないか!こう見えてもわらわはか弱き淑女ではないゆえ」

 

えっへんと胸をたたく仕草に自身満々なのが伝わってくる。

焚火の時に見せてくれた火の魔法を見る限りリュミアさんは魔法使いなのかもしれない。

そういえば、俺はリュミアさんのことを何も知らないな。昨晩の会話でも特にリュミアさんに関することは聞いてない。

それはなんとなく、聞いてはいけない気がしたのだ。素性を隠すような外套をはおるリュミアさんは何か詮索してはいけない何かがあるようで言及も追及もしないようにしていた。

俺を襲った理由だって聞いてない。だが、これだけは聞きたかった

 

「・・・どうして、そこまで俺に親切にしてくれるんです?」

 

「・・・む?」

 

当然の疑問だ。別にリュミアさんを疑っているわけではない。

ただ俺にしてくれていることはどう考えてもリュミアさんの利益になり得るものではない。

それも見ず知らずの一般人で脆弱な俺に対してだ。異世界人の事は快く思っていないのはわかっているからよけい聞きたかった。

どうしてそこまで…。

するとリュミアさんは空を仰ぎ見やり思案する。

その様子は、まるで確かになぜここまでするのかというのをはたと気づいたような感じだ。するとリュミアさんは思いつき気恥ずかしそうに頬を描きながら

 

「・・・なんというかな、放っておけない感じがしたのだ。本来なら他人に関心を持たぬのだがおぬしは…、わらわと、似ているのだ。どこかはわからぬ。だが、なんとなく、の」

 

憐憫や同情ではない。お互いにある共通項。それが俺に親切にしてくれる理由…。なんとなくそれは分かる気がした。

 

「まあ、深くとらえずとも余計なおせっかいとだけいっておこうかのう。あのままではシノが垂れ死ぬのは目に見えておるゆえ、そうなれば目覚めが悪いのでな」

 

 

冗談交じりに真面目な話をごまかすようにリュミアさんは言う。確かに、リュミアさんがいなければ俺はどうなっていたか…。もしかしたら、俺を彼女と引き合わせるためにニュートは俺をここに連れてきたのか…。なんというか、俺って本当に助けられてばかりだ。

 

「そうですね、リュミアさんがいてくれて良かったです。本当にありがとうございます」

 

「わらわに感謝せよ。だがシノ、今のは少しおぬしを小ばかにしておったのだぞ?怒らぬのか?」

 

「いや、本当にその通りなので反論なんてできませんよ」

 

「・・・少し、天然なのかの?まあよい、それより街まで先は長い。シノ、準備をを済ませたのち旅立つとしようぞ」

 

「はい」

 

そうして俺たちは朝食を食べたのちリュノアさんと俺は歩みを進めた。数十分歩きリュミアさんはこの付近に詳しくすぐに湖を発見し水を確保する。彼女はは不思議な人だ。魔法使いであるためか不思議なものを持っている。例えば水をすくうときに使用した珍奇な魔法瓶。興味本位で尋ねてみる

 

「これか?これはドワーフが鋳造し水の精霊の加護を施した瓶であり名はチューワイデン。どの様な汚水でも純水に変えるろ過の瓶だな。ここの水は大丈夫であろうがわらわはこうして飲むのが好きでな」

 

水魔法があれば大丈夫じゃないんですかと聞いたが魔法は魔力を消耗するので必要最低限しか使用しないと返答した。それと

「魔法の水はおすすめできぬ。なにせ魔力を帯びているゆえのどを通るようにはできておらぬ。・・・しばし身を清める。覗くでないぞ」

 

そしてその後彼女は体を清める為衣服を脱ぎ俺は急いでその場を去る。数十分後

 

「ふう、やはり行水は欠かせぬな。シノ、おぬしもどうだ?」

衣服に着替え終わった後そう勧めるリュミアさん。・・・そういえば体を洗うことはあまりなかったな

リュミアさんに不潔と思われたくないので俺も湖で体を洗う。すると

見ていた。隠そうともせずリュミアさんは裸の俺を見ていた。・・・ええぇ

当たり前だが恥ずかしくて死にたくなる。体を両手で隠しながら赤面になる

「・・・ふーむ、なかなかいい体つきをしておるなシノ。もう少し鍛えれば戦士になれるな」

「いや、何覗いてるんですか!!男だからと言って見ちゃだめですよ!!!」

「いいではないか!眼福であるぞ!!」

だが恩人であるため反論はできずすぐにそそくさと着替える。はあ、ろくに体を洗えなかった・・・裸も見られたしお嫁にいけない・・・

 

