【完結済】Fate/Grand Order 煉獄魔境大罪記ゲヘナ/虚ろなる煉獄の聖杯【長編版】   作:朝霧=Uroboross

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第二章 『強欲』の進行
2-1 燃え盛る世界


 空中で両腕を広げ、満面の笑みを浮かべているマモン。そのマモンに対し、揺れが落ち着いたことで立てるようになったモードレッドが飛びかかる。

 

「何しやがったクソッタレがぁぁ!!」

 

 モードレッドの袈裟懸けに降られた一撃を、避けずにその身で受けるマモン。しかし、斬られたはずのマモンからは何もなく、それどころか砂となって落ちていく。

 

『ギャハハハ! バァーッカ、オレサマが何の考えもなくそっちにいくわけねェだろゥがよ』

 

 どこかからマモンの声が響く。立香らはまたしても声の出所を探して辺りを見渡す。

 

「どこだ! 出てこい!!」

『ンなもんで出るヤツはただの間抜けかビビりだろゥが』

 

 モードレッドの怒りの声に、マモンの正論なツッコミが入る。それがモードレッドの怒りにさらに燃やし、地団駄を踏む。

 それを嘲笑うかのような笑い声が響く室内。出所は依然としてわからないまま、マモンの声だけが通る。

 

『さっきテメェらに渡したのはただの"鍵"だ。聖杯でもなんでもねェよ。ンでもってそれでテメェを"ここ"に呼んだってェワケな』

「"此処"……だと……?」

 

 ホームズが眉間を寄せ、しかしまるで恐れを抱いているかのような声をあげる。少しして、ホームズが何かを理解したかのような顔になる。だが、その額には汗が流れていた。

 

「まさか……我々が、カルデアが今ある場所は……」

『おゥ、察しがいいのは嫌いじゃねェぜ。じゃァま、外見てみな』

 

 そう言ってマモンの声が途切れる。「外を見よう」とホームズに連れられ、立香達が外周廊下へと出る。そこの窓から見た世界は──────

 

「これが…………《煉獄》…………」

 

 マシュが絶句する。窓から見える周囲の世界は、先程までカルデアのあった南極の氷原ではなく、あちこちに炎が燃え上がる荒野であった。

 

『ようこそ皆様(ニンゲンども)。我らが悪魔共の古巣、《煉獄(ゲヘナ)》へ』

 

 そう告げるマモンの声。立香が廊下を見渡すと、他にも外を見て驚く者、恐怖するもの、中には不機嫌そうな顔をしている者や事を面白そうにしている者もいた。

 三々五々な反応を見せる面々を見つつも、驚きのあまり呆然とする立香。そして改めて煉獄の景色を見る。

 

 ──────赤く、禍々しく揺らめく炎が、灼土の荒野に燃え盛る。

 空は虚空のように黒々とし、果てさえ見えないでいた。

 聞こえてくる風の音は、聞くものを震え上がら線ばかりの悲鳴のような音。それはまさしく、この世の終わりのような光景────────

 

『あーあー、見とれるのはいいが現状おわかり?』

 

 そんなマモンの声で立香達はハッと我に帰る。あまりのおぞましい光景に茫然としていた立香は、マモン────正確にはその声に注意を向ける。

 

「……君はこんなことをして何がしたいんだ?」

 

 そうホームズが虚空に向かって問う。その返答には少しの間があったが、すぐに返ってくる。

 

『……ンなもん、暇潰しに決まってンだろ?』

 

 悪魔だ。立香はそう感じた。もちろん、サーヴァントにも悪魔はいる上に、立香は魔神柱なる悪魔達と戦ったことはある。

 だが、この声の主は、ここに住む者達は皆、正真正銘の悪魔なのだと否応なく知らされる。

 

『さァさ、お楽しみを始めようぜェ? ハハハハハ!!』

 

 笑い声を響かせながら声が遠退いていく。何をするかはわからないが、悪魔故かろくでもないということは全員が痛感していた。

 

「チィ! どうにかぶっ飛ばせれねぇのかよマスター!」

 

 モードレッドの怒号が立香に向かうが、立香はどうしようもできないと首を振るばかりである。というよりも、マモンについてどうこうより、モードレッドの怒りの矛先が自分に向いて焦っているというのが正しいだろう。

 息を深く吐き、ダ・ヴィンチらが頭を働かせようとした時であった。

 

「マモン達はここを攻める気だよ」

 

 突然の声に立香達はその方向を見る。

 そこには────────蝙蝠の羽を生やして滞空する、妖精サイズの青年がいた。




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