【完結済】Fate/Grand Order 煉獄魔境大罪記ゲヘナ/虚ろなる煉獄の聖杯【長編版】 作:朝霧=Uroboross
「死ぬ覚悟はできてンだろうなァッ!!」
オレは激昂していた。いや、それは見せかけだけだ。ぶっちゃけるなら今は非常に焦っていた。
まず、第一に宮殿を墜とされたのは大きな痛手だ。あれはただの防御用の宮殿なわけじゃない。あれは所謂補助装置でもあった。
第二に、檻を壊されたのはマズイ。あれはこいつらを隔離して叩き潰すためにしていたものだった。
「ハッ、そこまでのものならば、精々丁寧に扱えば良い話であろう?」
ギルガメッシュのその返しに、その場にいたマモン含める全員の内心が一致する。
((((お前が言うなよ…………))))
「…………ぬ?」
周りをみれば微妙な顔をされていることに気づいたギルガメッシュ。
その様子に、マモンはかぶりをふって気を取り直す。先程までの、演技とは言え少なからず抱いていた怒りはほぼ霧散していたが、苛立ちはなお持っており、それを表面に浮き出す。
「はン……いいさ、強奪だ。略奪だ! テメェらの全部何もかもを奪って狂えろ!」
「ぬかせ! 貴様程度にくれてやるものなど、何一つとして無いということを知れ!」
マモンとギルガメッシュ、二人の口先争いを皮切りに火蓋を切って落とし、互いに衝突し合う。
────戦局、カルデア側:被害軽微、死者0名
マモン側:被害多数、脱落者2000強
カルデア側有利にて進行中──────
「どォら!!」
「おらよっと!」
あまりにも力任せに振り抜かれた大鎌と、雷を纏う鉞が拮抗して跳ね返る。その不意をついて金時の背後からエルキドゥが鎖を飛ばす。
だが、跳ね返った反動を使って、マモンは体を捻りながら一撃でその全てを吹き飛ばす。
「余所見してんじゃぁ────ねぇ!」
「するかよマヌケ!」
マモンの背後からモードレッドが斬りかかるも、しゃがんでかわされ、ムーンサルトのような動作で蹴り上げようとするマモン。しかし、それはかすっただけど避けられてしまう。
サーヴァントが多くいるなかで、マモンは彼らと互角以上の戦いを短く、しかし長いような時間やりあっていた。
「すみません…………っ、拙も……」
「無理しないで。君は充分に働いてくれたから」
無理矢理にでも起き上がろうとするグレイに、エルキドゥはなだめるようにして休ませる。実際、グレイな活躍がなければ、マモンの居場所が割れることはなかったのだから。
「甘いッ!」
「ぐぬァッ!? ──な……めんなッ!!」
そして、先程まで余裕を持って避けれていたはずのギルガメッシュの攻撃さえも当たるほどに、マモンが憔悴しているのもまた事実。
大鎌を振り、マモンはギルガメッシュに向けて斬撃を飛ばす。だが、振り抜いた直後、マモンの足がもつれ、マモンの意識が揺らぐ。
「油断大敵だぜ! ぶっ飛べッ、『
その一瞬を突いた金時の宝具がマモンに直撃し、その背に深い傷を刻む。
「ぐッ!? ガハッ」
初めてマモンに直撃した宝具は、その全身に迸る雷撃で体内にまでダメージが広がり、ついに明確なダメージを見せる。
そして、その空いた瞬間を逃す者はなく────
「やっと隙を見せたなクソ野郎!」
「せめて……っ、一矢……っ!」「やってやろうぜ、グレイ!」
モードレッドの雷光がごとき一撃と、グレイのアッドが変形した弓によって更にダメージを深めていく。
「ぐぼァッ! …………なめてンじゃねェぞゴルァァァッ!!」
だが、そう簡単に倒せるはずもなく、マモンの絶叫と共に膨大な量の魔力が膨らみ、圧倒的なまでの威圧感を撒き散らす。
しかしそれは、見る者からすれば、まさしく最後の一撃を放たんとしているかのようにも見える。
「オレ様は……オレは! 七大罪、『強欲』のマモンッ! このオレの全ての力と魂を込めて! 負けるわけにはッ、いかねェんだよォォッ!!」
腹の奥、魂から叫ぶかのような雄叫びとともに、おぞましい魔力がマモンからあふれだし、一つの獣の形をとる。
「死ね! 遥か彼方の亡霊共ッ! オレの『権能』と共に!」
「ほざけ! 死ぬのは貴様だ亡者! だがよく吼えた! その蛮勇を持って我が宝具を見せてやろう」
その言葉と共に、ギルガメッシュは自らの宝物庫の鍵を取り出し、一つの"宝具"を取り出す。
その裏でエルキドゥは自らのカタチを変え、ギルガメッシュと共に、己の宝具を放とうとしていた。
「行くよ、ギル。──────我は神に造られし、なれども、星と共に生きる者。人よ強くあれ、故に──────」
「身の程を知れ。畏怖を抱いて己が業を知れ。死して拝せよ──────」
赤く、神代を想わせる強大な魔力の嵐と、数多の鎖と、自らを組み換えて高く翔ぶエルキドゥ。その行く先はマモンへと。
「ふざけろよ、死ぬのはテメェらだ。────"
巨大な黒紫の狐の頭部を浮かび上がらせ、浮遊する二人を見上げるマモン。その狙いはただ、彼らにだけ向けられていた。そして──────その時が来る。
「『
「『
「噛み砕け、『
二つの超越した神代よりの宝具と、大悪魔たる者の権能たりえる宝具が激突・拮抗する。
だが、その拮抗を破ったのは、この上なく赤くほとばしる叛逆の雷だった。
「ガラ空きなんだよ、これでも喰らえ! 『
紅い雷がマモンを捉え、身動きのとれないマモンは気付きはしたものの、避けることなくその奔流へと飲み込まれる。
今ここに、雌雄は決した。
やー、なかなか時間がとれんとですよ、えぇ。
次回、終章。