【完結済】Fate/Grand Order 煉獄魔境大罪記ゲヘナ/虚ろなる煉獄の聖杯【長編版】 作:朝霧=Uroboross
〈カルデア レイシフトルーム〉
立香らがカルデアに帰還し、ダ・ヴィンチ達が迎え出る。
「おかえり、首尾はどうだった?」
「はい、この通りに」
マシュの返事に続いて、立香が手に入れた聖杯を見せる。ウンウンと頷くダ・ヴィンチの後ろからホームズが現れて悩むような仕草をとる。
「しかし、結局あれが何だったのか判らず終いだったね」
「「あっ……」」
二人が思い出したように呆けた声を出す。それもそのはず。二人はベルゼビュートらとの戦闘に集中しすぎていたがために、当初の目的をすっかりと忘れてしまっていたのだ。
「おいおいマスター……しっかりしろよ……」
モードレッドの呆れ声が追い討ちをかけ、立香は恥ずかしいやら申し訳ないやらで縮こまっていた。
そんな立香を、ダ・ヴィンチは仕方ない子を見るかのように見つめて微笑みを浮かべる。
「さて、それじゃその聖杯を保管しにいかないとね」
「あ、はいっ」
マシュが慌てたように返事をして、立香から聖杯を受け取ろうとした──────その時。
「そうは問屋が卸さねェ、って言うヤツだなァ?」
そんな声が室内の響き、立香達は一気に警戒体制を取りながら声の主を探す。
ふと、立香が上を見上げるとそこには────────、
「テメェ…………マモンッ!!」
「ギャハハハ! マジで覚えてるか! 流石はサーヴァントだなァ?」
モードレッドの反応に愉快そうに笑いながら、空中であぐらをかいて座るように浮いているマモンがいた。
マモンはカルデアの面々を眺めるように見ていき、最後に立香を見た。
「よォ人間、さっきぶりだよなァ?」
「なんでここにいるんだ!?」
立香の驚き叫ぶような問いに対し、マモンは悩むような見定めるような目を向け、「そうだなァ……」と呟く。
ホームズが立香の前に出るようにしてマモンを見つめる。
「……君が《強欲》の悪魔……マモンか」
「おうともよ。敬意と畏怖を持って《グリード》様と呼んでもいいンだぜ?」
ホームズの問いかけに対して、そう嘲るようにニヤリと笑みを浮かべて答えるマモン。
立香達の後ろでは、マモンが立香達に集中しているであろう隙をついて、ダ・ヴィンチらが職員を避難させている。ちなみに現所長──ゴルドルフ所長はというと、
「き、聞いてないぞ…………カルデアに直接侵入するサーヴァントなぞ……」
となるべく気づかれないようボソボソと愚痴をたれながらも避難しようとしていた。
しかし、その呟きはマモンの耳へと届く。
「おいそこの下等なデブ」
「誰が下等なデブだね!? な、なんの用だ」
ゴルドルフ所長に向かってマモンが不機嫌そうに睨みつけて、所長の呟きに対する文句を言う。
「オレ達はサーヴァントじゃねェ、れっきとした《悪魔》だ。覚えとけゴミ」
そう吐き捨てると興味を失せたかのように視線を立香へと戻す。否、その視線は立香ではなく、その手に持つ聖杯に向けられていた。
「さ、て、と……さっさと用事を済ませるかねェ」
そう言ってマモンは、立香の持つ聖杯に向けて手を伸ばし、握り潰すような動きを見せる。すると、立香の持つ聖杯がカタカタと揺れ始める。
「おう人間、さっきの答えだ。オレサマの目的はなァ……────テメェらを"コッチ"にご招待する為だぜ」
マモンが手を握りしめる。それと同時に立香の持つ聖杯が、紙をクシャクシャに丸めたように潰れてしまう。
「あぁっ! 聖杯が!」
マシュの悲痛な叫び。そして、一瞬の間を置いて巨大な地震が起きる。カルデア中が激しく揺れ、立香達はあまりの揺れに思わず床に手をついてしまう。
そんな中、マモンは空中で両腕を広げ、高笑いをしていた。
「ハハハハハ、ハーッハッハッハッハ!! さぁ開け! そして飲み込め! 我らが《煉獄の門》よォ!!」
揺れが一層激しくなり、立香達は誰もが立つことさえままならない状態になる。
そして、突然の浮遊感に襲われ──────────。
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