当然俺はふてくされていた。なにやら反省していたリュミアさんが何か言っているが聞く耳は持たない。

「すまぬシノ!!なんというか・・・いい体をしていたのでな。顔豹も良く背丈も高く顔も良いのなら覗かぬわけにはいかなくてな・・・てへへ」

お世辞なら結構。俺はそんな大層なもんじゃないと自覚しているし運動不足の俺がそんな体なわけがないのは目に見えている

だがリュミアさんは恩人だ。これくらいなら許してもいいだろう

「わかりましたよ。でも次はないと思ってくださいね」

「シノは優しいのう。まあそのお礼と言ってはなんだが・・・ひとつ魔法を教えようぞ」

マジか・・・!魔法を教えてくれるなら裸体のひとつやふたつ問題ではない。なので早速教えてもらうことにした

 

「魔法とはな。生来持つオドと自然界のマナの二つにわかれておるでな。シノは悪いがオドを持っているとは思えぬ。だからこの世界の理からマナを得て魔法を発現させる。まあ、基本的にオドを使用する魔法使いはそうそうおらぬから安心せよ」

するとリュミアさんは杖の様なものを俺に渡す。多分それは触媒だろう、何の素養もない俺が何もなしに魔法が使えるはずもない。

「これを使うといい。消耗品の杖であるが多少の魔法が使え安価で買える代物だ。値が張るものは高度な魔法が使えるが消耗が激しいゆえよほどの上級魔具でない限りはこれを多数所有する。使って見よ」

といわれてもリュミアさんにはなじみがあるモノでも俺にとっては未知の領域だ。なのでまずどうやれば魔法が使えるか全くわからない。それを失念していたリュミアさんはそのことに気づき頭を小突く

「おっと、まずは魔法の術式から教えねばならなかったな、失敬。まずは大気と同調せよ。そう難しいものではない。そよぐ風、地面の温度、群生する草木、太陽のぬくもり、とここまで感じれば上等だろう。森羅万象のエネルギーを肌で感じ一体となりそこから魔法は生まれる。そこからシノは言霊を読み取りそれを具現化し魔法は初めて現実に解き放たれる。言霊、これが一番大事だ。魔法は言葉によって紡がれるものだからの」

・・・それってめちゃくちゃ難しいじゃないですかヤダー!考えるな感じろ精神ってことでおk?それは俺には到底無理な所業だ。半ばあきらめ気味だがこれからの生活に必要不可欠でありここでリュミアさんに恥をかかせるわけにはいかない。一泊呼吸をおき・・・さきほどリュミアさんの言っていたことを実践する。大気との同調。まったく経験がないからできる自信はないが心を無に、肌に感じるものを吸収するように身を任せた。すると、脳内に情報が流れ込んだ。感じる総てが情報となりそして俺は、

≪-奏で紡ぎ寿ぎ祝賀せよ永久の調べよ。その歌は呪言か呪詛か祈祷か祈願か表裏の理に無謬も誤謬もあらず。生と死は円環であり獣は肉を喰らいやがて朽ち果て土へ還らん。そして更なる命萌ゆり産声あげん。ゆえに我は問わん。この世界は残酷だ、流血なくして歴史あらず。されどそれにより連綿と紡がれ歴史は命の系譜となる。残酷なくして美しさはなく醜悪を見ず美麗を求むるならば汝永久に目を閉じよ。清濁併せ呑め。それこそこの世界の証とならん。だから死と再生の輪廻の許我は告げる。‐喰らい貪り血肉を求めよ。そして新たな命を汝は産まん。積み上げ崇め奉れ人骨の柱。闘争と平和は犠牲なくして成り立たぬゆえ、殺(いか)せ殺(いか)せ命の輝き。その灯消えるまで――――死の山土となり血の河のどを潤さん…!生きろ、そして死にたまえ…!!現れよ、骨の塔(バベルボーン)!!≫

瞬間、ガキッ、と何かがはじける音がした。なんだろう?視界が真っ赤で黒くて目から口からおびただしい血が…

「・・・!?し、シノォォォォ!!!」

 

「目が覚めたか?驚いたぞ。初めて聞く魔法に直前にシノが血まみれになったのでな。幸い外傷はなく出血がひどかったが治癒魔法でどうにかできたのが幸いだ。血の補給はさきにわらわが捕まえた鹿と魚で補えよう」

「す、すみません…」

「謝るでない。魔法を知らぬシノに魔法を使えと無理を言ったわらわが悪い。まさか使えるとは思わなんだが…。どこで習ったその魔法は?わかるのはあの魔法は二度と使わないほうが良いということだ。発動はしていなかったが禁呪の類にも見えたからもし実現していればまずいことになったということはわかる」




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