このような拙作を読んでくれている方がいて、嬉しい限りです。
ところでUAってなんなんでしょう?
『第一試合終了。 両者SE残量0%よって、ドロー』
試合終了を知らせるブザーと共に、金属の塊が地に堕ちる音が響く。
巻き上げられた砂埃が晴れたアリーナには、二機のISが転がっていた。
「あはは、あははははは「ははははははははは」」
無様に地に伏せているのに、気分は爽快で、それが無性に可笑しくて笑っていた。
気づけば同じように倒れていたオルコットさんが、やはり同じように笑っていた。
「流石代表候補生だね、オルコットさん、やっぱり強いわ。 最後のビットとかいつの間に?って感じだったし」
「橘花さんこそ、あの瞬間加速はどうやってやっていますの? テレポートでもなされているのかと思いましたわ。 あと、その…… セシリアと呼んでくださいまし。 出来れば対等な友人として付き合いたいので」
そう言ってから、ふと恥ずかしそうにはにかんだ。
普段の凛とした立ち振る舞いだけでなくこんな姿も様になっていて、少しうらやましいな。
「うん。 セシリア、これからよろしく。」
『貴様ら、 いつまで転がっているつもりだ? アリーナの使用時間は限られている、 さっさと次の用意をしろ』
せっかく、盛り上がって来たところなのに。
「第二試合は、オルコット対織斑だ。 三十分後に開始する。 両名共、五分前にはカタパルトにスタンバイしろ…… まったく、むだな時間をとらせてくれる。」
アリーナはいつだって予約で一杯になっていることくらいは、容易に予想できるだろうに、もうすこしいそげんのか…… あいつらときたら。
「ふふふ、なんだか、嬉しそうですね、織斑先生」
表情に出しているつもりは、無かったがのだが…… どうやら出ていたらしい。
「なに。 少しばかし昔を思い出していただけさ。 そう言う山田先生こそ、嬉しそうじゃないか」
「私も、 昔を思い出していたんですよ。 皆さん元気にしているでしょうか」
「ふん、 あいつらが元気で無い姿など想像も出来んよ」
試合を通じて知り合い、試合をつ交流を深めてきた彼女達とは、所属や、立場、利害を超えた友情を育むことができた。
願わくば、あの愚弟にもそのような良い出会いがあって欲しいものだが……
「あ〜、千冬先輩。 織斑君のこと考えてますね?」
「な、何の話だ?」
「顔に書いてありますよ〜。 でもいいんですか? ISの試合を通じてっていうことは、相手は皆女の子なんですし。 お姉さんとしてはしんぱ……って、痛い!? 痛いです先輩、頭が割れちゃう!!??」
「まーやー。 知っているよな? 私がからかわれることを嫌うのは知っているよな!?」
懐かしい話をしていたからだらう。
まだ私が代表をしていた頃のように、二人で軽口を叩き合いながらじゃれあっていたのだが……
ふと横を見ると、生徒達がこちらをみていた、なんだか引かれているようだが。
「貴様ら、いつまで眺めているつもりだ? エアーストがもどるのはBピットだ、さっさと行ってやれ。 あぁ、それと更識、悩みがある時は、体を動かすといい。 オススメはISで戦うことだ。 相手は誰だっていい、全力で当たれればそれでいい。 話は終わりだ、それ、さっさといけ」
以前、姉のほうの更識から相談されていた悩みの解決と、照れ隠しで一石二鳥だ。
何かに気づいたような顔をした更識と、それを嬉しそうに眺める布仏を急かしながら、私はふと思いついた。
「山田先生。 今度のゴールデンウィークにでも同期の連中を集めて、同窓会のようなものをやらないか?」
「それは、いいと…… 思いますけど。 まずはおろしてーー!!」
「本音…… これと、これと…… あとこれとこれを有るだけ取ってきて。 残りは私が」
Bピット脇のIS整備室で、ISの整備に必要なものを用意しながら、私は先ほどの織斑先生の台詞について考えていた。
彼女は、私の悩みを知っていた。
一体誰が言ったのだろうか…… 私が言うわけは無いのだから、この悩みを知っている本音か? それとも感の良さそうな橘花か?
