【完結済】Fate/Grand Order 煉獄魔境大罪記ゲヘナ/虚ろなる煉獄の聖杯【長編版】   作:朝霧=Uroboross

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2-6 強欲の侵攻

 〈カルデア 管制室〉

 

「遠方より多数の魔術反応! 及び、霊基名『マモン』の反応あり!」

「落ち着いて、状況報告」

 

 カルデアの管制室にて、職員たちの怒号の混ざった報告があちこちにて上がる。室内には、《"虚数潜航艇"シャドウ・ボーダー》より借用された観測機器が置いてあり、その機器の中心には《キャプテン》がいた。

 

「総数、約7000強! 推定時速、約100km! カルデアまでの距離、推定50km! あと約30分後に接敵します!」

「速いな…………」

 

 ホームズの真剣味を帯びた声が、職員の報告への返事であった。

 そんな報告と怒号が飛び交う管制室内で、一人震えたように顔を青くしている者がいた。何を隠そう、ゴルドルフ所長である。

 

「だだっだ、大丈夫なのかね!? その数相手に勝てるんだろうな!?」

 

 ついぞ先ほどマモンの威圧を直に食らい、その恐ろしさを体感したゴルドルフ所長はこの上なく不安そうにしていた。

 そんなゴルドルフ所長をなだめるようにホームズが言う。

 

「勝てないわけではないでしょう。こちらには、一騎当千のサーヴァント達がいる。それに……」

 

 ホームズはそこで句切ると、外部を映すモニターの中で、堂々と迎え撃つ用意をしている立香を見る。

 

「魔術王さえ退けた(マスター)がいます。後は彼に任せるしかありません」

 

 怯えたような顔をするゴルドルフ所長に、ホームズはそう言いながら立香を見続ける。

 そして、立香らの視線の先に来るであろう、悪魔達の大軍に意識を向けていく──────────

 

 

 

 

 

 

 

 

 ──────〈煉獄 カルデア付近〉

 立香らは、いつマモンが来てもいいようにカルデアの外縁部にて布陣を整えていた。

 側にはマシュが立ち、周りには頼もしい英霊達が今か今かと待ちわびていた。

 

「──────! 先輩! 管制室から、大軍が接近中。まもなく目視範囲に入るとのことです!」

「っ、分かった。皆、来るよ!」

 

 立香の声に全員が無動作で、しかし強い意思を持って呼応する。

 待つこと少し。遠くより爆音と長大な砂煙が見え始める。

 

「────ヒュゥ、大軍勢だな。しかもあれバイクじゃん」

 

 サングラスの上に手を掛け、遠くを見るようにしていた金時が口笛を吹きながら目視する。

 立香も、金時の見ている方角を見る。そこには数多のバイクに乗った人に似た悪魔達が、カルデアに向かってきていた。

 

「ほう、よもやここまでの軍勢とは。なかなかに滾るというものではないか」

 

 イスカンダルのその闘志溢れる台詞を始めとして、その場にいる様々なサーヴァント達が臨戦体勢を取っている。

 立香はその様子を傍目に、軍勢を見ていた。その先頭でたなびく紅髪──────マモンを見据えて。

 

 

 

 

 

 ──────愛機を走らせ早数刻、ついにカルデアのある目立つ岩山が見え始める。口角をあげ、メガホンのような宝具────『奉ろわぬ者の角笛(エイジ アザー ホルン)』の口をカルデアに向けると、

 

「スゥー…………『"宣戦"! 七大罪《強欲》のマモンッ! 予告通りテメェらを蹂躙してやらァ!!』」

 

 空気が揺れるかのような大音響を鳴らして宣言する。その宣言と共に、背後で走っている悪魔達のうち、2人乗りをしている者達の内、後部にいる悪魔らが大砲のようなものを構える。

 

「"魔砲"、撃てァッ!!」

 

 マモンの号令と共に無数の魔術砲弾が打ち出されていく。その全てがカルデアへと向かい──────しかし、当たることはなかった。

 なぜならば、当たる前に突如として白亜の城壁が現れ、その全てを弾いたからである。

 

「ハ、ハハ、ハッハッハッハっハァ! やァっぱそうじゃねェとなァ!!」

 

 マモン自身もいくつかは防がれるだろうとは思っていたものの、全て弾かれるとは露程にも思っていなかった。

 だがそれでも、まだ見ぬ強敵達に対して、マモンは腹の内から燃え上がる闘志を抑えきれずにいた。




手持ち大砲(魔砲)は自衛隊でも使われている迫撃砲をイメージすると近いかもしれない。
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