【完結済】Fate/Grand Order 煉獄魔境大罪記ゲヘナ/虚ろなる煉獄の聖杯【長編版】   作:朝霧=Uroboross

24 / 114
2-10 蠢く万魔殿

「チィッ! あぁもううぜってぇなぁッ!」

 

 苛立ち任せに剣を震い抜く。しかし相手────マモンの分身はさしたる難もないかのように受け流して後ろへと退がる。

 対するモードレッドは、鎧はあちこちが欠けており、疲労困憊といった様子であった。

 否、モードレッドのみならず金時やグレイらも息を途切れ途切れにしつつマモンの分身と相対していた。

 

『ハハハッ、そう簡単にやられるわけねぇだろ』

 

 嘲るかのように笑い声を上げるマモンの分身。その様子がまたモードレッドの勘に障る。

 しかし、沸き上がる怒りと反対に、体はすでに言うことを聞かなくなりつつあり、踏み込もうとした瞬間モードレッドの足が、一瞬力が抜けてしまう。

 その隙を見逃す程甘くはないマモンが迫り、モードレッドは内心で自らを罵倒する──────だが、

 

「──────ふん、他愛のない」

 

 金色に輝るいくつもの武器がマモンの背に突き刺さっていく。それとともにマモンの分身体は黒く染まったかと思うと、泥のように溶けて消えていく。

 ふと、モードレッドが響いた声に既視感を覚えて顔を上げると、

 

「なんだ? セイバーに似た顔をしておる癖に、この程度も退けられんのか」

 

 傲岸不遜に言い放つ黄金の鎧を着た男────ギルガメッシュが空から降りてきていた。

 その直後に、背後から鎖が絡み合うような音が鳴り響き、ハッとしてモードレッド振り替えると、丁度エルキドゥが他のマモンの分身体を蹴散らしていた。

 

「はぁ…………メンドクセェやつに助けられちまったな」

「ほう? その物言い、我を恐れぬと見えるな?」

 

 一触即発もかくやという空気に、グレイはどうしようかとあたふたしていると、エルキドゥが微笑みを浮かべながらギルガメッシュの元へと近寄っていく。

 

「ふふふ、ほんとは早く戦いたくてウズウズしてたんだよ、ギルは」

「…………」

 

 そう言われ、なんとも言えなさそうに黙りを決め込むギルガメッシュ。その姿に呆れたモードレッドがまたしても減らず口を叩こうとしたその時、巨大な地鳴りが起きる。

 

「ぬっ」

「うおっ!? なんだっ!?」

「きゃぁっ!?」

 

 突然の地震に驚く一同だった。が、次の瞬間、全員が絶句する。なぜなら──────

 空間を裂いてとてつもない大きさの茨が溢れでできたからである。

 

「おいおいありゃヤベェぞグレイ!!」

 

 アッドがこの上ない危険を察知してグレイに告げるが、時既に遅し。大茨はモードレッド達を飲み込み、周囲を凪ぎ払いながら、半径1kmほどもあるかのような円を描き始める。

 そしてそのまま茨が上へ上へと伸びていき、まるで鳥かごをつくるかのように空中の一点に集っていく。

 

 ────『貪欲樹海の万魔殿』。マモンの最大の宝具であり、決して抜け出せない人の欲の性を表したかのような"城塞宝具"。荒れ狂う茨は全てを飲み込み、その命果てるまで閉じ込め続ける──────

 

「この程度で我が止められるとでも思ったか」

 

 不動の黄金が仁王立ちで、迫り来る大茨に向かって言い放つ。それとともに背後で宝物庫を開き、無数の武具を射出し、茨を粉砕していく。

 しかし、茨の勢いはそれに止まらず、ついには茨のトゲが串刺しにせんと伸びてくる。しかし、それらは少しばかり余裕のできたモードレッドらが弾き返していく。

 

「クソッ、いつになったら終わりやがるんだ!」

「無駄口叩いてる暇はなさそうだよっ!」

「おうおうおうこいつぁとんでもねぇな!」

 

 各々がそう言い合う中、エルキドゥは内心で冷や汗をかいていた。なぜならば、迫り来る茨は波のように、遅い来るトゲは鋼鉄の剣のように鋭く硬かったのである。

 それらが何千と遅い来る光景は、自分たちでなければたちまち串刺しとなっていたであろうことが用意に想像つく。

 

「はぁはぁ……止んだか?」

 

 モードレッドの息切れる声が聞こえる。そこにはすっかり勢いをなくして静かになった茨の樹海が出来上がっていた。

 太い大茨は巨木のように、伸びたトゲは木々の葉のように。おぞましさすら感じさせる静けさに、グレイの背筋が冷える。

 

「…………兎にも角にも、元凶どうすっかね」

 

 金時の、困ったように頭を掻きながら発した言葉だけが空しく響く。

 そう、このようなことをしたということは、少なからずどこかにマモンがいるということ。どうしようかと皆が首を捻り始めた時、

 

「あ、あの…………」

 

 おずおずとグレイが手を上げる。そこに全員の注目が集まる。

 

「ちょっとだけだけど……、あの悪魔の気配を感じます」

「……それ、追えるか」

 

 モードレッドの短な問いに、グレイは小さく、しかししっかりと頷く。

 その答えに、モードレッドは短く鋭く息を吐くと、剣を肩に担いで空を見る。その眼光はとても鋭く、さも待っていろよと言っているようなものであった。

 

 




遅くなってすんません……
ネタと時間がとれんとです……
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。