どちらでも無いような気がする。本音はこういうことでは本人の意思を尊重するし、橘花は一を聞いて十を知り、八位を無視するタイプだ。
だとすると残るのは、もう一人の当事者である姉さんだけになるのだが…… ありえるのだろうか?
正直、他人に悩み事を相談している姿など、想像もつかないのだが……
「お嬢様〜。 持ってきたよ〜、 おーもーいー」
いや、今はそんなことを考えている場合じゃなかった。
今は、悩みなど忘れて
「お待たせ、本音。 あと……お嬢様って呼ばないでっていつも言ってるよね?」
織斑先生に急かされてピットに帰ってきた私と橘花さんを出迎えたのは、モニターや、テスター、予備のエネルギーパックに多種多様な工具だった。
ピットの床一面に所狭しと乱雑に並んでいるそれらを見て、呆然とした私達を正気に戻したのは橘花さんの友人のセリフだった。
「やっときたね〜。 さぁ、整備を始めようか〜。 まずはすぐに試合があるセシリアさんからやろうと思うんだけど、私達に手伝わせて貰えるかな〜?」
「いいんですの? わたくしのISよりも橘花さんのISを見たほうが…… だってお二人は…………」
橘花さんのご友人なのですから。そう続けようとした時、更識さんのほっそりとした指に口を抑えれた。
「オルコットさん。 私は学校の先生がこのんで使う言葉で特に理解出来ないものが、二つある。 一つは、友達の友達は友達というやつ「「「…………は?」」」」
更識さん以外の二人と、私のリアクションがかぶっていた。 どうやら二人にしてみても、予想外だったらしい。 だって状況から考えたら真逆な行動をとっているように、思えるのだから。
「何をおっしゃっていま「最後まで…… 聞いて」…… わかりましたわ」
「もう一つは…… クラスメイトは皆仲間とかいうやつ。 どちらも…… どうしても理解出来なかったし、信じられなかった。 だけど、いまこの時だけはこの言葉を信じたいと思った。 あなたの戦う姿は、同じ代表候補生として、それ以前にISに携わるものとして…… 経緯と憧れを抱くのに十分すぎるものだった」
そう一気に言った後、彼女は微笑みながら続けた。
「…… だから、オルコットさん。 もしよければ、 私達ともお友達になって欲しい」
「ええ。 ええ。 こちらこそ、よろしくお願いいたしますわ、 簪さん、本音さん。 わたくしのことはセシリアとお呼びくださいまし」
「わかった…… セシリア」
「わかったよ〜。 セッシー」
「いえ、ですからセシリアと…… まぁいいですわ。 ではISの整備を手伝っていただきますわね」
「「「了解」」」
「「「三十分後」だよー」ですわ」
「三人とも…… 誰に向かって言ってるの?」
『織斑、オルコットの両名はカタパルトへ。 第二試合を間も無く始める』
簪さんのツッコミをスルーして、私はカタパルトに載る。
「では、勝ってまいりますわ」
「いってらー」
「…… 応援してる」
「がんばってね〜」
友人達の応援を背にアリーナに、降り立つと、そこには純粋な白が先客としてまっていた。
「おまたせしてしまいましたか?」
「いま来たところだよ」
「フィッティングとフォーマットは?」
「おかげさまで。
「そうですか。 では、始めましょう。 倒しますわ、あなたを」
そう嘯きながら、近接用のインターセプターを呼び出し、スターライトmkⅡに着剣。
『第二試合を開始する。』
織斑先生の合図とともにアリーナにブザーが響き、蒼と白が激突する。
そして……
『白式、SE残量0%。 よって勝者、ブルー・ティアーズ』
