【完結済】Fate/Grand Order 煉獄魔境大罪記ゲヘナ/虚ろなる煉獄の聖杯【長編版】   作:朝霧=Uroboross

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二話連続投稿!わりとギリギリ!!きつぅ!?

ちょっとグダッたかもしれないけれど、投票が決まる時間稼ぎとしてはいい、かなぁ……?





8-3 巨獣、語る

 

 

 

 視界一面に広がっていた眩いほどの光が晴れる。未だ閃光に目を瞬かせながら、立香は辺りを見回す。

 立香の正面から、放射状に無傷の舗装された地面のままであったが、それ以外────エミヤのアイアスによって護られていた場所以外は、クレーター状に焼け抉れていた。

 

「無事か、マスター…」

「っ、エミ──────ヤ?」

 

 その荒唐無稽な光景に呆然としていると、脇から声を掛けられる。立香がそちらへ振り向くと──────

 

 

 ────片腕を押さえて、よろけながらこちらへ視線を向けるエミヤの姿。

 エミヤだけではなかった。よくよく見れば、クレーターの外縁部には、相当なダメージを負ったサーヴァント達がちらほらと倒れ伏していた。

 

『まだ、生きていたとはな』

「ッ!」

 

 立香の頭上に影が差す。仰ぎ見れば、こちらを睥睨するサタナエル。その霊基は既に崩壊を止めきれず、今もなおボロボロと崩れて去っている。

 しかし、それでも以前としてその強大なまでの存在感を発しており、立香を圧する。その前に立ち塞がるのは、片腕をやられたエミヤ────だけでなく、サタナエルの攻撃から耐え残った数名の者達であった。

 

「マスター、は……やらせない…っ」

『……ふん、手負いの獣風情が。──────いや、オレも、か』

 

 自嘲するかのような反応を見せるも、衰えることのない覇気をもった目を彼らに向ける。崩れ落ちる身体に意識を向けることなく、ただ敵のみを見つめる。

 

『抑止の守護者共……叶わぬ夢想を追う偽善者共め。この期に及んで、なおその無能な人間を護るか』

「当然、だとも……生憎、サーヴァントはマスターを護る役割を持つもの、だからな」

 

 それは嫌悪と憐憫と、なによりも侮蔑を込めて発せられた言葉であった。

 だが、その言葉に皮肉を交えて返したのは、誰でもないエミヤであった。手負いになりながらも、その覇気に圧されながらも、立香の周りに集う英霊達は臆さない。

 

『下らぬ。どれだけ此方が期待を寄せても、その全てを拒絶するのが人間だ。そうであろう──────正義の守護者とやら』

 

 眼孔を収縮し、エミヤを睨む巨竜。否、エミヤのみならず、その場に立っている全員を、その複数の眼で捕捉していた。

 何も言わずに佇むエミヤ。彼が考えているのははたして、己の過去か、歩んで来た今(殺してきた人)か、何も語らず黙している。

 

「……正義とは、蒙昧なる定義だ。人間は、それ無くしては生きられん。そして、必然的に拒絶するだろう。だがな──────それを語るのは貴様ではない」

『────なに?』

 

 サタナエルの眼が一人に向けられる。

 他の者よりかはいくらか傷は少なくみえるものの、それでもところどころ傷が見えるコートの厳窟王。サタナエルからの視線を正面に受けてなお毅然とする。

 

 

「人の正義と拒絶を語るのは貴様ではないと言ったのだ、大悪魔よ。貴様が語るそれは、まさしく幼子の癇癪であり、貴様が憂うそれは、道半ばで挫折した者の狂言に過ぎん」

『言うな?復讐者。ならば貴様はどうなのだ。そうあれと望まれ、歪められ、元あるべき姿を亡くした貴様は』

 

 竜の小指が落ちて砕け、粒子となって消えていく。徐々に崩壊が進んでいくのも気にせず、サタナエルはその"存在(サーヴァント)"を見る。

 と、そこで前に出たのは、頭から一筋の血を流しながらも、屹立とする魔神沖田である。

 

「そうだとして、歪められたとしても、守りたいもの、やりたいことがあるならば、私達はそれな向かって進むだけだ。そこに何の違いもない」

『……粋がるなよ半端者。兵器モドキが、知ったような口を聞くな。存在すら許されなかったモノ風情が、夢を語るなぞ反吐が出る』

 

 そう吐き捨てると、今度はネロを見てその目を細める。

 それはどこか懐疑的で、どこか納得したようで、それでいて────どこか、寂しそうであった。

 

『──貴様もそちらに付くというのか、"ネロ・クラウディウス"。己が愛を理解しなかった民に責め立てられ、裏切られ、あまつさえ見棄てられた貴様が』

「……無論だとも、余がマスターに付く。当然のことであろう」

「…(あれ……?ネロだけ名前で……)」

 

 毅然として答えるネロを見ながら、立香はふと疑問に思う。もしも今、立香に余裕があったならば、そな疑問を問いただすことが出来たのだろう。

 しかし、その疑問を解消することも、その真偽を問い質すことも、それを行う前に、サタナエルの言葉に返す者がいた。

 

「例え愛した者に裏切られ、その果てに非業の最期を迎えたとしても、僕らはそれを恨まない。なぜならば、その過程にこそ僕らが生きた証があるのだから」

『ほとほと見上げた心意気よな、騎士王。だが、無駄だ。貴様らが残してきたものは既に全て消え去っている。無意味なのだよ、貴様らは』

 

 嘲笑うかのような口調でアーサーに答える。余裕を見せるかのようではあるが、その顔には、未だ冷めやらぬ想いが見え隠れしていた。

 そんな中、サタナエルと問答するサーヴァント達よりも前に出て、固い意思を持った目を向ける者────藤丸立香が、サタナエルと正面からにらみ会う。

 

「確かに、お前の言うとおり、俺は無力だ。けれど、皆の力を借りてるからこそ!俺は世界を取り戻す!そのためにも、お前を倒す!!」

 

 若すぎると言わざるを得ない、無謀な宣言。故に、その言葉にサタナエルは顔をしかめるどころか怒りに歪ませる。

 己を顧みず、意味のないものに尽くし、そして喪う。結局は無意味に帰すような、人々から廃棄される願い。それに再び怒りが吹き出していく。

 

『────ならば、構わん。委細合切討ち滅びよ。二度目の再誕────地上への現出を絶たれたとは言え、一度目の再誕────存在の現出は既に済まされた。たからこそ、だ。──ただでは死なんと思えッ!!』

 

 サタナエルが残った巨腕を振り上げる。サーヴァント達が立香と並び、自身に各々が構える。

 決着は近付く気配を感じながら、崩壊するまでの力を振り絞らんと、『獣』の抵抗が始まる──────。

 

 

 





次で『獣』としては決着します。させます。

とりあえず、投稿でどこか誰か抜きん出てくれると楽……(漏れる本音)。




【修正版】サタンvs◯◯!!エンディングに見たいのは! 【主土下座】

  • 正義を夢見た守護者
  • ただ一度の為の魔神剣
  • 獣を追い続けた聖剣使い
  • 不遜なる薔薇の皇帝
  • 監獄より這い出た復讐者
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