【完結済】Fate/Grand Order 煉獄魔境大罪記ゲヘナ/虚ろなる煉獄の聖杯【長編版】 作:朝霧=Uroboross
覚悟を決めたような、そんな気合いが見えるベルフェゴールから伝えられたのは次の通りだった。
1,カルデアを攻める件を提案したのは『虚飾』の悪魔。
2,真っ先に『憤怒』が賛同したことで他の者達も賛同し始めたこと。
3,しかしそれでも中立にいる者達がいること。
の三点だった。
「あのあの~? ワタクシのことは無視ですかぁ?」
メフィストをまるで示し合わせたかのようにスルーする一同。一部からは、あれは関わらない方がいいオーラさえでている。
そんな味方がいない状態のメフィストは、それでも笑っていた。
「ん~、ひっじょーっに手厳しいですなぁ!」
立香達はベルフェゴールから聞いた話を元に、これからのことを考えていた。
ベルフェゴールから与えられた情報は、先の3つだけではなく、大まかな能力値についても知らされていた。しかし、詳しいことは未だ話せない状態であり、不正確な部分が多くあった。
「とは言え、これ程の情報ならかなり役に立つね」
と、ダ・ヴィンチの言。職員達と共に持ってきた携帯端末をいじりつつ、知り得た情報を整理していく。
現在の状況は、煉獄へと強制的に引きずり込まれた形のカルデアにマモン率いる軍勢が向かっており、総数は千近くにも上るという。
ふと、立香がダ・ヴィンチに頼み、マモンの姿や戦闘データを表示してもらう。
「……ほう? これが見慣れぬ宝具を使うなどというマモンと言う輩か。気に食わんな」
不機嫌そうな声を上げる"賢王"ギルガメッシュ。しかし、そんな不機嫌さとは裏腹に、体がウズウズとしているのが見てとれていた。
「自分の知らないものを見たいんだね、わかるとも」
ウンウンと、ギルガメッシュの隣で頷いている鮮やかな緑髪のサーヴァント──────エルキドゥの言葉に、ギルガメッシュは、
「違うわ! ただ我の知らぬ宝具があることが許せんだけだ!」
照れ隠しなのか、怒号混じりで反論しているが、エルキドゥはニコニコしたままギルガメッシュを見ている。
そんなギルガメッシュに、ホームズが問いかける。
「賢王、あの手の宝具は?」
「知らぬ。我が知らぬ程のものだ、何かしら"遇った"ものなのだろうよ」
鼻を鳴らして答えるギルガメッシュ。ベルフェゴールからも詳細は話せないことから、マモンの考察はここまでとなった。
続いて、ベルゼビュートの映像えと切り替わる。
「これは…………私の《
そんな感想を漏らす"騎士王"────アルトリア。確かに、ベルゼビュートの風は醸し出す空気さえ覗けば、アルトリアの《風王結界》と酷似している。
だがしかし、確実に違うのは────────、
「いや、あれは私と同じ嵐の力だ。"私"の《風王結界》とは似て非なるものだ」
室内でありながらも騎馬形態にて佇む、《ランサー》の反転した獅子王ことアルトリア・オルタ。
その眼光は鋭く研ぎ澄まされ、ベルゼビュートの風をにらんでいた。彼女の他にも、嵐に縁のある者達は皆様々に顔をしかめている。
「クハハハ! 面白い! かの監獄搭の番人たる大罪ではなく、本物の大罪悪魔が来るとはな!」
高笑いを響かせて立香の影より現れる"岩窟王"エドモン・ダンテス。
エドモンは立香を睥睨し、そしてまた高らかに、声高々に語りかける。
「さぁどうするマスター! 悪魔を相手に、この果ての地の監獄に! 貴様はどう動く!」
「言うまでもないさ、迎え撃つ!」
立香の即答に、一瞬呆気にとられたものの、今まで思案していた者達は笑みをこぼし、難儀していた者達は口元をつり上がらせ、闘気を燃やし始める。
徐々に室内に熱気が立ち込み、各々の反応を示していく。
ある者は立香を激励し、ある者は静かに武具を磨き、ある者は鬨の声を上げる。
「す、すごい…………」
その光景に、ベルフェゴールは驚く。いかにサーヴァント、いかに召喚体とは言え、ただ一人にここまでの信頼が寄せられていることに。ただ一人のためにここまでの熱気を見せる、その事実に。
「さぁ始めよう、よろしくベルフェゴール」
立香の呼び掛けが聞こえる。ベルフェゴールはその声にいわれのない高揚感と期待を胸に抱いていた。
──────いつか、いつか僕も。そんな、今の今まで思うことのなかったことをいつの間にか抱いていたことを、ベルフェゴールはまだ知らなかった。
Twitterにベルゼビュートの設定画を乗せています。マモン、ベルフェゴールはもうしばらくお待ち下しぁ…。