「いやー、 セッシーすごかったね〜。 一番最初の銃剣突撃、まさに大英帝国って感じだったよ〜」
「ビット操作も相変わらず…… 精密だった」
「壁際に追いやられた、一夏君を一方的に撃ってた時の顔。 怖かったわ〜。 鬼か何かかと」
「あれは、一夏さんがまだISに慣れていないから出来ただけですわ。 だって最後の方はヒヤヒヤさせられる場面が何度もありましたし。 それと橘花さんは後で、OHANASIがありますわ」
どこかウットリした視線を反対側のピットにいる一夏君に送りながらセシリアは続ける。
「SE残量の差がどれだけ開いても、諦めの見えないあの眼差しには、惹かれる物がありますわ」
「んー? もしかしてセッシー、惚れたー?」
「そ、そんなわけけ…… ゴホン、そんなわけないでしわ。 そ、それより橘花さん、次試合でしょう。 お行きなさいな」
「だね、んじゃ」
ーシステムチェック
ーシステムオールグリーン
ー同調率43.7%
ーメインシステム 戦闘モードを起動します
「フロム・インダストリー、アンファング…… 出る!!」
私が、ピットから飛び出すのとほぼ同時に、一夏君も出て来たのだがなんだか様子がおかしい……
「一夏君、大丈夫? かなりひどい顔してるけど……」
「そ、そんなにか?」
「FXで全部とかした人か、姉に姉弟物のAV見つかった人に見えたくらいには」
「そんなにか!!?? ただ単にボロクソにけなされただけだよ」
「…… 言ってて悲しくならない?」
「………… ほっといてくれ」
一夏君をからかいながら、彼のISを観察する。 何だろう、西洋甲冑をもしたような曲線的なデザインをした本体はまあいい、装甲を見ても、
問題は武装だ。 見える限りでは、手に持ったブレードしか無いように見えるが、ブリュンヒルデ、つまり千冬先生じゃあるまいしあれだけということは無いだろう。 気をつけないと……
『お二人とも、用意はいいですね? それでは第三試合、開始します』
「箒に教わった剣道と
なんて大声で叫びながら、近接用のブレードを大上段に構えて瞬間加速を使いつつ一直線に接近してくる。
本当に、一週間でものにしたのか、なかなか凄いが……
「もらった!! …… っ!? ぐうぅ」
重たい金属同士のぶつかり合う音と、それに続いて、爆発音に似た轟音が響き渡り、一夏君がアリーナの壁に叩きつけられる。
彼には何が起こったかわからないかもしれないが、話は簡単だ。
彼の瞬間加速にタイミングを合わせて、私もあえて後ろに引かずに前に瞬間加速を吹かし、隙だらけの腹部に膝蹴りを叩き込んだのだ。
「一週間で、瞬間加速を会得したのはすごいと思うけど、馬鹿正直に真っ直ぐ突っ込んじゃうといい的だよ。あと、千冬先生から受け継いだ零落白夜の威力は、ISに携わる人なら誰しもが知っているけど、高速戦闘がメインのISで大上段は正直どうかと思うかな〜…… って聞いてる? おーい」
まさかとは思うが、気絶してないか? あれ。
「コントロールルーム、こちらアンファング。 織斑一夏のバイタルチェックを、おそらく気絶していますが、試合は続行します?」
『確認した、これ以上続けても仕方が無いだろう。 試合は終了だ、 悪いがそいつをAピットまで運んでおいてくれ』
「了解了解っと」
『織斑一夏が気絶したため、試合は終了とする。 勝者、橘花・エアースト』
千冬先生の宣言と試合終了のブザーを背に聞きながら私はピットに戻った。
………… 一夏君をお姫様抱っこで運びながら。
次回は、就任パーティーとかその辺りを予定しています。
批判、批評等、いつでもどなたでも大歓迎です。 どうぞボロクソに言ってやってくだせいw